私を奴隷にしてください
「ブリザード!」
極寒の嵐が広間の中を吹き荒れた。
ザコオーク5、ブラックオーク2は凍りついたが・・・
「プギャアアア!」
金色に輝くゴールデンオークは動いていた。
「いきます!」
アリエスが飛び出していく。
オレとシルフィも広間に入った。
「ウィンドバリア!」
シルフィがバリアを展開した。
ザシュ!
アリエスが駆け抜けざまにゴールデンオークのわき腹を切り裂く。
たいして効いていないようだが、ヘイトはアリエスの方に移り、ゴールデンオークは振り返り、オレに背を向けた。
「ファイアーランス!」
炎の槍が斜め上からゴールデンオークに突き刺さった。
「ブギャアアアアア!」
苦悶の表情をし、悲鳴を上げている。
「スラッシュ乱舞!」
アリエスのスラッシュ15連撃が炸裂し、ゴールデンオークは光の粒子となって消えていった。
後にはオークの魔石中と金貨1枚が残っていた。ゴールデンだけに金貨か、わかりやすいな。
残りの凍りついたザコオークとブラックオークにもトドメを刺してドロップを回収した。
しかし、この広間の掌握を告げるウィンドウが開かない・・・あいつのせいだな。
ミニマップには俺たちの光点の他に黄色い光点が一つある。
「すごいです。広間の敵をほぼ瞬殺なんて、流石です。」
「なんで、トレイシーがここにいるんだ?」
「えっと、あのぉ・・・」
トレイシーが赤くなって、オレを上目使いで見てきた。
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トレイシーが仲間になりたそうにこちらを見ています。
仲間にしますか?
[YES/NO]
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な・・・なんだとぉ、思わすYESを押しそうになるが、ここは心を鬼にしてNOをクリックした。
トレイシーは一瞬悲しそうな表情をしたが、気を取り直し、驚くべき行動をとった。
土下座をして言ってきたのだ。
「お願いです。私をアキラさんの奴隷にしてください!」
「・・・と言う訳なんです。ステラさん、どう思います?」
トレイシーとは一旦ダンジョンの中で別れ、オレたちはステラさんに相談に来ていた。執務室でソファーに座って話している。
「そうねぇ、心酔した異性に自分を奴隷にしてくれるように求めることは実はケッコウあることなのよ。相手が大好きだけど自分一人でその人を独占する訳にはいかなくて、でも確かな絆が欲しい時ね。その気持ちはあたしにも良く分かるわ・・・・ね、アリエスちゃん、シルフィちゃん。」
「わかる、私は今とても幸せ、奴隷から開放すると言われても断固拒否する。」
「はい、私も同じ気持ちです。ご主人様との奴隷契約は大切な絆です。なくしたくありません。」
「あたしも、ギルドマスターって立場がなければ、彼女と同じ行動をとるかもしれないわ。」
「みんな・・・ありがとう。トレイシーはとっても真面目ないい子だから、オレはその気持ちに答えてあげたいと思うんだけど・・どうかな?」
「実は何回か、彼女の相談をここで受けたことがあるの、彼女の気持ちは本物だと思うわ、あたしは賛成。本当に真面目でいい子だしね。」
「この間の食事の時、ご主人様の素晴らしさを語りあった。彼女はもう同志。」
「私も賛成です。トレイシーさんはアタッカーとしての腕も確かですしね。」
「よし、じゃあ、トレイシーを仲間に迎えるね。」
このあと、トレイシーと合流し、リックさんの所で奴隷契約をしてもらった。手数料として金貨1枚とられた。
カポーン!
ステラ邸の露天風呂だ。あいかわらずこの風呂は気持ちがいい。
「失礼します。」
トレイシーが入ってきた。
トレイシーの体にはまったくといっていいほど贅肉がない。しかし、女性としての柔らかさも保たれている。芸術品のようだった。
トレイシーは床に三つ指をついた。
「不束者ですがどうぞ、末永く、よろしくおねがいいたします。」
「ああ、こちらこそよろしくたのむ。じゃあ、背中を流してくれ。」
「はい、失礼します。」
トレイシーは不慣れながらも一生懸命オレの背中を洗ってくれた。
オレもお返しにトレイシーの体を隅々まで洗った。引き締まった体はさわり心地抜群だった。
「「「失礼しまーす。」」」
アリエス、シルフィ、ステラさんも入ってきた。
この後、もう一度四人に体の隅々まで、綺麗にしてもらった。勿論、オレも洗い返した。その後は四人まとめて可愛がった・・・つもりだったが、どちらかというとオレの方が四人に可愛がられたような感じになっていたかもしれない。
カポーン!
露天風呂から見える夜空が綺麗だ。
オレの右にはステラさん、左にはシルフィが寄りかかり、右ひざの上にはアリエス、左ひざの上にはトレイシーがのっている。
ああ、幸せだなぁ・・・




