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事件は現場で・・。

モルの実を食べると、胸の辺りがほんわかと温かくなった。

自分もどうやら多少回復するらしい。便利だなー。

戻ったら、モルの木増やしておきたいかも・・。


セレムは皆を近くに寄るように話すと、また転移魔法をかけてテュダに戻る。


戻るやいなや心配していたのか、ハーリカさんの配下の人達が慌てたように駆け寄る。

ハーリカさんは、配下の人達に森の様子をかい摘んで話し、森の手入れと点検、観察をしていくよう命じていた。仕事が早い。


そういえば・・今更だけど、ここまで飛んで連れてきてくれたセレムって、何度も魔法を使ってるし疲れてない?って、心配になった。


「セレム、セレムこそ体は大丈夫?」


そっと声を掛けると


「俺もなんともない。3日ぐらい寝ないで戦い続けても、疲れる体じゃないし。」


そうでした・・戦ったら、一番強かったって言ってたっけ。

お兄さん達より強いって、すごくない・・?

今更ながら気づいたわ・・。


ハーリカさんは、一旦人払いして畑に連れていってくれた。

確かに、あの森を一瞬で回復させるの見たら、えらいことになりそうだもんね。

安全のために、セレムとハーリカさんは少し離れてもらい、

畑の土をしゃがんで両手で触る。

目をつぶって、言葉にはしないけど、土に語りかけるように念じてみる。




えーと、川にあった森を治してきたから、栄養がそのうち来るよ〜。

それまで力をちょっと分けるから、元気になってね。

美味しい作物がいっぱいできますように。

あ、野菜いつも美味しいです。ありがとう。



なんだかお参りみたいだな・・。

そう思いつつ、森の時のように手からパワーが流れるイメージで

「元気になーれ」と囁くと、両手がブワッと暖かくなる。

ついで、体も暖かくなってくる。


さっきより広範囲だからか、グンっと両手から力が土へ流れていくのを感じる。

と、淡い光がものすごい勢いで畑へ広がっていくのが見える。


「・・・わぁ・・・・・!!!」


目の前へ光が行き渡ると、土からいい匂いがする。

と、手元からポコっと芽が出る。


「あ、芽が出た!セレム、見て!芽が・・」


振り返ると、ハーリカさんは口をあんぐり空けてる。

セレムは、こっちへ駆け寄ってくる。


あれ???なんかあった?と、立ち上がって畑の方を振り返ると、


一面茶色の畑から、芽が全部出ていた。

なんなら、結構成長している様子の作物もある。



あ、あれー・・・・・???そんなにお願い効いてくれちゃった感じ・・・???

これ、どうやって誤魔化そう・・。思わず背中に冷や汗が流れた。

足元の土が、なんだかすごく喜んでいる気配を感じつつ。



「カエ!!!お前は大丈夫なのか??」


セレムが今度は青ざめて、聞いてくる。

そうだよねー・・・。森に続いて、畑までやっちゃったし・・。

タフな竜族と違う人間だしね。


「う、うーん?特に変わらないけど・・あ、」

「どうした?!」

「強いていえば、お腹が空いてきたかも・・。お弁当食べる?」

「・・・・・・カエ・・・・・」


お野菜美味しいのあるかな?って思ったら、お腹が空いてきて・・。

すみません、緊張感が続かなくて・・。


安心したのか、セレムがそっと抱きしめてくる。

う・・・、ちょっと恥ずかしいけど、心配してくれてるし、今回は許そう。

そろっと両手でセレムの背中をポンポンとあやすように叩く。


あ、やべ・・土付いちゃったかも・・。


「セレム、あの背中汚しちゃったかも・・?」

「構わない」


言い切ると、耳のそばへ顔をすり寄せる。

あ、あのそろそろ恥ずかしいが過ぎるので、どいて頂きたい。

すんっと、私の首元を嗅いだセレムが


「いい匂いがする・・」


って、呟くので


「はい!!!終了ーーーーーー!!!すぐ離れてください!!!」


私は、畑の中心で叫んだ。

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