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休憩時間です。

ハーリカさんとセレムで相談して、今回はセレムの力で植物に力を一時的にあげた・・という事にするそうだ。

新しい魔法を発見し、実験したら成功した・・という、ちょっと苦しそうな言い訳だが、まぁ、作物さえなっていれば、いちいち詮索してくる領民ではないから・・とハーリカさんは話す。


ボソッと「不必要に探ってきたら潰しますし」

って言ってたの、聞こえたけど、聞こえないーーーー。

私はただの植物係ですし。


ハーリカさんは、すぐに領民の人達に畑の事を知らせたいから・・と、一旦家の方へ戻り、また帰ってきますと言って、慌ただしく出て行った。大変だなぁ・・。



私のお腹がお昼を知らせるチャイムのごとく鳴り響くと、ハーリカさんの配下の人が、テントでお昼を用意しますと申し出てくれたが、セレムが持ってきたお弁当を食べたいようだからと断ると、畑の前に、配下さん達がタープらしきもの作って、日陰とシートを用意してくれた。


重ねがさねお世話かけます・・・。


二人でシートに並んで座り、目の前の畑を見ながらカバンから出したお弁当を出す。中身は色とりどりのサンドイッチと果物だ。


「うわぁ・・・美味しそう!セレムどれが好き?」

「・・?これかな・・?」


ローストビーフっぽいお肉が挟まれているサンドイッチを指差すので、手渡すと驚いてこっちを見る。


「ん?好きなんじゃないの?」

「・・・いや、自分の好きな物を先に取らないんだな・・と。」

「へ?だって、いっぱいあるし・・。」

「・・カエは優しいな。」

「先に渡しただけだよ?」


不思議そうに見つめると、セレムは静かに笑って


「今は、ここも穏やかだが・・我欲に溺れて、我先に・・という者が多くいたから・・」

「ああ、そういう・・」


目の前の畑は、そよ風に揺られて気持ち良さそうにゆらゆらと揺れていて、平和そのものの風景だが、きっとこの国も色々あったんだろう。若く見えるローニャさんでさえ、38歳って言ってたし、セレムも少なくとも私より長く生きてきた分、色々見てきたんだろう・・と思った。


「私の国も、私が生まれる随分前に、大きな戦争があったの。だから平和が大事って教えられたよ。ここも、ずっとずーーーーーっと平和だといいよね。」


多分、自分が住む(予定)の土地だし。

ずっと平和であって欲しい。


「カエがいてくれる限り、約束する」

「いなくても約束してよ・・・。」

「いないと嫌だ」

「えー、でも私寿命が長くてもあと70年くらいしか生きられないよ?」



「結婚すれば、俺と同じ時を生きられる。」


なんかすっごい情報きたぞ?!

食べていたサンドイッチで喉が詰まりかけた。


「え??!!!それ初めて聞いたけど!」

「今初めて言ったからな。」

「そうですか・・。」


王子・・・、ホウレンソウってご存知ですか?

高校生でも知っているんですよ?

報告、連絡、相談ですよ?


「セレム、よく言葉が足りないとか言われない?」

「・・・・・・・・・・・・・・たまにだな。」

「絶対、たまにじゃないでしょ!あのね、私の世界にはホウレンソウという教えがあって・・」


セレムは、ニコニコ笑いながら私の話を聞くけど、多分聞いてない。

そよ風が吹く中、穏やかな時間を噛みしめるように私を見つめている。

ちょっと照れくさくなって、私は誤魔化すように遠くを見るフリをしてサンドイッチを食べることにすると、空いている手をそっとセレムが握って・・


「カエが、この世界に来てくれて嬉しい」


と、呟く。

ふわっといい香りがして、私はサンドイッチを食べるスピードが鈍くなる。





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