そんな時もある。その1
ラウラさんの住むエルフの国ノルウェルで、星落ちを楽しみ・・、また近く会いましょうね!と、約束し・・私達は帰ってきた。
ちなみにキリルさんとは、カメラ友になった。今でもよく手紙で色々聞かれたり、撮った写真を見せ合っている。動画が撮れることを話したら、ものっすごい喜んでいた。
近く、白丸ちゃんと共に送ってあげよう。
セレムは、穢れを人為的に起こしている事を、私を通して知って、すぐに行動に移したらしい。しばらくすると、落ち着いた・・と、話していたので、私もホッとした。実はちょっと気になってたんだよね。
季節は、すっかり秋の気配がして・・
温室の窓を開けると、涼しいから寒い・・と感じるようになった。
ローニャさんが、部屋を夏から冬へと少しずつ整えていく。
「秋は一瞬で終わって、すぐ冬が来るので早めに支度しないといけないんです」
「そうなんだ・・、何か私もできる事ある?」
「セレム様の機嫌管理をお願いします。それが一番助かります」
「え、割と通常営業なんですけど」
「ぜひとも末長くお願いいたします」
流れるようなローニャさんの会話は、今日も滑らかだ。
いいのか・・、お城で一番偉いはずのセレムに・・。まぁ、いいか・・・。
結局ソファーに座って、せめてもとクッションのカバーを冬用の物に替えるお手伝いをする。
すると、噂の本人がやって来る。
「カエ、ハーリカから手紙だ」
「ありがとう〜。なんだろう〜」
「そろそろ収穫の時期だろうから、知らせてくれたのかもな」
「野菜!!!」
「・・・カエ、楽しみにしていたからな・・」
セレムは目が光った私を見て笑う。
だって・・野菜、美味しかったじゃん〜・・。
手紙を読むと、セレムの読み通り、「野菜の収穫が始まったけれど、よかったら来ませんか?」というお誘いだった。
「え、収穫もさせてもらえるのかな?」
「カエがしたいなら、頼んでおくが・・・」
隣に座ったセレムは、ちょっと複雑そうだ。
「え・・っと、収穫ってダメなの?」
「王子の奥様ですし」
ローニャさんが、面白ろそうに言う。
奥様・・・。
そう、でした・・・。
奥様・・って言われるのに、実はまだ慣れていなくて・・、その単語を聞くと照れちゃうんだよね・・。私はちょっと顔が赤くなって、うつむいてしまう。
はい、奥様・・、あまりはしゃいではいけませんね。
セレムがそんな私をクスクスと笑って見ている。
「な、何・・・?」
「いや、まだうちの奥さんは慣れていないんだな・・と思って」
だから!そう言われると照れちゃうから!!私は無言でセレムを睨む。
「・・・せ、セレムは慣れたの?」
「俺は、夫と言われると嬉しいが・・?」
そう言いながら、私の頬を優しく撫でる。
・・・この人、私の心臓を止める気なんじゃないかな???
私は頬が赤くなっていくのを感じる。
「カエが嬉しく感じてくれたら、俺も嬉しい」
「・・・・・う、嬉しいです・・けど・・・」
その前に、心臓が止まりそうですが・・。
最近、本来の年齢に戻ったセレムはもう本当に凄まじく色気に磨きがかかって、見つめられた日には心臓がもたない・・。嗚呼、小さい頃のセレムに会いたい・・。
じいっとセレムがこちらを見ると、恥ずかしくて目線を逸らす。
なぜ結婚しても、こう・・迫ってくるんだ・・セレムは。
「あの・・・、セレム・・そんなわけで収穫はいいので、ハーリカさんの所へは行きたい・・です」
「そうだな・・、では連絡しておく」
「お、お願いいたします・・」
そういうと、セレムがにっこり笑いかける。
うわぁ・・綺麗な顔だなぁ・・思わずそう思って見惚れていると、頬にキスされる。
「せ、セレ・・」
「また後でな」
セレムは面白そうに笑いながら、部屋を出ていく。
「わーーー、完全に忘れてますねー。」
面白そうに微笑むローニャさんと私を残して・・・。
き、気まずいんですけどーーー??!!!




