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チビ陛下と私の味噌汁ウォーズ  作者: 佐田祐美子
前半、馴れ初め
12/32

話を聞け

「お披露目で、各国の要人が集まって、王宮の警備が手一杯で、マリサ様の捜索に、人員割けなくて、ごめんね」


 リーンが話しながら舟だの鳥だのの障害物をさりげなくどかしていきます。私はといえば、振り落とされたりしないように掴まっているだけで精一杯でした。それにしゃべったら舌を噛んでいたに違いありません。


「それに僕、実はすごく怒ってるんだよ。せっかくレッスンしたのにさー、それを台無しにされちゃあ、ね?」


 ニコッ、と笑う姿にリリアンヌが透けました。


「見せつけてよ、リリアンヌ様の一番弟子」


 いつの間にか、私はリリアンヌの一番弟子にされていたようです。頷いてみせましたが、舟の揺れと一緒でわからなかったかもしれません。

 気づけば王宮の船着き場へ突っ込んでいて、走行中の車から飛び降りるように着地しました。リーンが魔法でなんとかしてくれたんだろうなということしかわかりませんでしたが。


「マリサ様、立てる?」


 訊かれましたが、立てませんでした。膝が笑っています。リーンが目の前にしゃがみました。


「そこの階段を上れば王宮の一階に着くよ。ホールの階段を上ると謁見の間の大扉があるよね? その右のドアから入って通路を進めば、陛下の姿が見えるはずだよ。大丈夫。マリサ様を襲った犯人は僕達が捕まえる。マリサ様は陛下と話すことだけ考えて」


 リーンの言葉に頷いているうちに、膝がまともになりました。それでもこけそうになりながら、言われた通りの所に向かいます。通路を抜けて左を見れば、レンが冷めた目で座っているのが確認できました。ホッとして二歩踏み出した時、あのおじさまがレンの目の前にいるのが見えました。


 はて、私はいつの間に動いたのでしょう。


 それが本当に覚えていないのです。気がついたらレンとおじさまの間に割って入っていて、左肩、というか鎖骨の上辺りに短剣が刺さっていました。痛みはなくて、ただ燃えるように熱かった。目を閉じるのがシャクで、思いっきり目を見開いた! なぜなら私は怒っていた!


「だ・か・ら! 人の話を聞けって言ってんでしょうがぁぁあああああああ!!!!」


 腹の底から叫んだので、どよめいていた会場がしんと静まり返りました。その後視界が霞んだので、酸欠かと思いましたが違いました。私はとうとうその場に倒れてしまったのです。なんなのでしょうね、小・中・髙と皆勤賞で、体だけは丈夫だと自負していたのにこんな短期間で二回も倒れるとは思ってもみませんでした。


「マリサっ!?」


 ああ、レンが慌てているなあ、やっと私の名前を呼んだなあと思いながらぷつんと意識が途絶えました。呑気なものだと笑いますか? でもそんなもんです。だって慌ててくれたのが、まあ、その、それです。嬉しかったのです。



 私は三日程寝込みましたが、命は助かりました。ナイフには毒が塗ってあったものの、水龍のエレーヌは毒の浄化が上手でしたので。犯人のおじさまは実行犯とはいうものの、反王様派の人々にわっしょいされただけということで刑は軽く済みました。私がうわ言でおじさまの弁護をしていたことも考慮されたのだとか。驚きですね。


 ちなみに、反王様派の中でもおじさまのように国の未来を憂いて云々言っていた方々は、私が倒れた後のレンを見て意見を変えたそうです。見ていたレオンさん曰く「陛下はパニックになっておろおろし、治療を妨げた挙げ句実行犯のオッサンに叱られた」のです。先王なら邪魔だ捨てろと言いそうだけど、なんかこいつ違うな……もしかして今までの態度は子どもだと舐められないようにしていただけなのか、という判断を一斉に下したということでした。




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