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仕様変更は慎重に。

アイシェさんは、去り際にかなり大きな爆弾を落としていったようで、セレムは去っていった後、フラフラした足取りで庭園のサンルームに置いてある大きなソファーに座る。私の右手を繋いだまま。



「・・・・セレム・・・・、前に話した香りって・・、もしかして好意を持っていると匂うって事でいいの?」


これ・・・自分で言っておきながら、めちゃくちゃ照れるうえに恥ずかしいな!!!

セレムが真っ赤になって、う・・とか、あ・・とか言いつつ、小さくうなづく。

う、うわぁああ・・・!!!ちょっと待て?来た当初から匂ってたよね・・。

しかも、それをセレムに確認したよ・・?

と、いう事は・・・・



私の事、好き?付き合う?


って、聞いているようなもんじゃない???

そりゃ真っ赤になるよね・・。好きって訴えてる人に確認・・・

うわぁあああ、のたうちまわりたい。



「・・・すまない・・。説明しようと思ったんだが・・、その・・」


あ、そういえば説明しようとして、うやむやになったな・・・と、ふと思い出す。


「来た当初に説明しようとしてくれてたね・・。ええと、改めてちゃんと説明してもらえる?」


異世界の恋愛ルールで失礼があってはいけない・・。

生真面目日本人なので、まずはルール確認しないと生きていけない生き物です。多分。セレムは、視線を少しうろうろさせてから、私の右手を握って説明してくれた。


「・・・・・竜族は前に説明した片翼を見つけると、つ、付き合って欲しい・・と、伝える代わりに体から香りが出るんだ。あ・・、相手も了承して香りを出した相手と手を繋ぐと、付き合うことになる・・。」


ん?なんだって・・・手をつなぐ・・・???


「え?すでに手を繋いでるけど・・・、じゃあお付き合いしてるって事?!」


て、手を離した方がいいのでは?

動かそうにもビクともしないけど・・・。


「い、一応・・・?ただ、カエはその慣習を知らないわけだから・・」


そう言って、繋いだ右手をちらりとセレムが見るので、私の心拍数がまずいことになる。お互いじっとりと手汗がやばいですよ・・・。


「っていうか、会ってすぐに「片翼」ってわかるものなの?」

「お互いに香りがするんだ。片翼以外は、匂わない。カエが来た日は、たまたま森へ視察に行ってて・・・香りがしたから、すぐにわかった・・・。」


お、おぅ・・したねぇ・・柑橘系の爽やかな匂い。


「セレムだけでなく私も匂ってたんだ!だから見つけられたのか・・」

「この世界では、片翼は一人しかいないから・・。」


「ん???一人???」


あれ、すごいこと言ってるぞ・・。

2.3人いるとかじゃないの?


「この世界の神が、竜族は強いから・・片翼は一人と決めてるんだ・・。だから、俺の片翼はカエだけだ」

「ああ、なるほど・・・。便利というか・・なんというか・・・じゃあ、お付き合いをしないとか、考えられない世界なんだ・・」


いうやいなや、セレムはさっきまで下を向いてボソボソ喋ってたのに、勢いよく顔を上げて



「・・・・俺は、ダメか?」


・・・・・・・・・・・・やめて。そんな捨てられた子犬みたいな目でこっちを見ないで。あと握った右手に力が入ってるーーー。痛いってばーーーーーー。

呼吸!!深呼吸して!!!!


「・・・まだこの世界に来て1週間しか経ってないし、わからない事だらけだし・・、お付き合い・・というより、生活の仕方を覚えていく方が先かな・・って思ってるんだけど・・。」

「覚えながら、付き合っていくのは?」

「ぐ、グイグイ来るね・・・。」


でもそうだよな・・・。

この世界に一人しかいないんだもんね・・。

見つけて結婚できたら一人前になれるとか言ってたし。これは断るとか絶対無理なやつなんだろうな・・。

いや、好きか嫌いかでいえば、この1週間本当にお世話になりっぱなしだった。優しいし、丁寧に色々教えてくれるし、美少年なのにいい子だなぁとか、いい匂いだなぁ・・とか・・・

す、好き・・・な方なのか・・・な・・・?


「カエ、すごくいい匂いがする」


セレムが嬉しそうに首筋に顔を寄せる。


「わぁああああああ、ちょっと待って!!!今、ちょっと待って!!!」


そうだったーー!!!好きって匂いで伝わるんだった!!!

す、ステイ!!!ステイ!!!!


「ゆ・・・、ゆっくり!!!!ゆっくりまったりのんびりのお付き合いで!!!それ以外は認められない!!!ていうか、認めません!!!あと説明してない事ってない??!!!」



「・・・・付き合ってくれるのか?」

「・・・・お、女に二言はない!」


セレムが、ここに来て初めて見る・・ってくらい嬉しそうな顔で微笑みながら右手を指で撫でてくる。

くそう、美少年のタッチと、笑顔の破壊力すごい!!

多分首まで真っ赤であろう私は、もう息するのも一苦労だ。


「・・・片翼として付き合う事は、人間でいえば婚約者になるって事だ。よろしく婚約者殿。」

「ちょっっ・・・・・!!!!それ、絶対わかってて言わなかったでしょ??!!!!」



私の大声が城中にこだました・・・。


わずか1週間で「植物係」から「婚約者」になるなんて・・

地球のお父さん、お母さん、あと弟・・・お姉ちゃんは意味がわかりません・・。




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― 新着の感想 ―
[一言] カエちゃんからも柑橘系のにほいがしていたのですね( *´艸`) 両思い(*^▽^)/★*☆♪ 改行も気遣ってくれてありがとうございますm(_ _)m 続きもドキドキワクワクです♪
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