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そんな時もある。その2


何日かして、私とセレムはハーリカさんの所へ行く事になった。

頭の中は野菜で一杯である。

食いしん坊万歳!


早速転移魔法でハーリカさんの所へ行くと、前回見に行ったあの大きな畑の場所だった。


「セレム様、カエ様、お久しぶりです!」


ハーリカさんは相変わらず大きくて、緑の瞳はキラキラしていた。

嬉しそうに手を差し出してくれて、私達はしっかりと握手した。うーん、相変わらずがっしりした大きい手だ。そうして、早速畑を案内してくれる。


「カエ様が育てた野菜の成長が本当にすごくて、あれから領民一同驚きっぱなしなんですよ。今日は、彼らも収穫を手分けしてやっているんです」


そう言って、指差す方向を見ると、遠くで何人もしゃがみつつ野菜を収穫してる。


「野菜・・たくさんできているようで良かったです。川の水も綺麗になっているし・・来年もたくさん収穫できるといいですね」

「はい!!」


ハーリカさんと私は、笑いあって畑を見る。

うんうん、色々実って頂かないと・・・そう思っていると、セレムの護衛騎士さんの一人がこちらへ駆けてくる。セレムが顔を向けると、敬礼してそっとセレムに近づき、小声で何やら話している。

静かにセレムがうなづき、こちらを振り返る。


「・・・・すまない。火急の用ができた。すぐに本城へ行ってくる。ハーリカ、カエを頼む・・」

「わかりました!お任せを」


なんだろう・・。

いつもぴったりくっついているようなセレムなので、離れて出かけるって事は、よくないことが起きているのかも・・?そう思うと、胸がざわざわする。セレムを見ると、そっと頭を撫でて


「・・すぐ戻る。心配するな」

「・・うん・・」


不安は残るけど、私が出来る事は少ない・・。

せめて笑顔で送ろう。

引きつるような笑みだけど、笑ってセレムを見送る。


・・と、畑に残った私とハーリカさん。

うーん・・・どうしよう・・。


「あ、ハーリカさん!私も収穫手伝っていいですか?」

「え、カエ様が!?」


ハーリカさんが驚いて聞いてくる。

まぁ、そうだよね・・。奥さんは控えてらして〜って言ってたし・・。

後ろにいるローニャさんをチラっと見ると、分かってたようで、


「ハーリカ様・・・、実はカエ様、お手紙を頂いた時、収穫をお手伝いするのかと思っていたくらいなんです」

「はい!だから、実は着替えも、こっそり持ってきてて・・。あ、セレムには内緒ですよ?セレムがいたら、やらなかったですし・・・」


まぁ、正確には手伝わせてもらえなかっただろう・・だけど。

そっとハーリカさんを見上げると、面白そうに笑っていた。


「カエ様は、なかなか大胆ですな!」

「すみません・・・。ちょっと手伝ってみたい!という欲望に逆らえませんでした・・」


そう言うと、声を出して笑うハーリカさん。

大きい人が笑うと、声がこっちのお腹にまで響いてくる!

びっくりすると、ハーリカさんは、笑いをこらえながら、用意されていた天幕を指差す。


「・・・それでは、セレム様に内緒で収穫のお手伝い、お願いできますか?もちろん、私達の秘密です」


指を口元にあて、ウインクするものだから、ドキっとしてしまう。

ハーリカさん・・それ、様になりすぎです。


私は早速お礼を言って、ローニャさんに持ってきてもらったシャツと、パンツを履く。今日はブーツはあらかじめ履いてきたけど、セレムに怪しまれずラッキー!なんて思っていた。


すっかり支度ができると、ハーリカさんが籠とハサミを持って、畑の入り口で待ってくれていた。


畑の中へ入ると、色とりどりの野菜が実っている。

収穫の仕方を教えてくれて、籠の中に野菜を入れていくのが楽しい!


「こっちにもある・・」


野菜と野菜の間をすり抜けて、収穫していくと・・籠が野菜で一杯になっている事に気付く。


「あ、ハーリカさんに言わないと・・」


そう思って振り返ると、あちこちを歩き回って、気が付いたら私よりずっと背の高い野菜畑の中で囲まれていて・・ハーリカさんも、ローニャさんも見当たらない・・。


「え、どうしよう・・・」


声を出して呼ぼうとすると、後ろから声がした。



「・・・あれ?女の子がいる」



収穫していた領民の人達だろうか・・

赤茶の髪をした10代くらいの人懐っこい顔をした男の子が同じく籠を持って立っていた。

よ、良かった・・!人がいた!!思わずホッと安心した私だった。





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