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視察の準備。

私が育てたモルの実は、セレムという人体実験(?)のおかげで分かった事がいくつかあった。


モルの実は、セレムだけ片翼のためか一時的に私の力が入る事によって10分だけ大人になれる。

他の人は食べても、ちょっと疲れた体が回復する程度。

あとできた実を植えると芽が出る!


芽が出たのは、私だけでなく他の竜族の人も、昔食べていたモルの実をまた食べられる!と、喜んでくれたので、嬉しかった。お世話になりっぱなしだし。


あとセレムが毎朝飾ってくれるお花に


「綺麗だねぇ、素敵だねぇ〜。」


っていうと、持ちが良くなる上に、更に花の色艶が良くなる。

言霊の力すごいな!っていうか、花がいじらしくて可愛い!


そんなこんなで、なんとなく自分の力のコントロールができるようになって、セレムと温室で育てていた植物を、緑地を増やしたい所へ植えに行こうかと話をする。

なんでもコルト国は、南側にある私が発見された森以外は、森・・というより平原や鉱山が多いらしい。平原で異世界へ来たかった・・・。


セレムの部屋で、大きな地図を広げて見せてくれた。

なんかオーストラリアに似た形の国だった。


「これがコルト国の地図だ。」

「ヘ〜、地図は異世界でも似てるんだね」


「そうなのか・・。ああ、この中央に印が付いているのがこの城だ。北西側・・海に面しているのが、兄達が住んでいる城だ。父達もこの近くに居を構えている。」


「お父さん達は、政治はしてないの・・?」

「兄達に任せて、自分達はのんびり隠居生活だ。趣味が魔石採掘で、日がな北の鉱山で遊んでる。」


へぇ〜・・政治より石探しが好きとか・・ちょっと面白い人達だな・・。

あ、でもアイシェさんを見ると納得かも・・。


北側は、確かにほぼ山の絵が描かれてる。

セレムの城の周りも、鉱山なのかな?と思われる山がいくつも描かれているのをみると、なるほど森は少なそうだ。


「とりあえず、セレムのお城の周りから緑を植えていく?」

「城の周囲は、川の恩恵もあって割と作物は取れるから・・、できれば西側かな。

川に挟まれているのに、ここは作物があまり出来ず領民も困っている。」


「ここからだとどれくらい?」


いくら大陸で一番小さいとはいえ、でっかい竜族がいる国だ・・広いでしょ。


「馬で行けば2週間だが、今回は転移で行くから一瞬だ」

「竜になって飛んで行く・・とかじゃないのか〜」


何の気なしにポツリと言うと、

急にセレムから、柑橘系の匂いがする。

片手で真っ赤になった顔を隠しつつ・・。


「え?なんで??!」


「未婚の場合・・・、竜になった相手に乗るのは・・「信頼してる」、「想っている」っていう意味なんだ・・」


「ろ、ロマンチストか!!!」


つられて私まで赤くなる。

竜族って、本当に相手が好きすぎだな・・・。

て言うか、二人の行動に意味があるとか・・・気をつけよう・・。

そっと蒼い瞳がこっちを見る。



「・・・・・乗せて行く。」

「いえ、転移で!聞いちゃった以上、多分恥ずかしすぎて死ぬし!!ど、動転して落ちちゃうかもだし!!」


「絶対落とさない。」

「いや、き、聞いてた??!」


すったもんだの末、結局乗せられる事になった・・・。

普段は、竜族は何もつけずに相手に乗って移動する事もあるらしいけど、私はひ弱な人間なので、竜になったセレムの首元に落ちないよう背当てがついた鞍を付けてくれる事になった。


護衛に2人の騎士さんが付いて来る事になったものの、鉄の兜みたいなのを被ってて、顔が見えない・・。そもそも顔が見えても、判別できないけど・・。

転移だったら、護衛いらなかったんじゃぁ・・と思うと申し訳なくて、お願いします!と、頭を下げると慌ててた。ちょっと仕草が可愛かった。


動きやすいように、ブーツにパンツスタイル(いつもこれがいい・・)、お弁当が入った斜めがけのカバンを持ち、マントをつける。あと目的の植林のための種と苗木を鞍のそばにくくりつけ、準備万端!

テキパキと支度を手伝ってくれたローニャさんはお留守番。


と、トイレから戻って来た私にすすっと近付いて・・



「カエ様、竜族の未婚が鞍をつける意味は「束縛」でございます」


と、爆弾を投げつけられる。




「それ、今、言う??!!!」


真っ赤になった私を笑顔で見送る美女ローニャさん。

いい匂いがする事を不思議そうに見つつ、触りたがる竜のセレム・・。

いいから!なんでもないから〜〜!!!と騒ぐ私・・。

護衛の騎士さんは、どうしたらいいものかと慌てている・・。



初のお出かけの出だしは、ゴチャゴチャだった。



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