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王子の独り言2

カエは、「タダで住まわせてもらうわけにはいかないので、働かせて欲しい!っていうか、働かせてください!!」と、必死に頼んできた。・・別に異人を保護した場合は、生活が整うまでゆっくり過ごすように決まっているのに・・。


説明しても、申し訳ないから無理!!と、断られた。


ローニャにひとまず手伝いをしてもらいましょうと提案される。

セレムさん・・とか、セレム様とか・・・呼ぼうとするし・・。よそよそしくされると、もどかしい気持ちになる。


植物の世話を頼むと、嬉しそうな顔をするので、こちらも嬉しくなる。

自分の部屋で植物を世話するカエ・・。そばにいられる・・と思うと

断る理由がない。

我ながら不純な動機だが・・。


「うん・・それはいいな。まぁ、襲いかかってくる植物は、とりあえず片付けておけばいいし」


カエが驚いた顔をしている・・。カエの世界には、そういった植物はいないのだろうか・・。

まぁ、怪我がないようにするに越したことはない。

とりあえず危険そうなのは片付ける事にする。


ざっくり片付けて、カエのいる部屋へ戻ると、ローニャと話している声が聞こえた。もうあんなに会話してるのか・・早く会話したいが、カエの前に行くと、どうにも言葉が出なくて・・

年だけ取って、成長してないな・・と、思いつつ軽くノックして部屋へ入ると



「今度は若い!!ああ、じゃあに人間年齢で言えば、私の方が少し年上ですね。私は18なので。」



「「え・・・・・・・!!!!!????」」


俺とローニャの声が重なる。思ったよりも大人だった事に驚いたが、

18歳といえば、結婚していてもおかしくない年齢だ。



まさか・・・相手がすでにいるんじゃ・・・


さっと顔の血の気が引く。

片翼がすでに結婚している場合は、当然結婚できない。

カエと相手が離ればなれだとしてもだ・・。



「お前は、結婚・・・してるのか?」


どこか祈るような気持ちで聞くと


「いやいやいや、してません。って言うか、私の世界では結婚してる方が珍しいですからね!」


心底ホッとする・・・。

こんなに安堵したの・・いつぶりだろう。

横でローニャが、ニヤニヤ笑っている。あいつめ・・・。

じわじわと諦めなくていい気持ちが大きくなっていく。

嬉しい・・・と素直に思ってしまう。


こんな出会って間もないカエという存在に、ものすごく翻弄されている自覚はある。

でも嬉しい・・良かった・・、とも思う。


なんとか感情を隠して返事をして、俺の部屋を案内すると植物の多さに驚いていた。そんなに多いか?袖を丸めて張り切る姿に目を細め、つい「こっちに来い」と手を握る。


ふわっとカエからいい香りがする。

片翼の好意の匂い・・。

相手は何も知らないのだから・・と思いつつも、平常心を保つのに精一杯になってしまう。


どこか緊張してしまって、水やりの仕方や、道具の場所を説明するが、ちゃんと説明できているか・・不安になる。手汗とか・・・大丈夫だろうか・・なんて、随分ガキみたいだ。

説明するたび、うなづいたり、聞いてきたり、カエは真剣に覚えようとしてくれた。


18歳とは聞いたが、俺から見れば幼く見えるカエは一生懸命な姿が可愛らしかった。よくこんなに可愛くて誰も嫁に貰おうとしなかったな・・。欲目抜きでそう思う。



やりにくいだろうな・・と思ったが、手を離したくなくて、結局水やりをしている間中、ずっと手を繋いでいた。

ちらっとカエの横顔を見ると、少し赤い頰をしていて、気恥ずかしくて思わず目を逸らす。



そばにいたローニャが生温かい目をしてたが全て無視した。




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