カイザードラゴン
驚愕の事実が発覚した。
なんと、超絶威力のダイヤモンドダスト、実は単体攻撃魔法でした。
だって、ウィンドウを展開して撃とうとしたら、単体ターゲットが並んだんだもん。
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アースドラゴン
アースドラゴン
アースドラゴン
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ね?
って、こんな大怪獣3匹もでてくんなやぁ!、
150メートルくらいある広大な通路のはずが、大怪獣3匹のおかげで窮屈に見えるじゃないか。
単体攻撃魔法ってことは3匹いるなら3発のダイヤモンドダストを撃つ必要があるわけで、いまのMPじゃ、撃てないんですけど・・・
・・・とりあえず。1発撃つか。
ポチっとな。
音さえ凍結し、氷の結晶が1匹のアースドラゴンに纏わりつき、それを氷柱と化し、光の乱舞が世界を覆う。
氷の結晶が消えた後にはアースドラゴンの氷像があった。
「ゴガアアアアア!」
あ、隣のアースドラゴンがその氷像を粉微塵に砕いた。
手間が省けた。お、レベルアップした。これでMP満タン、あと2発撃てる。
結局、2匹目のアースドラゴンも3匹目が粉砕してくれ、トドメをオレたちが刺すのは3匹目だけですんだ。
こいつらに仲間意識ってないんだな。攻撃本能だけかな?
そんな調子で一番奥の広間に到達するまでに合計10匹ものアースドラゴンを倒していた。
今のオレたちのステータスがこれ、
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名前:アキラ・クラタ
種族:人間
性別:男
年齢:25
レベル:125
HP:1480/1480
MP:2120/2120
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名前:アリエス
種族:銀狼族
性別:女
年齢:15
レベル:115
HP:2150/2150
MP:750/750
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名前:シルフィ
種族:エルフ
性別:女
年齢:18
レベル:98
HP:980/980
MP:980/980
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名前:トレイシー
種族:人間
性別:女
年齢:19
レベル:118
HP:2480/2480
MP:610/610
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レベルが三桁に突入しました。上限ってあるんでしょうか?
「ご主人様、なにか力が溢れてくるよ。」
この世界の人間にはウィンドウなんか出ない。だから、トレイシーたちが数値的に能力の上昇を確認することはできない。まぁ、ギルドには能力値を確認する魔道具もあるようだが、お金がかかる。でも、そんなものなくてもこんだけ上がれば力の上昇を実感できるみたいだな。
「今なら、ミノタウロスでもハードアタックで真っ二つにできる気がするよ。」
うん、もしかしたらできるかもね。
一番奥の広間前にきたんだけど、少々困惑している。
通路より、少しだけ広くなった広間があって、その中に確かに金色に輝くドラゴンがいるんだが、ミニマップで見るマークが敵を表す赤じゃなくて、中立の黄色なんだよね、
敵性反応がないからダイヤモンドダストが撃てない。他の攻撃が有効とも思えないし・・・・どうしよ?
「シルフィ、バリアだ。」
「はい、ウィンドバリア!」
風の障壁がオレたちを覆う。
「アンブレラガード!」
オレの傘が開き、前方に障壁を展開する。
よし、とりあえずこれで中に入るか。
ドラゴンに徐々に近づく・・・あれ、こいつちっこい?
馬の倍くらいしかないよ?
それでも野生動物より大きいんだが、アースドラゴンが超巨大だっただけに・・・ねぇ?
しかもそのドラゴンはうつ伏せに横たわり、目を閉じている。
具合悪いのかな?
しかし、なんて美しいドラゴンだ。金色に輝く毛に包まれ、背中には一対の翼がある。
3メートルくらいまで、近づいたところでドラゴンは薄っすらを目を開けた。
『人間・・・敵か?、まぁよい、我に反抗する気はない。好きにしろ。』
な?!、こいつ喋った?、
「お前、ダンジョンモンスターなのに知性があるのか?」
「そういえば、長く生きたダンジョンモンスターは極稀に知性をもつことがあるそうです。・・・でも」
森の賢人、巨乳エルフのシルフィが解説してくれた。歳はオレより下だけどね。
ぐきゅるるるるる!
「知性を持ったモンスターは三大欲求に目覚めるそうです。」
「え?、今のこいつの腹の音?」
『ああ、腹が減って、なにもする気がおきん。殺すなら殺せ。』
「ダンジョンから供給されるエネルギーみたいなもので、死ぬことはないそうですが、知性に目覚めたモンスターはずっと空腹に苦しむそうです。知性があるだけに、言葉を喋る人を食べる気にもならないそうです。この広間は他のモンスターもいないみたいですし。モンスター肉も手に入らなさそうですね。」
殺せと言われて、無抵抗のものを殺せるほど、冷酷にはなれないんだよな。
こいつ、ドラゴンのくせに美しい上になんか可愛いし。
アースドラゴンと違って、こいつの表面は金色に輝く体毛に包まれている。そう、ぶっちゃけ、ふわふわのモフモフだ。・・・ああ、モフモフしてぇ。
オレはアイテムウィンドウからトロールローストをだした。
デン!
『な、に・・・肉?』
ドラゴンの目はトロールローストに釘付けだ。
「食え!」
『いいのか?』
「ああ、」
『かたじけない。』
ドラゴンはトロールローストにかぶりつき、スグに飲み干した。
ぐきゅうううううう!
ドラゴンが切なそうな目でオレを見た。
ああ、もう分かったよぉ。
残りのトロールローストも全部出した。それもスグになくなりそうだったので、ドラゴンの肉も全部出した。
共食いになるかな?、と思ったが関係ないらしい。アースドラゴンとこいつじゃ全然似てないもんな。
全ての肉を食いつくし、ドラゴンは満足そうに息を吐いた。
『ふぅ、食った食った。我は満足じゃ。』
ああ、幸せそうに目を細めてる。可愛い。
「なぁ、ちょっと頼みがあるんだが、」
『ん?、なんじゃ?、これだけご馳走してくれたんじゃ、なんでも聞いてやるぞ。』
「モフモフさせてくれぇ!」
オレはドラゴンに飛び掛った。
『あ、え?、なんじゃぁ、あん、くすぐったいぃ!』
オレは全力でモフモフした。あぁ、なんて触り心地がいいんだ。極上だ。天国だぁ。
『ああん、だめぇ、そこは敏感なのじゃああ。』
お?、こいつメスか?、オッパイがある?、ああ、でもここもいい感触ぅ。
『やめろぉお。もう、だめぇえええ!』
気がつくと、ドラゴンはビクビクと痙攣していた。
ちょっとやりすぎちゃったかな?・・・てへ。
ドラゴンは光の粒子に包まれた。
え?、なに?、これって倒したことになっちゃったの?
光が収まると。そこには8歳くらいに見える長い金髪で赤目の幼女がいた。
な、なんだ?、人化?、でもなんで幼女?
白いワンピースのシャツだけを着た幼女は立ち上がり、オレにつめよってきた。
「おい、お前。我をいかせた責任をとれ!」
「ええ?!、責任っていっても・・・」
「我とつがいになるのじゃ。」
「いや、でも、オレ、他にも女いるよ?」
そういって、アリエスやシルフィたちを見る。
「かまわん。多くのメスの内の一匹でいいのじゃ。とにかく、一緒にいてくれ。我も連れていってくれ。もう、一人はいやなのじゃあ。」
最後のが本音か、どうしよう?、困っておれはシルフィを見る。
「知性を持ったドラゴンは一度認めたパートナーは決して裏切らないといいます。いいんじゃないですか?、この子かわいいし。」
「私もいいと思う。この子には同志の臭いがする。仲良くできそう。」
「あたいもいいよ。それにこんな可愛い子、こんなとこに置き去りにできないよ。あたいたちがいなくなったら、また空腹で苦しむんだろうし。」
「おぬしたち・・・・ありがとうなのじゃあ。」
金髪幼女は号泣している。
うう、完全に外堀を埋められた。
「わかったよ、一緒に連れていってやるよ。」
「ありがとぅなのじゃあ、ごしゅじんさまぁ。」
金髪幼女はオレに抱きついて大泣きした。ちくしょう、この姿も可愛いじゃないか。流石になにする気にはなれないが。ここに置き去りにもできないよな。
金髪幼女がひとしきり泣いたところで、オレは引き剥がし、質問した。
「オレはアキラ、こっちはシルフィ、アリエス、トレイシーだ。お前の名前は?」
「我に名などない。ご主人様がつけてくれ。」
ずっとダンジョンで一人だったんだから、そりゃそうか。よし、ここはもう、直球でいくか。
「じゃあ、お前の名前はこれからゴールドだ。」
「ゴールド・・・分かった我はこれからゴールドなのじゃ。」
金髪幼女改め、ゴールドは輝く様な笑顔をみせてくれた。
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カイザードラゴン、ゴールドが従魔になりました。
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ドラゴンダンジョンを掌握しました。
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名前:ゴールド
種族:カイザードラゴン
性別:♀
年齢:5035
レベル:345
HP:600/8710
MP:6780/6780
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