課題の答え。
ふわふわの雲の中にいる。
ああ、これは夢だな・・。
柑橘系の匂いがした。セレムがいるのかな・・?
夢の中なのに、匂いってするんだぁ・・。どこにいるんだろ・・
「セレム・・・・」
自分の呟きと共に、目が醒める。
「カエ・・・・?」
心配そうな・・・、でも嬉しそうなセレムの顔が見える。
夢じゃなくて、現実・・?そういえばさっき会ったよね・・・・?
目をゴシゴシこすって、セレムを見る。
「・・・私、帰ってきたの?」
掠れたような声しか出なくて、あれ?って不思議に思うけど
これだけは聞いておかねば。
「ああ・・・・、2日前にちゃんと城に帰ってきた。」
「・・・え?2日??・・あれ、さっきじゃないの?」
さっきセレムに会った時は、「3日ぶり」と言われ、今は「2日前」と言われ、寝ていた私の頭は完全に混乱した。
「俺と会った途端、意識を失ったんだ。すぐ医師に診せて治療をしたものの、お前はずっと眠っていたんだ・・」
セレムの手が、布団から出ていた私の手をそっと握る。
随分と眠ったり、意識を失ったり、盛り沢山だったんだな・・。
「・・・そっか。色々ありがとう・・」
「それはこっちのセリフだ」
「へ・・・?あ、そうだ・・おもち・・あ、丸い物体いなかった?」
「ミ?」
枕元を見ると、おもちがコロっと転がってくる。
めっちゃ頬ずりしたいけど、体がうまく動かない・・。
「おもち〜〜〜〜!」
「洞窟でカエを見つけて、ずっとくっついてたんで・・連れてきた。」
「これって、何かの生き物?」
「本来は、森の精霊だ。昔はシューレの森にいたけど、戦争以来見なかったが、洞窟に逃げてたんだな。久しぶりに見つけて驚いた・・。」
「おもち、精霊だったんだ〜!」
おもちがスリスリと顔を頬ずりしてくれる。愛い奴め。
「・・・・・・嬉しそうだな・・・・」
「うん?あ、出口まで案内してくれたんだよ。ついでに浄化もしてきたよ」
「それは確認した。無茶しすぎだ・・・。」
「うーん・・それはごめんね?でも、あのままにはできなかったし・・」
あの青い地底湖は、本当に綺麗だった・・。
苔の発光は終わっちゃったかな・・また頼めば光ってくれるかな・・。
「洞窟・・・あれ、すごく綺麗だった・・。セレムの目みたいに青くて・・」
「また今度、元気になったら見に行くか?」
「うん・・行きたいかも。あ、そうだ!どうしてあの時大人だったの?」
「魔法で見つけられるようにしておいたのに、全然見つけられなくて、モルの実ならカエの力が入ってるから、食べた方が感知できるかも・・と思って。3日目に、多分カエが目覚めた時に感知できたから・・。正解だったみたいだ。」
へぇ〜〜・・・って、モルの木、もう一本育てておいて良かったかも。
私の食い意地のおかげだな。
しかし・・・魔法で見つけられるようにって・・いつの間に?
GPS付けられてるみたいだな。
ああ、いつものセレムだな・・そう思ったら、なんか安心してきて、また瞼が重くなってきた。
「・・・ごめん、また眠いかも・・・」
セレムがそっと頭を撫でてくる。
安心するなぁ・・。
意識を失う前に、考えていた事を思い出す。
そうだった・・嬉しくて、ありがたくて、会えて安心したし、
あと、そうだ・・好きって思ったんだ・・・。
もう瞼が重くて、目を閉じてしまった。
意識が落ちていく・・・。
「・・・・セレム、ありがと・・・好き・・・」
私は、ポツリと呟くとまた深く眠り込んでしまった。