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守秘義務あります。

「せ、セレム・・・?」

「知らない魔力の気配がしたから、転移してきた。カエ、この木は一体・・」

「あ、アイシェさんが送ってくれた花・・のはずが、木になって・・」


って、ちょっと待て!一瞬でこっちに来たの?!

今そっちにも驚いている・・。

セレムは怪我がないかと私を触って確かめる。

ちょ、ちょいーーー!!!


ふと上を見ると、ほんわりと丸い薄い膜のようなものにセレムと自分が包まれている事に気づく。

その膜が枝や温室のガラスから守っている・・。


「この膜みたいなのって・・・・」

「ああ、結界だ。いつも付けてある。」

「いつの間に!!!」


セキュリティ対策までバッチリだな!

ローニャさんが駆け寄り、一旦私は移動する。


「さっき、なかなか発芽しないから、こっちの子供用の園芸本を見て、「大きくなあれ、花も咲かせてね」って声をかけたの・・。そしたら、突然こんなに大きくなって・・」

「ああ、なるほど・・」


セレムとローニャさんと一緒に温室を突き破った巨木を見上げる。

巨木は淡い黄緑色で、真っ白な花を咲かせていた。その花の近くに、薄紫の実のようなものも付いている。


「・・・これは、昔コルト国にあった、モルという名の木だな・・。昔、虫の害で全部食べられてしまったんだが・・、それ以降種を植えても、どういうわけか発芽しなくて・・・今はこの国に現存しないんだが・・。」


セレムは、少し考えて・・


「もしかしたら、カエは植物にだけ「言霊」の力が使えるのかもしれない・・・だから、さっき知らない魔力を感じたのかも・・・。」


ことだま・・・???不思議そうにセレムを見る。

何か思いついたのか、セレムは自分の机の引き出しから、小さな種を持ってきて、何も植えていない鉢に種を植えると、私の方へ鉢を持ってくる。


「カエ、芽だけ出ろと命じてみろ。」

「・・・・・う、うん・・・。」


さっきみたいに巨木にならないでよ・・と、願いつつ

しゃがんで鉢に向かってそっと、


「・・・・芽だけ出て。」


緊張のあまり小声になったけど、一瞬間があってから、ポンっと、勢いよく芽が出た。


「芽が出た!!!!」


ローニャさんも、セレムもこれには目を丸くする。

えええ・・・、植物だけにお願いが効くって事・・?でも、国の緑化をしたいってセレムも言ってたし、これはもしかして役に立てるんじゃない?あ、それは嬉しいなぁとワクワクする。


「どうやら、言霊の力があるようだな・・。カエ、ローニャ、しばらくこの事は他言無用だ。」

「え・・・・???言霊の力って、なんか問題あるの?」


役に立てる〜!って思ったのに・・・。


「この世界は、魔法以外に持っている「力」を人に話さないんだ。最悪、誰かに悪用される危険もある。花や実をつけられるのは素晴らしいが、作物を輸入している側にとっては、懐が痛くなる問題もある。あとは、単純に言霊で大きくなった草木や花が安全かは、これから調べないと分からないしな」


「な、なるほど・・・」


そんな一瞬で色々考えられる・・王子様だねぇ・・・。


と、足元にポコっと、モルの木の実が落ちてくる。

薄紫の実はツヤっとした皮に包まれて甘い匂いがする。これって食べられるのかな・・。セレムが持っていた木の実を、私からそっと取って、じっと見つめる。


「・・・モルの実は昔はよく食べられていた。栄養価も高い。これがこの地で増えれば、確かに助かるな・・。」

「そうなんだ!これって、このまま食べても平気?」

「・・・もう少しこちらで調べてからが、いいかな・・。」


そういって、セレムは胸についていたポケットにしまう。


「モルの木は、一旦城の中庭に植えるか・・」


そう言うと、セレムはパチっと指を鳴らすと、木は急激に小さいサイズに変化する。モルの木を手に持つと、ローニャに渡し、散らばった枝やガラスを「戻れ」と囁くと、あっという間にいつもの温室へ戻る。す・・・・、すごーーーーーい・・・・。


「セレム・・・すごいねぇ・・・」


思わず呟くと、照れて顔を赤くするセレムから、

柑橘系の匂いが香ってくる。

え、どっかに好きって感じる所あった・・・・???




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