大出世
シャワーで汗を流した後、アリエスとお昼ご飯にうどんを食べていた。こちらの市場でも普通にうどん玉が売られているそうで、油揚げをのせて、きつねうどんにして食べている。
「アリエス。コブリンダンジョン、なにも準備せずに突入しちゃったけど。もしかして冒険者ギルドで攻略マップって売ってるのかな?」
「はい。コブリンダンジョンン、オークダンジョン、トロールダンジョン共に、攻略マップが販売されてますよ。」
「やっぱりそうか、じゃあ後で買いに行こう。混みあう前に早くいかないとな。」
「ご主人様は本当に混雑が苦手なんですね。」
冒険者ギルドに行くと珍しくステラさんがいなかった。
受付にいた亜麻色の髪のふわっとした感じのグラマーさんに話しかけた。名札には[メアリー]とある。
「こんにちは、ステラさんは今はいないんですね。」
「こんにちは、マスターは今、奥の執務室で決済の仕事をしていますよ。」
「ええ?、マスター?、ステラさんって、ここのマスターだったんですか?」
「はい、つい先日大抜擢されたんですよ。なんでも貴重なダンジョン産のポーション、マジックポーションを大量に仕入れたとかで・・・」
「そ・・そうだったんですか、でも今朝、ここの受付にいましたよ?」
「ええ、なんでも、朝の混雑時間が終わった後に大事なお客さまが来るかもしれないから、その時間だけは絶対に受付業務を続けるそうです。」
「へー、ソウナンデスネ。」
どうやらステラさんは、出世しても、オレへの桃色営業を続けてくれるつもりらしい。ありがたいことです・・・うん。
「ん?、今朝もいらしたんですか?、もしかしてマスターの大事なお客さまって・・・」
「ああ、すみません。ところで、コブリンダンジョンとオークダンジョンの攻略マップが欲しいんですが、ありますか?」
「あ、はい。勿論ありますよ。コブリンダンジョンのが銀貨一枚、オークダンジョンのが銀貨二枚になります。」
「それじゃあ、両方ください。はい、銀貨三枚です。」
「はい、確かに、少々お待ちください。」
プルルン!
おぉ、静かに立ち上がっただけで大きく揺れたよ、なんて破壊力の最終兵器なんだ。いや、なにとは言わないが。あ、アリエスがまたじとーっとした目で見てる。いかんいかん。
メアリーさんは、すぐに戻ってきた。例のものを揺らしながら。いや、あの兵器は男を悩殺せずにはいられないんだ。全ての男の冒険者は思っているはずだ。絶対だ。
「はい。これが、コブリンダンジョンとオークダンジョンの攻略マップです。どうぞ。」
「ありがとうございます。」
リビングでコブリンダンジョンの攻略マップを見ながら、アリエスと作戦会議をした。
「今オレたちがおさえている広間から最奥のボス部屋まで、中継地として使えそうな行き止まりになった広間が三つある。これらを順番におさえていきながらボス部屋攻略をめざす。」
「はい。」
「ザコはファイヤートルネードで掃除し、ボブコブリンはアイスボールで固めてから討つ。アリエスはオレがアイスボールを撃つ間、ボブコブリンをひきつけておいてくれ。」
「わかりました。」




