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視察開始!

ニマニマしたローニャさんのお見送りで、若干色々あった(?)ものの、大きなバルコニーに出て、セレムが空へと高く飛び立つと、さっきまでの慌ただしさが、一気に気分が変わる。


二人の護衛騎士さんも、サッと銀色の竜に変身し、左右に付く。



「うわぁ・・・」


グングン上昇し、あっという間に足元の城が小さく見える。


うん、恐い。

お腹の辺りに皮のベルトが巻かれてるし、鞍の両サイドにも木の棒に皮が巻いてあるもので固定され、落下防止・・とかしてあるんだろうけど・・。絶対落とさないと言うセレムを信じるしかないな。


『行くぞ』


不意に頭に声が響く。


「え?セレム??」

『風の中では、声が届かないから・・、頭に響くように魔法をかけた』


「私の声は聞こえるの?」

『そうできるようにしておいた』

「至れり尽くせりだねぇ・・・。じゃあ、お願いします!」


フッと笑い声が聞こえると、今回行く西側の「テュダ」という地方へ飛んで行く。


きっと普通に飛んでいたら、ものすごいスピードの中だろうに、魔法がかけてあるのだろう。

そよ風を感じるくらいで、ちょっと緊張して強張っていた体から力が抜ける。


川に沿うように移動するが、雲の中を抜けて飛んでいくのは気持ちよかった。

鳥の群れが下の方で飛んでいたり、鉱山と思わしき山々は、白かったり薄水色の地肌をしていて、上から見るだけでも綺麗だった。



「綺麗・・・、空の移動もいいね。ありがとセレム!」

『・・・・ん・・・』


照れ臭いのか、チラっとこちらを見ると、すぐに前を向く。


飛んでいる間に、テュダについての確認をする。

テュダを管理する領主のハーリカさんは、セレムのお父さんと友達だそうで、それもあっていつも色々相談したり、手伝ったりしてるらしい。普段は領民の皆さんと一緒に作物を作ったり、鉱石採掘をしているらしいが、近年作物の実りが悪くて困っている・・と、知らせてきたそうだ。


今回、私が育てた苗や種の秘密は、ハーリカさんにだけ事情を話し、領民には明かさず、まずは植えてみよう・・という事だった。お手紙で私の事は秘密厳守!と送ってあるらしい。

うん、セレムセキュリティは常に万全だ。


「テュダって、作物や鉱石の他に名産ってあるの?」

『鉱石で作ったアクセサリーは有名だな、後は花のお茶だ』


「花のお茶?へぇー、見るのも楽しそう!」

『そういうと思った・・。帰りに買っていこう』


セレムの楽しそうな声が頭に響く。

く、くそう・・・美少年のくせに・・・!



ビュンビュンと流れていく景色は飽きる事がなかったけど、1時間もしないうちに、テュダに着いたらしい。


『あそこだ 』


セレムに言われ、下を見ると、ものすごい広さの茶色の畑が広がる場所を顎で指した。


「すっごく広い!!!」

『テュダは、コルト国の農作物の3分の1を占めているからな』


それは広いわ・・。

納得していると、周りにテントらしきものがいくつかあるのに気付く。

セレムは少し広い場所へと、静かに着地する。


テントから5.6人駆け寄ってくる人達が見えると、ドキドキしてきた。




護衛騎士さんも降り立つと、テキパキと私とセレムに付けた鞍を取り除く。

は、はやー・・・。


呆然としている間に、セレムは人の形に戻り、テントから駆け寄ってきた人達に視線を送る。

2メートルくらいある?!って、大柄で・・40代くらいだろうか、大きな体格で、あご髭を生やした、赤茶の髪、緑の瞳がなんだかキラキラした人がこっちへ来る。


ハーリカさん・・かな?


領主なのに領民と田畑を一緒に耕しているだけあって、茶色のマントは付けているが、中に着ている服は後ろから付いて来る配下と思われる人達と似たシャツとズボンだ。


「セレム様、お久しぶりでございます。此度は、我が領地の為にお越しいただき・・

「ああ、いつも通りにしてくれ・・。」


と、ハーリカさんがこちらをチラッとニコニコしながら見ると、セレムはため息をついて、私を見る。

な、なんでしょう・・・・・?



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