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視察のお供はお茶。

えーーと、まずは自己紹介かな・・?


「は、初めまして。カエ・タナシロです。」


ペコっとお辞儀をすると、ハーリカさんは瞳をキラキラさせつつ、


「これは失礼いたしました。先にご挨拶もせず・・。ハーリカ・テュダ・バードです。どうぞハーリカとお呼びください。」


ニコっと大きい体に対して、人懐っこい笑みをしつつ、大きな手を差し出す。

あ、握手かな・・・?


そっと手を出すと、力強く握られる。

お、おお・・・体も大きいが、手も大きい。

畑を耕しているからなのかゴツゴツしている。


不意にお父さんを思い出す。

お花屋さんって結構重い物を持つ事が多くて、・・・似た手だった。働き者なんだろうな・・。


「ハーリカさん、今回はよろしくお願いします。」


なんだか懐かしい手に握手しながらニコッと笑うと、セレムがベリっと手を剥がす。王子様ーーーー??友好関係を築いてる途中ですけど?


「そんなに触らなくていい。」


そう言って、私の握手していた手を握る。


「いやぁ・・、今はそういう場合じゃないんじゃ・・。」


思わず呟くと、ぶはっとハーリカさんが吹き出して、クックッと可笑しそうに笑いながら


「いやいや、カエ様。竜族は嫉妬深い生き物ですからね。諦めてください。さ、まずはお茶を用意していますから、一息ついてください。」

「あ、ありがとうございます・・。」


ニコニコ笑うハーリカさんの大人な対応にホッとする。

大事だよね・・・余裕。なんて思っていると、ハーリカさんのあとを、セレムは私の手を握ったまま付いていく。

普通にお家じゃない?って大きさの真っ白なコテージのようなテントは、

入口が金色の糸で草花が刺繍されている。


護衛騎士さんは、テントの外で待機してもらい、私達は中へ入っていく。


「わぁ・・」


中は、綺麗な絨毯が敷き詰められ、沢山のクッションが部屋の真ん中に置いてある重厚な低めの丸いテーブルの周りに配置されている。

おぉ、床に座るスタイルかぁ!


テントだけど、観葉植物が吊るしてあって、テントのスリットから当たる光でキラキラしている。テーブルには色とりどりの花が飾られ、真っ青なポットとカップとお茶菓子が用意されていた。



「すっごい可愛い〜〜〜!!」


思わず目がキラキラして、声が出ちゃった・・・。

だって、本当に可愛いんだもん!!!


ハッと、周囲を見るとテントの中に待機していた人達に微笑まれちゃった・・。

あう、ちょっと恥ずかしい・・。


「そう言って頂けると、準備したかいがあります。さ、座ってお茶を飲む習慣はおありでしょうか?もし慣れないようであれば、椅子を用意させますが・・」


ハーリカさんは、嬉しそうにしつつ、椅子を指差す。


「あ、いえ、私のいた国は、もともと椅子はあまり使わない所でしたから、大丈夫です。」

「そうですか!では、こちらで靴の汚れを落としてから、そのまま絨毯に上がってください。」


あ、そこは違うのか・・。

ハーリカさんの配下の人が、絨毯の手前に分厚いタオルを置くと、セレムがそこを踏んで土を落とすと、私も続けて同じようにしてから、絨毯に横並びで座る。

あ〜〜〜座る生活いいわぁ〜〜〜。

クッションに寄りかかると、ホッとする。


ハーリカさんが手ずからお茶を淹れてくれて、早速頂く。

甘い香りがするけど、さっぱりしていて飲みやすい。


「美味しいですねぇ・・」

「さっき話していた、花のお茶だ。」


と、セレムが教えてくれた。


「ああ、これが!甘い香りがしてずっと嗅いでたい・・」


春に咲く桜の甘い匂いに似てて、ちょっと懐かしい・・。


「この辺りに咲くララという木の花です。だいぶ散ってしまいましたが、山の方であれば残っているかもしれません。薄い桃色の花が一斉に春になると咲くんです。」


「・・・私の国も、似たような木がありました。

そうかぁ・・今度は見て見たいなぁ」


なんだか懐かしくて、胸がちくっと痛む。

そうすると空いた手を、セレムが握って


「今度、一緒に見よう。」


ちょっと戸惑いつつ、こちらを心配するように見つめる。

なんだかんだいいつつ、いつも心配してくれたり、面倒を見てくれるセレムの

おかげで安心して過ごせているよね・・そう思うと胸が暖かくなる。



「・・楽しみにしてる。ありがとう。」


笑ってお礼を言うと、セレムと向かいに座るハーリカさんが優しく微笑んでくれた。




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