異世界問題一旦終了(終)
一度目が覚めたけど、あれから私は爆睡をかましたらしい。
3日目の朝、私は朝陽が指す部屋で、スッキリ目を覚ました。
枕元でおもちが寝てるのか、緩く上下してる。可愛い!!!!
起き抜けにローニャさんが、部屋に様子を見に来たので挨拶すると、泣きそうな顔になったので驚いた。どうやら帰って来た時、真っ白な顔してボロボロの姿だったので、ものすごく肝が冷えたらしい。
「もう、絶対、無理しないで下さいね!!!」
いつもは無表情のローニャさんが、プンプン!みたいな擬音が見えるみたいに怒ってる姿が、なんかちょっと可愛い。私は心配してくれたのが嬉しくて、くすぐったい気分だった。
「心配してくれてありがとう、ローニャさん。」
「城の皆も、セレム様も本当に心配したんですからね!」
「お城の皆も?え?私、そんなに知られてるの?」
「・・・・・・カエ様、セレム様の片翼だって覚えてらっしゃいます?」
「あ、そういう・・はい・・。覚えてます。」
ジトーッと見られて、思わず目をそらす。
そういえば、寝ちゃう前に言った言葉聞こえたかな・・。聞こえてないといいような、悪いような。
「セレム様は、それはそれは心配されてましたよ。最初の3日間なんて冷静を努めてましたけれど、相当動揺されていましたし、帰って来ても、ずっとカエ様のそばを離れずにいました。」
「ええ・・・そんなに?!心配してるだろうなぁって思ったけど・・。あとでまたお礼を言っておくわ。」
トントンと、ノックする音が聞こえる。
噂のセレムかな?挨拶すると、やっぱりセレムだったけど、
なんか違和感・・。
「おはよう」
「おはよう・・・セレム・・・あ、背が・・伸びた?」
そうだ、背が伸びてる!
顔つきも、ちょっと大人びてる?
私がいなくなったり眠っている間に成長したの???
「ああ、今まで成長を止めてたのを少しずつ解除してる。」
「成長を止める・・????解除????」
え、待って。すごい単語出てきたぞ?!
「セレム様は本来大人なんですが、片翼が来るまで成長を止めてらしたんです。」
「えっ?!そんなことできるの?ちょっとチートすぎない?!」
「片翼がある程度の年齢まで現れないと、成長を止める竜族は結構いるんです。」
流れるようにローニャさんが説明してくれる。
ありがとうローニャさん。でも、そういうの早く言って。
「え・・・じゃあ、今まではモルの実で大人になってたけど、今度はちゃんとした大人になるって事?っていうか、どうして突然そうなったの?」
「一つは、完全に大人になった方が何かあった際には、カエが守れるからだな。もう一つは、カエが求婚に了承してくれたからだ。」
目覚めた途端、すごい事になってるけど!!!!???
「まぁあああ、カエ様おめでとうございます!!」
「待って、ローニャさん!多分、異文化交流うまくいってないと思うから、今、ちょっと待って?!結婚の了承って、した覚えがまっっっっっっったくないんだけど?!」
「キスした」
セレムがしれっと言うので、病み上がりだと言うのに、真っ赤になる。
ちょっと本当に死ぬからね?!
「し、した覚えがありません!!!」
叫んだよ、ローニャさんがめっちゃニコニコしてるけど!恥ずかしいけれど!
「バリスが来た日だ」
混乱してる頭をなんとか整理する。
あ・・・・・・・・・・・やり返した日。
「え・・・だって、知らなかったし・・・ノーカンじゃない・・?」
「ノーカンが何かは知らないが、求愛した者の体のどこかにキスすれば、了承した事になる。」
だからあの時、真っ赤だったの・・・?
「え、いや、でも・・・」
だめだ。これはダメなやつだ・・。
頭の中で警報が鳴っている。
これは逃げるのが無理なやつだぞ・・・。
ツカツカと私の前にやって来たセレムに、さっと手を握られる。
「もう絶対逃がさない。」
耳元に低音ボイスで囁かれ、ビクっと体が跳ねる。
ゆっくり私の目を見てニヤッと不敵な笑みをするセレムが、美形が美形すぎて、だから病み上がりだっつーのに心臓を破壊しにやって来る。辺り一面いい香りすぎて、目がグルグルする。
「もう異世界とか、いきなり無理ーーーーーーーーー!!!!!!!」
私の絶叫は、城中をこだまするのだった・・・。
カエ視点で、一部終了です。
ここまでお読み頂きありがとうございます!
ブクマやコメント、励みになっております〜〜!!
次回から、セレム視点のお話になります(^^)




