現場で新たな問題。
セレムを呼んだ方がいいだろうか・・。
でもうっかり声を出して、魔物にでも襲われたら嫌だし・・。
「れ、冷静になろう・・・」
そう思って、淡く光っていた地面の埃っぽいものを、じっと見る。
コケっぽい・・・?植物なら、光ってくれってお願いできるかな?
暗闇は、現代っ子なんで怖い。
急いで地面に手をついて、念じてみる。
あの〜、もしずっと光れるなら、ちょっと帰るまで
光っててもらえますか?
ちょっと・・いや、かなり怖いんです・・!!!
手がホワッと温かくなり、体もぽかぽかする。
あ、これ大丈夫なやつだ・・。
何度かお願いして、だいぶ感覚わかってきたかも・・。
そっと目を開けると、私を円状にして、ゆっくりと淡い光が広がっていく。
「・・・・・わぁ・・・・・!!!!」
淡い光は、鍾乳洞の中をどんどん照らしていき、地面から壁、天井へと
光が広がっていく。
「ものすごい広い・・・・」
鍾乳洞なんて、映像でしか見たことないけど、こんな感じ?
中は円形状になっているようで、地面から天井まで5メートル以上ありそうだった。
私が立っている下の部分は岩場だったが、辺り一面湖・・・。
所々に岩場が出ているといった感じだった。
薄い綺麗な青の岩肌は、ツヤツヤしている。
地底湖ってやつかなぁ・・水の透明度が高く透きとおっていて綺麗だ。
水中の中にも苔が生えているのか、青い地面だけど、水の中で淡く青く発光している。旅番組で観たイタリアの青の洞窟っぽいなぁ・・・。
「綺麗・・・・」
さっきまで怖くて仕方なかったのに、壮大な景色で吹き飛んだ。
後ろをみると、大きな岩の柱から私が落ちてきた穴っぽい場所が見える。
やっぱり上から滑ってきたのかな?
「とりあえず魔物はいない感じかな・・。」
安心して、苔にそっと手を触れる。
「光ってくれてありがとう。怖くなくなったよ」
触れた部分の苔は、返事をするように淡く点滅する。可愛いな。
しかし・・・、これどうやって戻ろう。
セレムの事だし、めちゃくちゃ心配してるだろうなぁ・・。
体をざっと確認すると、擦り傷とか、青く腫れている所はあったけど、とりあえず骨とかは折れてなさそうだ。いや、折れてたら痛くて動けないか・・。ふと指輪を見ると、淡く発光していた蒼い石が割れてる。
「え?!!!なんで??」
と、ローニャさんが「身を守ってくれる」という言葉を思い出す。
そっか・・・守ってくれたって事か・・。だからこんなケガだけで済んだのかな?
ハーリカさんにお礼の手紙絶対書こう。
ぐぅ・・・・。
お腹が鳴る。
ハーリカさんを思い出したら、お腹が空く私って・・・。
腰のポーチがちゃんと付いていたので、ボタンを開けて中を探ると、
中身は奇跡的に無事だった。
「よかったぁ〜〜〜〜!確かモルの実あったよね・・」
丈夫な紙の袋に包んで5.6個入れておいたのだ。
ちょっと潰れてるっぽいけど、食べておこう。
パクッと口に入れると甘くて、体も心なしか元気になる。
よいしょっと気合を入れて立ち上がり、落ちてきた穴を覗くが、
上に戻るにはツルツルしてどうにも登れない。
私に強靭な腕と精神があれば行くだろうが・・無理だ。
となると、どこか戻れそうな所を探すしかないなぁ・・。
その時、足元をさっと何かが動く。
「え?!何?!!!」
思わず足を引っ込めて、足元を見ると、10センチくらいの丸いボールみたいなものが淡い白い光を発光させながらコロコロしている。
「・・・・え、生き物・・・?」
まさかの地底で生き物らしきものを、私はそろそろと近付いて
目を凝らしてみた。




