エロフ
ちゅ、
唇にやわらかな心地よい感触があった。
目を開けると目の前にステラさんの顔がある。
「あら、起こしちゃった?、ごめんなさい。」
「おはようございます。ステラさん。」
「おはようございます。あたしが出勤する時間だからまだ早いんだけど。朝ごはんはできてるわ、食べる?」
「はい、いただきます。」
横を見るとアリエスの姿ももうない。オレが一番最後まで寝てたらしい。
昨日の晩は結局、一番広いステラさんの部屋で皆一緒に寝ていた。今更一人で寝るなんて考えられなくなっている。
部屋割りした意味、ほとんどなかったかもしれないな。
ダイニングに行くとアリエスが駆け寄って抱きついてきた。
「おはようございます。ご主人様。」
「おはよう。アリエス。」
テーブルにはご飯に味噌汁。それに納豆とシャケの切り身?が並んでいた。金髪、銀髪の彼女たちが純和風の朝食を作ってくれる・・・なんか感動するなぁ。
「「「いただきます。」」」
結局、この家にオレたちが下宿するにあたり、冒険者ギルドに家賃として毎月ポーションを50、マジックポーションを50納入することにした。ステラさんはただで良いって言ってくれたけど、やっぱりギルドの社宅だからね、利害関係は正しく構築しておくべきだと思ったのだ。
「「「ごちそうさまでした。」」」
「ステラさん、美味しかったです。」
「はい、お粗末さまでした。」
「アキラさん、今日はどうするの?」
「リック商会で、壁役ができそうな奴隷の子を買おうと思うんですが、」
「そう、なら、あたしの朝の仕事がひと段落した後にどこかで待ち合わせをして一緒に行きましょうか?」
「はい、じゃあ、十時半に南公園の噴水前でいいですか?」
「わかったわ。」
昼前の柔らかな日差しが降り注いでいる。イネルバの街はコーカス王国の中でも南に位置しているだけあって温暖であたたかな気候だ。
公園の噴水前のベンチに座ったオレの膝にはアリエスが頭をのせている。ゆっくりと頭を撫でてやると、気持ちよさそうに目を細める。尻尾がゆっくりと振られている。
「お待たせ。・・・アリエスちゃん、気持ちよさそうね。」
ステラさんが、ギルドでいつも着ている。黒縁メガネに紺のスーツ姿で現れた。できるビジネスウーマンって感じだ。
「おつかれさまです。ステラさん。じゃあ、いきましょうか?」
「いらっしゃいませ。アキラさま、中へどうぞ。」
リック商会の建物前に着くと、自動ドアのように門扉が開き、リックさんが出てきた。
「こんにちは、リックさん。・・・もしかして、ステラさんが、前もって連絡してました?」
「ええ、朝一番にこのくらいの時間に行くって使いを出しておいたの。」
前にも通された応接間に通された。過度な装飾はないが、豪華な部屋だ。
三人掛けのソファーにオレとステラさんが腰掛け、アリエスは後ろに立っている。
「お茶をどうぞ。」
メイド服を着たエルフの女性が紅茶を入れてくれた。
さすがエルフ、整った顔立ちをしている。しかし体のほうは、ふっくらしている感じだ。特に胸が・・・・あ、いかんいかん、ステラさんとアリエスがジトーとした目で見てる。
入れてくれた紅茶を口にするとダージリンっぽい味がした。前回アールグレイよりダージリンの方が好きだな・・・と思っていたのがよまれた?
エルフのメイドさんと入れ替わりにリックさんが部屋に入ってきてオレたちの正面に腰掛けた。
「ようこそ、当商会へ。・・・アリエス、怪我を治してもらったんですね。元気そうでなによりです。」
「はい、ご主人様にはとても良くしてもらっています。」
「それはよかった。アキラさま、ありがとうございます。」
「いえ、こちらこそ。アリエスはとっても良く尽くしてくれます。オレにはもったいない子です。」
「はは、ご謙遜を。では、本日の本題の話をしましょう。」
「はい。」
「本日は、ダンジョンの壁役がつとまる女性の奴隷をご要望・・・といったことでよろしいですか?」
「はい、それでお願いします。」
「ご予算はいかほどでしょうか?」
「逆にお聞きしたいのですが、この商館で用意できるその趣旨にそった奴隷の金額の幅はどれくらいでしょう?」
「そうですね、金貨30枚から80枚といったところでしょうか。」
「予算的には余裕がありそうなので、その子たちを一通り見せていただけますか?」
「分かりました。では5人ほどいますので、順番に見ていただきましょう。」
「はい。」
しばらく待たされた後、一人ずつ女性が応接室に入ってきた。
一人目から四人目までは、見た目にいかにも筋肉ムキムキのがっしりした体つきをした精悍な女性たちだった。確かに彼女たちなら、しっかり壁役を務めてくれそうなんだけど・・・・正直好みじゃない。オレの男が反応しない。一緒に生活するんだから、相性ってとっても大事だと思うのだ。まぁ、アリエスやステラさんを基準に考えたらいけないのかもしれないが。
最後の女性は、なんとさきほど紅茶を入れてくれたメイド服のエルフさんだった。
整った顔立ちに薄緑の髪は肩くらいまでのハーフカット。そこからエルフであることを示す長い耳が出ている。
体つきは全体にふっくらしているが太っている印象はまったくない。そして一番目を引くのは胸だ。あれはメアリーさんにも負けてない。
「彼女は見ての通り、エルフです。エルフは風の魔法を得意とするものが多く、彼女もその例にもれません。彼女の風魔法は強固な盾となることでしょう。」
「エルフのシルフィです。体力と風魔法には自信があります。よろしくお願いします。」
ペコリと頭を下げたシルフィの胸がブルンと揺れた。おぉお、なんて破壊力だ。あ、アリエス、ステラさん、そんな目で見るのはやめなさい。
それにしてもリックさんめ、はじめから、この子を推す気でいたな。
「では、ちょっと相談をしたいので、リックさん。」
「はい。では失礼します。」
リックさんとシルフィが出て行って、オレとステラさん、アリエスだけになる。
「どう?、オレは最後のシルフィがいいと思うんだけど。」
「そうね、風魔法の防御はダンジョンで戦う上で強力な武器になると思うわ。・・・あの胸はちょっと気に入らないけど。」
「はい、エルフの風魔法は強力です。あの胸は気に入りませんが。」
どんだけ胸にコンプレックスもってんだよ。大丈夫だよ、君たちのも十分に魅力的な胸だから、アリエスはまだ成長の可能性十分だし。
「じゃあ、シルフィに決めるね。」
リックさんが応接室にもどって来た。
「ご相談はまとまりましたか?」
「はい、シルフィが良いと思うのですが、お値段はいかほどですか?」
「シルフィは金貨80枚となります。」
やっぱり、上限の80枚だったか、まぁ、それだけの価値はあるよな。
「では、それでお願いします。」
金貨80枚を渡した後、アリエスの時と同様の契約儀式をした。その時に見たシルフィの裸体はボン!キュ!ボン!の正にパーフェクトなエロボディだった。もうエロフと呼んで差し支えないだろう。
「アリエスの時にも言いましたが、主人は奴隷の彼ら彼女らに最低限の衣食住を提供する義務があります。そのことをお忘れなきよう。そしてできればシルフィを幸せにしてやってください。よろしくお願いします。」
リックさんは深々と頭を下げた。
「はい、シルフィを幸せにしてみせます。これからよろしくなシルフィ。」
「はい、これから末永くよろしくお願いします。ご主人様。」
シルフィは深々と頭を下げた後、輝く笑顔を見せてくれた。




