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ハニートラップ

朝、ベッドで目が覚めるとアリエスの姿は既になかった。

一瞬昨日のことが夢だったのかと思ったが、彼女のぬくもりの残滓が確かにベッドにある。


ジャージに着替えてダイニングに行くと。アリエスが土下座をしていた。


「申しわけありませんご主人様。朝ごはんを用意しようと思ったのですが、ここの機器の使い方が分からず、なにもできませんでした。」


「ああ、そりゃコーカス王国にはガスコンロも電子レンジもなさそうだもんな。頭を上げて、アリエス。一緒に朝ごはんを作ろう。」


「はい。」


それから二人でお米を研いで炊飯ジャーにセット。鰹節で出汁をとり、味噌汁を作った。卵をといて、卵焼きを焼いた。


簡単にトーストとインスタントコーヒーで済ませても良かったが、アリエスにここの使い方を教えるためにあえて日本食を作った。明日からはアリエスが頑張ってくれるだろう。


ほかほかご飯に味噌汁、卵焼きの朝ごはんが食卓にならんだ。


「「いただきます。」」


こっちの世界では、日本食が浸透してる。いただきますとごちそうさまも皆、普通にいっている。きっとオレより先にきた日本人がいろいろやらかしたんだろうなぁ。


まぁ、なにはともあれ、一人で食べるより、やっぱり二人で食べる食事の方が美味しい。


「「ごちそうさまでした。」」





「アリエス、オレはこれから冒険者ギルドに行って素材を買い取ってもらってくるから。ここで留守番しておいてくれ。」


食器を片付けるアリエスに言った。


「あ、私も行きますよ?」


「いや、今回は素材を買い取ってもらうだけだから、アリエスは部屋の掃除とか、洗濯とかをお願い。あ、掃除機と洗濯機の使い方教えておくね。」


「・・・わかりました。お願いします。」


アリエスに掃除機と洗濯機の使い方を教えてオレはイネルバに出かけた。





いろいろやっていたので冒険者ギルドについた頃には十時を過ぎていた。思惑通り朝の混雑時間は終わっているようで、閑散としている。


オレはまっすぐステラさんのいる受付に向かった。


「おはようございます。ステラさん、また魔石の買取りをお願いします。」


「おはようございます。アキラさん。はい、ではこのトレイに魔石を入れてください。」


オレは手持ちの青スライムの魔石471個と赤スライムの魔石495個をすべてトレイにのせた。大は出さないほうがいいよね?、今にもトレイから溢れてこぼれそうになっていたが、なんとかのせられた。


ピキ


ステラさんの表情が凍りついたような気がした。・・・やっぱり出しすぎたかな?


「し、少々お待ちください。」


ステラさんはゆっくりとこぼさないように慎重にトレイを奥に持っていって、やっぱり三分ほどで戻ってきた。


「今回、青スライムの魔石が471個、赤スライムの魔石が495個でしたので、金貨24枚と銀貨2枚、銅貨7枚になります。お確かめください。」


「・・・確かに、ではこれで失礼します。」


ガッ!


お金を受け取り、そそくさと退散しようとしたオレの腕をステラさんが握った。


「な、なんですか?、ステラさん。」


「アキラさん、少々お話したいことがあります。二階の個室に来ていただけますでしょうか?」





ガチャリ、


二階の個室に入るとステラさんが後ろ手に施錠をした。


「な、なんで鍵をかけたんですか?、ステラさん。」


ステラさんは、シャツのボタンをひとつ、ふたつと外しながら、こちらに歩いてきた。


「アキラさん。アキラさんはこの街の近くのダンジョンにはいないはずのスライムを大量に倒していますよね?」


ずい!とステラさんが顔をよせてくる。ち、近いですステラさん、それに胸が・・みえそう・・・


ドン!


ステラさんに押されて個室のイスに勢いよく座ってしまった。そのおれ膝の上にステラさんが乗っかってくる。指でオレの胸をくりくりなぞっている。


「この際、アキラさんが何処でスライムを倒しているかは問いません。でもこの街では慢性的にポーション、マジックポーションが不足しているんです。だから、お願いします。アキラさんがスライムを倒してドロップしたポーション、マジックポーションを買取りに出してください。」


ステラさんが、オレの耳元に口を寄せてくる。


「お・ね・が・い。ふっ!」


ぞくぞくぞく!


あ、あかん。あからさまなハニートラップやけど、もうどうなってもいい気がする。





三十分後、オレは全てのポーション、マジックポーションを買取りに出していた。


「ポーションが581個、マジックポーションが578個で金貨115枚と銀貨9枚になります。ありがとうございました。またお願いしますね。あ、それと今回の買取りでアキラさんのランクが青銅から銅にランクアップしました。こちらが新しいカードです。」


ステラさんは輝く笑顔で言って、お金とカードを渡してきた。


「ひゃい。こちらこそ、ありがとうございました。またよろしくお願いします。」


お、おそるべし、ステラさん・・・・またがんばってポーション集めよう。


と、とにかくこれで軍資金はできたから、アリエスの装備とか服とかいろいろ買おう。

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