お前らなぁ【クロウ目線】
いや、さっきので終わらせておけばよかったのにって。
今回は「ドキッ! 男だらけの~?」って感じなので、苦手な方は見ないでスッキリと終わってください。
基本漫才みたいになってますが。
きっかけはなんてことないものだった。ここ最近育児で忙しそうなステラの息抜きをしてやろうと思った。ただそれだけ。ついでに暇するであろう野郎共を捕まえて、久々に飲むか程度の心づもりだった。だから『パジャマパーティー』の裏でもうひとつ別空間を作って野郎共と飲み会をしようと思ったのだが。
それがどうしてこうなるのか。
「うう……ぼくなんてぼくなんて」
「わがりまずぅぅうう!!!」
目の前でよくわからない慰め合いをしているのは、オーラリネリアのカルロヒューレンとリベリヲンのタマキだ。オレにとっては弟子と舎弟みたいな二人だが、酔っ払うとこんなに面倒臭くなるとは思わなかった。オレはグラスを傾けつつ、せこせこと手元を動かし溜息をついた。
「珍しいな。クロウが酔うなんて」
声を掛けてきたのはディグリースのディーだ。
「酔ってねぇよ。お前こそ相変わらず目が死んでんな」
「うるせー。酔ってないって言うならそれはなんなんだよ」
ディーが指差したのはオレの手元だ。レース編みが順調に仕上がっている。
「ああ、これは娘達にあげようかと……」
「自覚ないのか? お前酔うとなにか弄らずにはいられないだろう。大抵は奥方の髪が芸術作品みたいになるけど、ここに奥方はいないからな」
「…………。」
言われてみれば、よくステラの髪を弄っていた気がする。真っ直ぐで、サラサラで、こうしたらもっと可愛いのでは、と思ったらつい手が伸びる。編み込みをしたりリボンのように結んだり。やりたいことは尽きない。
ばつが悪くなって目の前の馬鹿共に目をやる。
「いや、違う。それは拒絶じゃない。攻めていい」
「えええええやだぁあああ俺嫌われたくないぃぃいいい」
妻とのスキンシップがどうとかで盛り上がっているらしい。タマキはヘタレだからカルロヒューレンに軍配が上がる。
「……へぇ?」
薄ら寒くなるような声を出したのはディーだ。これはまずい。思ったより酔っ払っていたらしい。ディーがやって来た方を慌てて確認すれば、酔った時にする小難しい魔法理論を聞いて睡魔に敗れたであろう、被害者が何人か倒れ伏していた。
「じゃあカルロ陛下。奥方のどんなところが可愛い?」
知識欲が要らん方向に働いている。顔に出ないからすっかり油断していた。
「マリサはぁ、割と甘えてくる……。上手く隠しているけどうっかり者で……触られるのが好きで、しあわせそうに笑ってくれる……」
「おっおっ俺もっ! ノエルはぁ……あれ?」
「お前らなぁ……」
しょうもないなと溜息をつく。タマキは後でノエルにしばかれるな。絶対。あの皇后サマは非常に賢い。しかも怖い。
傍観を決め込んでレース編みを続けていると、しゅるりと首のストールを盗られた。犯人はディー。
「クロウ? おれが見逃すはずないよね……?」
「げっ」
身を引こうとしたが、ディーがオレの肩を掴む方が早かった。視線が首に突き刺さる。
「どうしたんだ、その歯形」
「訊くなよそういうことバッカヤロ」
「えー? 教えろよ……知りたいんだよ……」
「チキショウ酔ったステラに噛まれたんだよ真顔で迫ってくんな」
ディーを張り倒すと、タマキがなぜかさめざめと泣いていた。
「うわーん俺BLは好みじゃないぃいいいい!!!!」
「黙れクソバカ!! BLってなんだよ!!」
「おれも知らない。なぁ教えてくれよ」
「おいコラ、ディー。テメェもいい加減にしろ?」
「マリサ」
「カルロヒューレンはもういいから壁に向かって惚気てろ」
ぎゃんぎゃんと怒鳴っているうちにやっと全員大人しくなった。翌日、野郎共は全員二日酔いでダウンし、妻達に呆れられるのであった。
ディーですが、『知識の箱の最高傑作』の主人公です。間違っていません。そこそこ腹の底が黒いですが、普通に酔っ払う人間です。
野郎共は書いてると……漫才みたいになってしまいます……




