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現場改善再び。

いつもセレムにやられっぱなしで悔しいので、やり返した結果、しゃがみ込んでしばし動かないセレムができた。

しばらく「ずるい・・・」とかなんとか言ってたけど、そのまま真っ赤な顔で、ヨロヨロしながら部屋を出ていった。


その後、ローニャさんが訝しげな顔で部屋へ戻ってきて


「カエ様、何かされました?」


って言うので、「お腹痛いんじゃない?」って言っておいた。

なんかごめん・・・。

私はそ知らぬフリを突き通した。



翌日は快晴!


準備に慌ただしくて、朝食はそれぞれで取った。

あ、枕元の花がちょっとパワーアップしてて、盛り沢山だった。なんで??



テュダの時に一緒だった護衛騎士さん達2人も今回行く事になった。

今回は転移魔法で行くそうだ。

空の旅は結構楽しかったけど、ローニャさんがニヤニヤするから・・まぁいっか。


土と水を浄化する種の両方を腰に付けたポーチに入れる。

今日もパンツスタイルで、動きやすくて大変良き!

お弁当を入れたカバンは護衛騎士さん達が持ってくれる。ありがたや・・。

今度は一緒に食べよう!ってお誘いしよう。魔物がいる森だから、ちょっと食べられるかわからないけど。


前回出かけたバルコニーにローニャさんと一緒に行くと、セレムがやって来る。


「セレム、おはよ〜」

「・・・おはよう」


おう、なんでちょっと目を逸らす?


「セレム大丈夫?」

「・・大丈夫・・だ」


そう言いつつ、目線は私に向かないけど・・。

やり返されたの、悔しいのかな・・。


「行くぞ」


そう言われて、セレムのそばへ寄ると、手を握られる。

いつものセレムにちょっとホッとする辺り、まずいなぁ・・なんて思ったり。

ローニャさんに「行ってきます!」って手を振ると、ニマニマしてた。やめい。


パチっとセレムが指を鳴らし、一気に転移する。

うぅ、エレベーターの降りる時みたい〜〜〜。



トンと、足が付く感覚がして目を開けると、最初に来た、あの薄暗い森の中にいた。



「・・・・・なんか、1年ぶりくらいって感じ。懐かしい・・・。」


思わず呟く。

だって、まだ1ヶ月くらいしか経ってないけど、色々あったんだもん。


「色々あったしな」


セレムが森を見渡しながら話す。

同じ事、考えてたんだ。


「色々あったねぇ・・。あ、森の土の声とか聞いた方がいいかな?」

「そうだな・・。俺達も目視で確認してる場所は知っているが、穢れている所を森自身に聞ければいいかも・・」

「わかった!」


そう言って、ちょっと硬い土を指で少し掘り返して、手にのせる。

どこが穢れているか知ってる?そんな風に思いつつ、

耳を澄まして、土の声に耳を傾ける。




東ダヨ

東ガイタイヨ・・


小さい声だった。

森が焼かれた土の声も小さかったけど、本当に弱っているんだな・・って思う

か細い声だった。土にお礼を言って、そっと元の場所へ戻す。


「セレム、東だって。場所の見当はつく?」

「東側か・・。俺たちが確認した場所と同じだな。ここからだと10分だ。森の確認もしつつ、歩いていこう。魔物には気をつけろ。大分魔が満ちている。」


護衛騎士さん達が、「はい!」と敬礼すると、剣はいつでも使えるよう抜刀される。不意に緊張が走るけど、セレムがそっと手を握って


「大丈夫だ。食べると結構うまいのもいるぞ」


と、笑って言う。


「私、そこまで食い意地張ってないよ?」

「でも、美味ければ食べるだろ?」

「・・・食べない・・・こともない」


後ろで護衛騎士さん達が、ブフって笑いを堪える声が聞こえた。

ちょっとーーー???セレムさーーん???

私、食いしん坊って認定されそうなんですけど???

ジロッとセレムを睨むと、


「うん、それくらいでいい」


・・・リラックスさせてくれたようだ・・。

もうちょっとやり方はあったように思うけど、その気遣いが嬉しかった。


ザクザクと木を切り払いつつ、東側へと向かう。

最初に来た時のように、鬱蒼と茂った森は、まだ朝なのに薄暗い。

ガサッと聞こえるたびに、ビクッと体がすくむけど、その度にセレムが手を握り返してくれるので、なんとか歩けた。



そうして、10分くらいすると、少し開けた場所に着く。

そこは本当に異世界に来た私でもハッキリとわかるくらい、ベッタリと黒い油みたいなものがこびりついた場所だった。




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