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新たに始まりを
梓。泣かないで-
早鶴、志乃愛まで.....
私はこんなに血を見ることなんて知らなかった。
1度だって見たことない、服に滲む血を。
耳を流れる血を...
「そこに見えるよ。人々の恐怖、そして涙。血だってあるさ。」
「でも、きっとそこにはある。そんなものどっとどかして輝き取ればな。」
きっとそこにはある。そうだ。
「きっとそこにはある!」
麗の突然の大きな声に、皆目を丸くしてドキッとした。
「お姉ちゃん何?早鶴ちゃんも志乃愛ちゃんもケガしてるんだよ!」
「でもこれ以上怪我人増やしたくないでしょ?」
「それはそうだけどでもっ」
「早鶴も志乃愛も、助けられるかもしんない!」
『私言うたな?』
冷たい空気に溶け込む少し低めの女の人の声。
きっとその声は春佳よね。私の大親友の春佳だ、久しぶりに顔を見たわ。あれ?耳から血が出てる。ったく春佳ったら、またやってきたのね。
「春佳!またやってきたなぁ!もうぅ~」
『あほちゃう』
あぁ。まただ。春佳の声の重みが久しぶりに伝わった。
また、怖いのかな。