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王子の独り言7

カエが婚約者になった。

多少強引に迫ったのは、認める。


それでも、戸惑いつつも受け止めてくれるカエが嬉しくて、片翼の香りがするたびに微笑んでしまう。カエは、恥ずかしそうにしているが、どうにも感情が抑えられない・・・。離れた所からカエを見かけるとドキリとしてしまう。

恐らく香りが出ているのだろう・・、こちらの姿が見えないカエが周囲を不思議そうに見渡しているのを、何度か目撃した。


地獄耳のアイシェ姉さんから、「おめでとう!」という便りが届く。

情報を一体どこから掴んでくるのか・・。


今度、徹底的に城の人間を洗い出すか・・と、思いつつ、少しだけ姉さんのおかげでもあるので、まぁ・・許そう。手紙には、モルの実の種が入っていた。他にもいくつかあった。はて・・なぜ?不意に、カエの植物への言葉掛けで生育が通常より良い・・と言ったからかと、思い当たる。


ちょうど植物の水やりに来たカエに、アイシェ姉さんからお祝いの言葉をもらった事を話すと、なんとも言えない顔になっていた・・。まぁ、気持ちはわかる。

種を渡すと、早速鉢に植え、「楽しみだねぇ」と話す。

発芽は、限りなく難しいだろうと思ったが、楽しみにしている横顔を見るに留めた。


その種が、まさかあんな事になるとは・・・。



会議中、いつもと違う魔力の気配に慌てて飛んで行くと、カエが

モルの実を発芽させるどころか、巨木に成長させていた。


大戦から、全く芽が出なかったものが、巨木・・・。

カエが植物に対して言霊の力があるのでは・・と、思っていたが・・偶然かもしれないと、もう一つ長く発芽しない種を芽を出すだけ・・とお願いすると、その通りに成長させる。植物の速度もコントロールできる事に驚いた。


この世界の抱える問題を解決する糸口を見つけたようで、嬉しかったが、半面危険性もある。カエに危険が及ぶ可能性もある事から、ローニャ、カエには黙っておくようにと話したが・・。

すぐに兄達に会議の後、連絡する。


カエは、いきなり来たこの世界の役に立てると喜んでいたが、俺にとっては大事な片翼に危険が及ばない事が、重要だった。


昼食の後、カエは会議中に育ててくれた植物の様子を教えてくれたが、また大きく成長させてしまうのが怖いのか、小声で話す。その様子がおかしくて、つい聞き返していると、耳元で「あのね・・」と囁くように話すので、いつもより近くに感じるカエと、声の近さにドキリとする。


「カエ、耳元はだめだ..」


気恥ずかしくて、しゃがみ込んでしまうと、カエからも香りがして、微笑んでしまう。顔を赤くして、いつまでこの香りが続くの・・と、呟くカエに


「結婚すれば、縁が結ばれて匂いは止まる」


え・・とカエは言葉に詰まり、香りが一層強くなる。


その香りに頭の奥がジンと痺れる。

ああ、好きだ。

ずっといて欲しい。


そう思ったら、カエの手を握って


「俺と結婚してくれるか?」


・・・我ながら自重しないと・・と、思うのに止められない。顔の赤いカエを抱きしめてしまう。

真っ赤になりつつ、なんとか誤魔化そうとするカエに、モルの実の事を聞かれて思い出す。そういえば、さっき調べたが、カエの力を感じるだけで、特に害はなさそうだな・・と思ってポケットに入れておいたものを、食べてみた。


体にカエの力が入ってくるのを感じて、胸の辺りが温かくなるのを感じ、

カエを見るといつも目の前にあるカエの頭の位置がおかしい事に気付く。



「えっと....どなたですか?」



ん?俺はセレムのはずだが???





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