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それでも生きる《花川優奈 詩集》

作者: 花川優奈

連載にはしませんが、時々ちょこちょこ伸びている(詩がふえている)かもしれません


《伽藍堂》


頭の中の何かの欠片が抜け落ちる



ポタポタ音を立てて日に日に崩れ去る



嗚呼、いつか頭の中が伽藍堂になって



そうして人はがらくたのように



死ぬのでしょうか







《ココロ》


ココロが闇に包まれて

悲しい音を立てる



きっとココロに流れる真っ赤なものが蒼く変わってしまったんだ



ココロが闇にポッカリあって

孤独の音がなる



きっとココロに流れる真っ赤なものが黒く染まってしまったんだ



響けよ響け 悲しい音

聞けよ聞け 孤独の音







《私》


私、とは何なのでしょうか



あなた方は私を石像とでも思っているのでしょうか



若しかすると石像ですらないのかもしれません

若しかすると幽霊のたぐいなのかもしれません



ならば私は幽霊らしく

何も云わず

黙っていれば良いのでしょうか



幽霊の私には

言葉を紡ぐ

権利もないのでしょうか







《美的せんす》


雨雲がほおづえついて居座っています

それはどんよりとした雲です


いつかそれは大きくなって雨を降らすでしょう

もしかしたら雪かもしれません


それはさらに大きくなって大雨になるでしょう

もしかしたら嵐になるかもしれません


やがていつかそれらは止み、綺麗な青空が広がるでしょう

もしかしたら虹がかかるかもしれません



太陽が元気いっぱい広がっています

辺りを明るく照らしています


いつかそれは眩い程の光を纏うでしょう

もしかしたら見えないほどかもしれません


それはさらに光って誰かの光になるでしょう

もしかしたら辺りに花や草木が育つかもしれません


ですが、やがてそれらは雲に覆われるでしょう

雨が降るかもしれません



移り変わるは、人の心


時にはそれを面倒に思うかもしれません

もしかしたらなくなってしまえば楽なのにと思うかもしれません



でも、私は思うのです

移り変わるからこそあなたはとても美しい







《侵食》


脳天とつま先に、黒い何かが落とされた。

ポトリポトリ。

それはゆっくりとでも確実に広がっていく。

じわりじわり。


音を立てて、私の息の根を止めるために。

音を立てて、私の心の臓を染めるために。


ほら、どんどん進んでいくよ。

ポトリポトリ。

真っ黒い何かは蠢いて。

じわりじわり。


音を立てて、私の世界を止めるために。

音を立てて、私の未来を染めるために。


真っ暗な世界に取り込まれたよ。

ポトリポトリ。

立っていることもできないよ。

じわりじわり。


音を立てて、私の世界が崩れていくよ。

音を立てて、私の地面は狂っていくよ。


無音の世界にやってきたよ。

ポトリポトリ。

怖いよ怖い。

じわりじわり。


音を立てずに、私の地図は崩れていくよ。

音も立てずに、私の感覚は狂っていくよ。


イタイイタイ。

ポトリポトリ。

クルシイクルシイ。

じわりじわり。


嗚呼、楽になってきた。

ポトリポトリ。

何も感じないよ。

じわりじわり。


侵食完了。

何処かで誰かがそう呟いた。

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