人
もう遅かったのだ。何もかも...
「入っちゃダメ!!!」
「なんで!」
「入っちゃダメ...理由なんて知るわけないじゃない!直感よ直感!!!」
「あなたの勘に付き合う暇はないから。私達は閉じ込められてるの。ここを出るには探るしかないのよここを。」
「なら、勝手に入ればいい。私の直感はあり得ないほど合うんだから!」
「え」
会話の内容はおかしかった。
皆の中で、ひとりでに動こうとしなかったのは、志乃愛だった。
志乃愛はあり得ないほどの直感の持ち主で、当たらないことはない、そう言い切れるほどだった。
それを誰も信じようとしないのは、彼女の直感の当たり率をまだ知らないからだろう。
「私はここに残る。それでもいいよね」
「いいわよあんたなんか!」
「どうなっても......いいの?」
志乃愛の言葉には妙な説得力が。
沢山の経験の中でこうなってしまったのか。
それとも、ただの嘘なのか。
あっ、ととと。聞かなくちゃ。このことを。
「そういえば、麗ちゃんがさっき言ってた、辛いこと?があった人が集まってたってやつ、ここにいる人の中ですごーい辛いことあった人っている?」
いやいや。自分がつらーい人間だーなんて知るわけねーわい。他の人のことを知らないんだから。
「私は.......」
「私は!」
「百乃わぁ」
「志乃愛は。」
「あたしは」
「「「「「実は...」」」」」