ステラの平和な一日
この話は前話で一応の完結としましたが、回収しきれなかったフラグが多くありますので、今後は不定期にポツリポツリと書きたいと思ったときに書いていこうと思います。
胸になにかが吸い付く感覚で目が覚めた。
目を下に向けるとアキラさんが、あたしの胸に顔をうずめていた。
もう、おっきな赤ちゃんねぇ。
あたしは一度その頭をギュッと抱きしめて放す。
残念ながら今日の添い寝当番はあたしじゃなく、シルフィだ。
向かいで寝息をたてているシルフィの胸にその頭を預けるとアキラさんは気持ちよさそうに、その豊満な胸に顔を埋めた。
ベッドを出て白いスリップの上からYシャツを着て、その上から黒のスカートと上着を着て、最後に黒縁のメガネをかける。
あたしはステラ・クラタ・ライトガルド。コーカス王国辺境伯、アキラ・クラタ・ライトガルドの妻であり、コーカス王国冒険者ギルド、グランドマスター兼イネルバの街の冒険者ギルドマスターだ。
寝室を出たあたしは母屋を出て、中央の塔を上る。
塔の見晴台には先客がいた。
ゆるふわのプラチナブロンドが風になびき、その姿は息をするのを忘れるぐらい美しかった。
そこにいたのは比喩でもなんでもなく、正真正銘の女神様だった。
「おはようございますモニカさま。」
「あら、早いわね。ステラちゃん。おはよう。」
あたしはモニカさまの隣に立ち、見晴台からの景色を見る。
浮遊島ライトガルド、それは雲海の上に浮かぶ島、その中心部に立つこのライトガルド城の塔はこの世界で一番高い位置にある。
南には海に浮かぶ島々が見え、北はコーカス王国のほぼ全てが一望できる。
「相変わらずここからの景色はすばらしいですね。」
「ええ、そうね。」
下から悲鳴が聞こえた。目を向けるとメイドたちがこちらを指差して騒いでいる。
「うるさいのに見つかっちゃったわね。降りましょうか、ステラちゃん。」
「はい。」
塔を降りるとメイド長につかまった。
「モニカさま、ステラさま、お2人とも身重なのですよ。あんな危ないところに上られては困ります。」
「「はーい、もうしません。」」
もう、モニカさま本人の加護があるから大丈夫なのになぁ。でもメイド長にさからったら後々面倒だから、あやまっておいた。
食堂に入るとすでに朝食の準備が済んでいて、皆席についていた。
「「おはようございます。お姉さま。」」
「おはよう、アイ、レイ。」
アイとレイが、あたしの両側に来て自分たちのとなりにあたしを誘導する。本当はアキラさんの隣に座りたいのになぁ。でも、この子たちも可愛いからいいか。
今日の朝食はフレンチトーストだった。アキラさんがアリエスちゃんに教えた料理だそうで、アリエスちゃんとゴールドちゃんが時々作ってくれる。
「アキラさん、今はローランドの町の近くにあるオーガダンジョンを攻略してるんだったわね?、」
「ああ、もう少しでボス部屋にたどりつけそうだ。」
「ご主人さま、アリエスたちもダンジョンに行きたいです。」
「だめだ。お腹の子にもしものことがあったら困るだろ?、ちょっとの間我慢してくれ。」
「…わかりました。」
アリエスちゃんたちは、妊娠が分かってから、ダンジョンには入っていない。アキラさんがダンジョン攻略に出かけた後、適度な運動と称してライトガルドの島の外周を皆で軽く走っているようだが、あの速度はあたしが全力疾走しても追いつけそうになかった。
アキラさんを見送った後、あたしはライトガルドの街に出た。
城から中央へ向けて南下するメインストリートをノンビリと歩く。
道の両側には立派な建物が立ち並び、イネルバと比べても遜色ないほどだ。とても数ヶ月前は無人の荒野だった場所とは思えない。
やがて剣と斧が交差するエンブレムがある建物の前に辿りついた。イネルバ冒険者ギルド、ライトガルド支部だ。開け放たれたドアから中に入る。
「おはようございます。マスター。」
ソバカスが可愛い女の子が、あたしの胸に飛び込んできた。そのままオッパイに顔をグリグリと擦り付けてくる。
「おはよう、デイジー。もう、あいかわらずねぇ。」
「だって、マスターのオッパイ、気持ちいいんですもの。あ、ちょっと大きくなりましたね。妊娠したせいでしょうか?、…ああ、もうちょっとぉ。」
「さぁ、どうかしらね。」
あたしは、デイジーを胸から引き剥がした。確かに最近少しオッパイが大きくなった気がする。もしかして、もうすぐ母乳とか出てくるのかしら?、でも、お腹のほうは、まだそれほど大きくなってないのよね。
受付奥の階段を上り、2階に行く。奥の部屋のトビラをノックした。
コンコン、
「どうぞ、」
中に入ると50くらいの紳士が机で書類を見ていた。
「おはよう、お父さん。調子はどうかしら?、」
「おはよう、ステラ。ああ、順調だよ。そこにポーション、マジックポーション、ハイポーションが入った魔法の袋がある。これが納品書だ。」
あたしは、お父さんから、納品書を受け取り、確認する。
「ハイポーションが10こも?、期待以上ね。」
「ああ、レッドドラゴンの若者たちは良くがんばってくれている。」
あたしは、魔法袋の中身と納品書の内容を確かめ、受取書にサインして、お父さんに渡した。
「この調子でたのむわね。じゃあ、あたしはイネルバに行くから。」
「ああ、気をつけてな。」
建物を出るとその裏手に回り、「イネルバ冒険者ギルド予備倉庫」と言って壁をクリックした。
そこに物置ほどの倉庫の小さなトビラが現れ、それを開いて中に入る。そして再び外に出ると、そこはイネルバ冒険者ギルドの敷地だった。本倉庫の裏手の誰もいないひっそりした場所だ。
本倉庫の方にまわると、職員たちが忙しそうに動いていた。
その中でテキパキと他の者に指示をだす角刈りの青年に声をかける。
「カイン、おはよう。ちょっといいかしら?、」
「あ、マスター、おはようございます。はい、大丈夫ですよ。」
「これ、ライトガルドから、もってきたポーション、マジックポーションとハイポーションよ。」
あたしは、カインに魔法袋を渡した。
「こんなに…、さすがスティールさんですね。はい、確かに。」
「それで、クリシュナに持って行くドラゴンの素材は何処かしら?、」
「あ、ちょっと待ってください。」
カインは倉庫の奥に行くと新たな魔法袋と書類を持ってきた。
「これが、ドラゴンの魔石とドラゴンの肉が入った。魔法袋です。こっちが納品書と受取書です。」
「わかったわ、じゃあ、ちょっと、クリシュナに行ってくるから、ここの執務室には午前中はいないからってメアリーに伝えといて。」
「はい、わかりました。」
あたしは再び倉庫の裏手に回り、「クリシュナ冒険者ギルド予備倉庫」と言って倉庫の壁をクリックした。
そこにはさっきよりちょっとだけ大きなトビラが現れた。それを開き、中に入り、またでる。
イネルバの倉庫裏とあまり変わらない感じだったが、表に回ると、クリシュナの本倉庫はイネルバの倍ほどあった。
忙しく動き回る職員の横を通り過ぎ、ギルド職員通用口から王都クリシュナ冒険者ギルドの建物に入る。
マスター執務室のトビラをノックする。
コンコン、
「どうぞ」
トビラを開けて中に入ると白髪の紳士が机で書類を書いていた。
「これは、グランドマスター、ようこそ。」
「ブシモさん。イネルバからドラゴンの素材を持ってきたわ。とりあえずこれの確認をして受取書にサインをちょうだい。」
あたしは魔法袋と書類を渡した。
「ほう、こんなに…、」
ブシモさんは、魔法袋の中身を確認し、受取書にサインをして渡してくれた。
改めて、応接セットのソファに座って向かい合う。秘書の方が紅茶を持ってきてくれたので、一口すする。
「それで、ブシモさん。北のガラン帝国の動きはどうですか?、」
「はい、我が国との国境付近に集めていた兵を撤収しはじめていますな。」
「やはりライトガルドを警戒してのことかしら?、」
「そうでしょうな。カイザードラゴン、レッドドラゴン部隊に加え、女神モニカさままでライトガルドに降臨なされたのですから、これが属するコーカス王国に喧嘩を売るなど、正に神をも恐れぬ所業といえますからな。」
「アキラさんのおかげで、戦争が回避できて、たくさんの人の命が救われたのね。」
「ええ、本当にたいしたもんですよ。あなたの旦那様は。もちろん、その手綱を握るあなたも・・・ね。」
本当、あたしの旦那様はすごい。今晩はたくさん可愛がってあげなくちゃ。妊娠も安定期に入ったし、少しくらいえっちなことをしても大丈夫よね?、
新シリーズの連載初めました。よかったら見てください。
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