現場の事故は労災出ますか?
「真っ黒・・・」
思わずごくっと喉が鳴る。
霊感とか全くないけど、ここは危険だってわかる・・。
ギュッと思わずセレムの手を握る。
「大分穢れがひどくなっているな・・」
セレムが呟くと、護衛騎士さん達も見たことがあったのか、
「以前より、面積も増えましたね」
「まだ1ヶ月しか経っていないのに・・」
そっか・・。私が見つかったのはここの視察の時か・・。不意に思い出す。
怖い場所だけど、ここのおかげで私は助かったんだな・・。
そう思えば、私にとってはありがたい場所だ。
「セレム、土の浄化する種を植えて、発芽させてみたいんだけど・・」
「ああ、頼む。この黒い穢れの淵辺りでいい。中へは危険だから入らないように」
「いや、怖くて入れない。」
「・・・だな」
そっと腰のポーチから、土の浄化の種を出し、黒い穢れのギリギリ届いていない土に種を指で押し込む。土がぶちゅって音がして、一瞬ゾワってなる・・・。
いかん、いかん・・・怯むものか!!
セレムが私の後ろに立って、心配そうに見ている。
大丈夫だって!
土にそっと指を触れる。
前回と同じで神様にもお願いした方がいいかな?
目を閉じて、そっと念じる。
神様、実は清めとかよくわかってないけど・・。
また綺麗な土地に戻りますように。
種さんを発芽させてください!
指が、ほんわり温かくなる。
体もじわじわ温かくなってくると、指からパワーがいつもより吸われていく感覚になる。
シュウ・・っと音を立てて吸われた???
そう思って、目をそっと開けると、黒い穢れの淵に植えた種が、土をグググ・・・と押して、
発芽した。
「「・・・・・やった!!!」」
私もセレムも護衛騎士さん達も、声を揃えて喜んだ。
わぁ〜〜〜、いつも適当な神頼みしかしない私に神様ありがと〜〜〜〜!!!
思わず手を合わせたわ・・。
「次は、もう一回植えて種が採れるか実験してみよっか?そうすれば、穢れた場所で種が生えるって、はっきりわかるかもだし・・・」
「うん・・・そうだな。だが、体調は大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ?この通り元気だし」
シュウって吸われた感じはしたけど、森とか畑とかやっても元気だったし。
ポーチから土の浄化の種をいくつか出す。
今度は淵でなく、黒い土になった穢れた場所へ蒔いてみる。
黒い土になった場所は触ると危険そうなので、ギリギリの所で手をかざす。
目を閉じて、念じてみる。
発芽させてくれてありがとうございます。
できたら今度は、種をください。
どこの国でも清められるの、ぜひお願いします!!
手は、浮いている状態なので、大丈夫かな?
そう思っていると、手がホカホカしてくる。あ、大丈夫そうだ。
体もじんわり温かくなってきた。
と、思うと手からグッと力が強く吸い込まれていく。
「・・・え・・・・」
思わずギュッと目を瞑ると、体がぐらりと揺れて、黒い土の中へ体が引っ張られる。
バシャン!!と、水音がするけど、土じゃなかったっけ?
「カエ!!!!!!」
セレムの叫ぶ声が聞こえるが、あっという間に小さくなる。
穴に落っこちるように、下へ、下へと体が滑っていく感覚が気持ち悪くて、
目が開けられない。
ドサっと音がして、体全体がズキリ・・と痛む。
あ、これ・・絶対明日痛いやつ・・。
目を開けるのが怖いけど、そぉっと目を開ける。
真っ暗だ、ジメッとしてる・・。
地面を触ってみると、ツルツルとした石だ。
ピチョン・・・と、どこかで水音がする。
ぞくっとして、震える体をなんとかゆっくり動かすと、石と擦れた部分が淡く発光する。
「え?」
手で地面を擦ってみる。
そうすると淡い光は埃が舞うように、ふわっと私の周りで発光する。
壁っぽい所も慌てて擦ってみると、淡い光が舞って、
どうもここは広い鍾乳洞のような場所だと気付くことができた。