トレイシーの想い
カプ、
「ひゃああああん!」
誰かがあたいのお尻にかぶりつくのを感じて、目が覚めた。
背後を振り返ると寝ぼけたご主人さまが、あたいのおしりを甘噛みしていた。
「なんて、大きな桃なんだ。はむはむ。」
「あ、ちょっと、ご主人さま、くすぐったい。あたいのお尻は桃じゃないよぉ。」
あたいはトレイシー、イネルバの街の白金ランク冒険者。そしてご主人さまの奴隷。ご主人さまの女。
ご主人さまは、夜、たいてい同じベッドで眠る女の胸に顔を埋めてくる。
しかし、あたいだけは何故かお尻を攻められるのだ。
あたいだって、それなりに胸はあると思うんだけどなぁ・・・まぁ、お尻でも、ご主人さまが抱きついてくるのは嬉しい。
ご主人さまに向き直り、頭を胸でギュッと抱いた。
愛してるよ、ご主人さま。
あたいが生まれた村は北の帝国との戦争でなくなってしまった。両親もその時に帝国の兵に殺された。
父ちゃんと母ちゃんは、あたいを逃がすために、帝国兵を足止めしてくれたんだ。
1人になったあたいは、このイネルバに来て冒険者になった。
ソロでなんとか、オークダンジョンに入れるまでにはなったが、正直限界を感じ始めていた頃だった。
慢心による油断から、オークの大群に追われるはめになり、もうダメかと思った。
そこにご主人さまのパーティが現れ、あたいを救ってくれたんだ。
30以上のオークを瞬く間に全て氷結させたご主人さま・・・かっこよかったなぁ・・・
その後、美食豚亭でアリエスちゃんから話を聞いて、えっちで、優しくて、強い、ご主人さまを完全に好きになってしまった。
幸せそうな、アリエスちゃんとシルフィが羨ましくてたまらなかった。
だから、あたいは自ら、ご主人さまの奴隷にしてくれるように頼んだんだ。
そして、ご主人さまはそれを受け入れてくれ、あたいは、ご主人さまの奴隷になった。
ご主人さまは、こんなあたいでも、毎晩激しく抱いてくれた。抱かれる度にご主人さまが好きになった。愛おしくてたまらなくなった。ご主人さまのいない生活なんて、もう考えられない。
しかし、ご主人さまって、本当にすごい。今では、ご主人さまには、あたいを含めて8人もの女がいるのに、毎晩全員が満足するまで激しく抱いてくださるのだ。しかも、まだ余裕がありそう・・・いったいどれだけの精力がご主人さまにあるのか底が知れない。
「トレイシー、シルフィ、ちょっと訓練につきあってくれ。」
朝食の後、ご主人さまは、あたいとシルフィをステラ邸の庭に連れ出した。
庭の隅には、柔らかい芝生が植えられた場所があり、ここでは、多少転んだりしてもいたくない。
ここに何故か、あたいとシルフィはメイド服で立っていた。ご主人さまはいつもの黒ジャージを着ていて、少し離れた場所にいる。
「うんうん、やっぱり、そのメイド服はいいねぇ。」
ご主人さまが、あたいたちの体をジッと見ている。あたいの体にからみつくその視線にはまるで質量があるみたいだ。ああ、なんか変な気分になってきちゃう。横を見るとシルフィも顔が赤い。あたいと同じ気分なんだろう。
「よし、それじゃあ、シルフィ、ウィンドバリアを展開してくれ。」
「はい、ウィンドバリア!」
風の障壁があたいたちを覆う。
「うん、いい感じだ。」
ご主人さまが一点を凝視している・・・シルフィのオッパイだね。強風に吹かれてぶるんぶるん揺れている。
ご主人さまがオリハルコンの傘を構えて、突きをくりだす。
ガン!
勿論、その一突きくらいでは、シルフィのバリアはびくともしない。いまやシルフィのバリアはキングミノタウロスの攻撃すら跳ね返すのだ。
ガン、ガン、ガン、ガン、ガン・・・
執拗にご主人さまは突きを繰り出す。
ガン、ガン、ガシュ、ガシュ、ガシュシュ・・・
ん?、なにか、音が変わってきた?
ゴシュ、ゴシュシュ、ゴシュシュシュ・・・
傘が回転しているんだ。アンブレラアタックを発動させたときのように普通の突きに螺旋回転が加わっている・・・
「よし、つかめた・・・これだああああ!」
ご主人さまは、一旦傘を思い切り引き、そして、その体ごと、螺旋回転でバリアに突っ込んだ。
ゴシュシュシュシュシュウウウウウ・・・パリン!
バリアが砕け散り、ご主人さまは傘を離し、シルフィの胸に顔から突っ込んだ。
ボフ!
「やったよ、シルフィ、このオッパイに顔を埋めるために頑張れた。」
「はい、ご主人さま、よく頑張りました。えらいえらい。」
シルフィはご主人さまの頭を胸に埋め、なでている・・・ああ、いいなぁ。
そして、ご主人さまは、シルフィの胸から顔を離し、こちらを向いた。
「よし、じゃあ、次はトレイシー、鬼ごっこにつきあってくれ。」
「鬼ごっこ?」
「ああ、これから、オレはトレイシーのお尻を捕まえるべく、追っかけるから、できるだけ逃げてくれ。ただし、この芝生から出ちゃいけないよ。」
「・・・わかったよ。」
やっぱり、あたいはお尻を追いかけられるのね。胸に突っ込んでくるんなら、わざと捕まってもいいと思ったけど、お尻はやっぱり、恥ずかしいから、全力で逃げさせてもらうよ。
「いくぞぉ、はああ、」
ご主人さまが、突っ込んでくる。あたいはこれを余裕でかわし、距離をとる。
「まだまだぁ!」
ヒョイ!
再び、あたいは華麗に避ける。ふふん、そう簡単には捕まらないよ。
それから、5分ほどは、余裕で逃げられていたが、徐々に変化が現れ始めた。
ご主人さまの突進が不自然に曲がったり、止まったりするのだ。
なんだ、この動きは?、
ドン!
「ひゃああ!」
危うく捕まりかかった。ご主人さまが急加速したのだ。
ドン・・・ドドン!
バフ!
「きゃああああ」
「捕まえたあ、オレの桃尻!」
気がつくと、あたいはご主人さまにお尻をスリスリされていた。
「ご主人さま、くすぐったい。あたいの負けだよぉ、降参、降参!!」
「よし、続きは今晩な?」
ご主人さまは、手を離して立ち上がった。
「ご主人さま、いまの変な動きはいったいなんだったんだい?」
「ああ、ウィンドボールの威力をできるだけ殺して、自分の足元に撃ってみたんだ。最初は上手くいかなかったけど、最後は思い通りに急加速して、急カーブできた。」
「なるほど、その制御の練習にあたいはつきあわされてたんだね。」
「ああ、ありがとうな。」
「2人とも、これを見てくれ。」
ご主人さまは両手を左右のポケットに入れ、それぞれに緑色の魔石がついたペンダントを取り出した。
「ご主人さま、それはまさか・・・」
シルフィが震える声で聞いた。
「ああ、婚姻魔石だ。今の訓練中、シルフィとトレイシーを思って魔力を流していたんだ。2人に抱きつこうと必死にがんばったから、短時間で色を青から緑に変えられたみたいだ。」
ご主人さまは、シルフィとあたいの首にそのペンダントをかけた。
そして、2人まとめて抱き寄せられる。
「シルフィ、トレイシー、愛してる。大好きだ。誰にも渡したくない。ずっと、ずっと側にいてくれ、オレの子供を生んでくれ。結婚してくれ。」
視界が滲んだ。目に涙が溢れてきたようだ。ああ、あたいは、ずっと、ご主人さまの側にいていいんだ。ご主人さまの子供を生めるんだ。うれしい。うれしいよぉ。
横を見るとシルフィの目からも涙が溢れていた。
「はい、ご主人さま、あたい、ご主人さまの赤ちゃん産むよ。」
「私もご主人さまの赤ちゃん、いっぱい産んでみせます。」
「ああ、2人とも、頼むな。」




