再会
目が覚めると、そこは知らない場所だった。
知らない女がいた。泣いている。
状況の把握はもちろん出来なかったが、とりあえず一つひとつ片付けていこう。
話しかけてみようかな。
「なんで泣いているの?何かあったの?」
「やっと、やっと起きた...!私にそっくりな人!」
は?起きた瞬間自分に似た人が立っていて、泣いていて、見知らぬ部屋にいて、見知らぬ服を着ているこの状況は...
余計に整理が出来なくなってきた。
「うわぁぁぁーん!!!」
「ちょっ!何!?」
いきなり抱きついてきて、もう訳が分からない事だらけであった。
でも、分かった事がひとつだけあった。
「やっと見つけた...」
「え?」
「この綺麗な髪の毛、可愛い顔、ナイスなスタイル!!!私にそっくりだ!」
「は!!?」
「私の妹!!!」
「...え?どういうこと?」
動揺しているのか、呆れているのか、よく分からない表情だった。ただ、悲しそうな顔だったことは分かる。かといって、このまま言わずに他人同士でいる訳には絶対にいけないの!
「ほんとに私の...お姉さん?」
「あなたの名前を言ってみなさい。」
証明する事をとにかく一番に思わないといけない。
「あ、ず、さ。 梓。」
「私の名前は?」
「え?」
本当に言っていいの?というような顔で、戸惑いを隠しきれなかったようだった。
言い出したら、全てを思いだしてしまうから。そんな理由が頭に浮かぶ。
言って。お願い。お願いだから、言って。
「名前を...」
「....い」
「え?」
「れい!」
「麗!!!」
私の名前。姉妹なのか分からないようななんの繋がりもない名前。梓と麗。でもそれは、上手く絡み合っていった。
「梓!!!」
梓に飛び出した。涙なんて梓には見せられない。
「.....」
一緒に生活をした覚えがない梓には、実の姉をなんと呼べばいいのかが分からないようだ。
もしも妹が目の前にいたら、一番最初に話してほしい言葉、それは
「お姉ちゃんって呼んで?」
「嫌。姉貴って呼ぶ」
素直にお姉ちゃんって言ってしまえ!
なんて思ったけど、実の妹にやっと出逢えたんだし、贅沢はよそう。
でも、一回は言ってほしいな。
“お姉ちゃん”って。
今回はまた別の二人組を紹介しました。後もう一話くらいまで二人組の紹介になっちゃいますが...
一話目の“少女”とは誰でしょうね...
またこれから出てきます!
少し待ってくださいね。
というか、実を言うとあの子は主人公なんです。本当に。
だから、あんまり長く待たせませんからね!ね。