ピラニアピラフと、夢の続き
「えーと、じゃあこのピラニアピラフでお願いします。」
「ピラニアピラフですね。サイズはどうしますか?」
「あー、じゃあデカデカマルマインサイズで」
「分かりました。ピラニアピラフデカマル一丁」
「「「ウェーイ」」」
店の中にいた定員はチャラい感じで掛け声を出していた。
…しかし、ピラニアピラフか…懐かしいな、あの頃を思い出す。
あれは確か物思いに耽っていた小学2年の春、新入生の騒ぎようにに耳を痛めていた時期だっけか。あの頃はいつも1人でいた。
僕はあの時からずっも女体が大好きだった。その日も確か、見たことも無い女体に対し、想像を膨らましながらスケッチに自分の妄想を描きなぐっていた。
公園のベンチでそれを夢中で描いていると、その時、スケッチブックは影に覆われていた。
目の前に人がたっていたのだ。とても邪魔だった。
「どいて貰えませんか、私の作品はあなたのせいで完成が遅れてしまっている。たとえ数秒でも、私は時間を無駄にしたくないのです。時間は元に戻りません。今こうやって話している間にも、時間はすぎています。どう責任を取ってくれるんですか。」
僕は初対面の人が相手だったので、できるだけ、言葉を選んで、相手が傷つかないように気を使って話しかけた。
「………」
対する影の主は無言であった。
どいてくれそうもなかったのでこちらが動こうと、席を立った瞬間……
バサッ
目の前には裸の女性が立っていた。
身にまとっていた外套を思いっきり広げていたのだ。
今でもその時のことは克明におぼえているあ。よく見るととびきりの美人でスタイルもよく、20前後と思われる彼女は、わずかながらに頬を赤らめてこう言ったんだ。
「どう?かわいい…かな?」
頭が狂いそうになった。今まで自分が求めてやまなかったものが、目の前に現れたというのに、僕は絶望に顔を歪めていた。
この時に僕は気づく。
ーー僕が好きな物は、女体なんかじゃない。見たことも無い女体に想像を広げている行為その物が好きだったんだ、と。
女体を見てしまったが最後、僕の好物は一瞬で壊されてしまった。
その日は帰りにピラニアピラフ5人前食べた。
とぼとぼと歩く僕の影は、それまでで1番小さく見えたんだそうだ。