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辺境伯

小教会で祈りを捧げると幼女姿のモニカさまが現れて抱きついてきた。


「モニカさま。」


オレは膝をついてモニカさまを抱きしめた。


「アキラさん!、逢いたかったわ。」


モニカさまはオレにキスの嵐を浴びせてきた。


「……」


「……」


「…どうしたの?、前はあんなに激しくわたしを求めてくれたのに。」


「いや、さすがにその姿のモニカさまを抱く気にはなりませんよ。」


モニカさまは6歳児くらいの姿だ。


「そう…残念だわ。」


上を見上げるとさっきまで台座にあった女神像がなくなっている。


「もしかして、あそこにあった女神像を依り代にして顕現されたんですか?」


「ええ、この土地は魔力が集まりやすいみたいね。まさかわたしも顕現できるとは思わなかったわ。」


「大人の姿にはなれないんですか?」


「今のままじゃむりだけど…婚姻契約すれば、なれると思うわ。今すぐする?」


モニカさまは首にかけた婚姻魔石を掲げた。それはすでに真っ赤になっていた。準備完了の証だ。


「いえ、できたら。他の皆と一緒にしたいので…すみません。」


「そう、他の子たちの婚姻魔石の状況はどうなの?、」


「アリエス、トレイシー、シルフィ、ゴールド、ブルーはもう真っ赤になっていますが、ステラさん、アイ、レイがあともう少しって感じですね。」


オレが婚姻魔石を渡した後、皆は懸命にそれに魔力を注いでいるが、ステラさん、アイ、レイの一般人レベルの子たちはどうしても時間がかかってしまうようだ。


「わかったわ。それじゃあ大人の姿のわたしに逢いたければ下界の教会に来なさい。待ってるわ。」


モニカさまは光につつまれたと思うと元の女神像になった。って、下に移動してるんですけど…


オレは女神像を抱え上げ、元の台座の位置にもどした。モニカさま、もう少し待っててくださいね。





それから一ヶ月が経ち、ライトガルドの町はほぼ整った。道には石畳が敷かれ、メインストリートには商店などが並び、外側の区画には住宅がある。領主館も小さいお城のような感じの立派なものが完成していた。


オレは剣と斧が交差するエンブレムがあり、[冒険者ギルド]と日本語で看板が出ている2階建ての建物に入った。ライトガルドにできた冒険者ギルドだ。


入ってすぐに受付があり、栗色の髪をした少しソバカスがある可愛らしい女の子が座っていた。


「こんにちは、デイジーちゃん。スティールさんはいるかい?」


「あ、こんにちはアキラさん。はい、奥にいますよ。」


「それじゃあ、失礼するよ。」


オレはカウンターの中に入り、階段を上る。2階の奥の部屋の扉をノックした。


コンコン


「どうぞ。」


中に入ると執務机で50歳くらいの紳士が書類を見ていた。白いものが混じる金髪に碧眼、黒縁のメガネをかけている。オレの惚れた誰かさんにそっくりだ。


「いらっしゃい。アキラさん。どうぞお掛けください。」


紳士は執務机の前にある応接セットの椅子を示した。


「失礼します。」


オレはその椅子に座った。


「どうぞ。」


紳士は紅茶を入れて目の前においてくれた。


「ありがとうございます。」


それを一口飲む。ダージリンだ。香りが素晴らしい。


紳士が正面に座る。


「スティールさん。ライトガルド冒険者ギルドの調子はどうですか?、」


この紳士はスティールさん。ステラさんの父親だ。リタンブールで冒険者ギルドの職員をしていたのだが、リタンブールのギルドマスターが逮捕された騒動でごたごたしていたどさくさに紛れてここに引き抜いてきたのだ。


「順調ですな。スライムの魔石、ポーション、マジックポーションの確保、販売は予定通り。そして先日、ついにボス部屋が発見されました。」


「ほう。なにが居ました?」


「ラージスライムです。」


「では、ハイポーションが手に入ったのですね?」


「ええ、これからは安定的に確保できそうです。」


「それはよかった。スライムからのドロップ品はこの町の収益の柱ですからね。これで安心して王都に行けます。」


「ステラたちは先に王都に行っているんですね?、」


「はい。今回はしっかりとオレの晴れ姿を見てもらいますよ。では、そろそろ失礼します。」


「はい、頑張ってください。」





黄金に輝くドラゴンが王都クリシュナのドラゴンポートに着陸した。


その背からスリーピースのスーツを着たオレはヒラリと飛び降りる。


ドラゴンは光に包まれ、ドレスアップした幼女の姿に変わった。


「お待ちしていました。アキラ殿、ゴールド殿。ささ、こちらへどうぞ。」


「こんにちは、ローレルさん。よろしくお願いします。」


王都守護隊隊長、ローレルさんの指し示す先には煌びやかな馬車が止まっており、中にはアイとレイがいた。


「「おつかれさまですアキラさま。ゴールドちゃん。」」


オレとゴールドが乗り込み、馬車はローレルさんたちの騎馬の先導で走り出す。


多くの観衆が見守る中、馬車は王都のメインストリートを北上して王城に入った。


城前に止められた馬車からオレたちは降り、ゴールドは別の入口から足早に先に中に入っていった。


オレは王女さまたちのエスコートでゆっくりと赤い絨毯の上を歩いて謁見の間に向かう。


謁見の間に入り、王女さまたちが離れていって、オレは玉座の前で片膝をついて頭をたれた。


2階の観覧席にはステラさんたちがいて見守ってくれている。少し息が乱れたゴールドの姿も見えた。


王様が玉座から立ち上がった。


「我はガルム17世、コーカス王である。黒ランク冒険者アキラ・クラタ、面を上げよ。」


「はっ」


オレは片膝をついたまま顔を上げた。


「そなたは、ドラゴンたちを率いて浮遊島ライトガルドを見事に開拓した。その功績を認め、辺境伯に任命する。」


「ははっ」


執事のような人が煌びやかに装飾された剣を持ってきた。


それを王様に渡す。


オレは立ち上がり、その剣を王様から両手で受け取った。


観覧席から割れんばかりの拍手が沸き起こった。


こうして、オレは辺境伯になった。

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