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63話 その後

「今夜はよろしくお願い致します」

そう両手を床に付き、深々と頭を下げるアンリ。

「僕も初めてだから……優しくしてね?」

恥ずかしそうに声を細めながら赤い顔でこちらを見上げる。


おかしい、どうしてこうなっているんだろうか?


まず、あれからというものの俺はあっさりと優勝した。つまりアンリと結婚することになった。

それから少しの間、大会の祝祭みたいなのがあった。そこには

アンリはいなかった。ロキさんに聞くと夜に会えると言ってはいた、確かに言ってはいたが……

「あ、ラフ姉ちゃんにはちゃんと話をつけてあるから大丈夫だよ?」

それなら後からラフに怒られることもないし安心だな……ってそういう問題じゃないだろ!?

「決まった日にやるもんなんだよ。そういうものなの」

きっぱりと言い切る。そういうものと言われても……

言いながらアンリを見る。アンリは普段からはとても想像できないような白色の無地の着物を羽織っていた。アンリの貧相……華奢な体に似合うのかと思ったが、思いのほか凄く似合っている。その白い無地の着物はアンリの体のラインがはっきりと現れており、アンリの微かな胸の膨らみや、細い腰……そして着物から伸びる綺麗な白い足。思わずアンリってこんなに綺麗だったかと思ってしまった。

そう見つめているとアンリが恥ずかしそうに足をこすり合わせながらこちらを見つめ、首をかしげる。

「兄ちゃん、そんなに見られると恥ずかしいよ……?」


いつもとは違う、しおらしい様子のアンリ。

そんなアンリを前にこれ以上我慢できるはずもなかった。




「むぅぅん、兄ちゃぁん……」

布団の中、俺の胸の中ではアンリがもごもごと動いている。

そうか、昨日は確か……そしてそのまま寝たんだった。

頭についているふさふさとした耳をつんつんと触る。

「んッ、んん!」

体全体がぴくぴくと反応する。昨日分かったことだがアンリは耳が凄く弱い。少し触るだけでも、こう敏感に反応する。

アンリはあんまり触らないでと言うが、このふさふさとした感触が気持ち良くていつまでも触っていたくなる。

しかしいつまでもこうしているわけにはいかない。今日は結婚式みたいなものはあるらしい。はやく準備をしとかないと。


アンリの耳を堪能した後、起こさないように布団から出て座る。

昨日……か。アンリはラフとは違って消極的だったな。

どちらかといえば俺がリードする形だった。

ラフの時は俺が何かをする間もなく、絞り取られるみたいな感じだったからなぁ。


「んぅ、兄ちゃぁん?」

アンリも起きたようだ。俺を探しているのか布団の中をごそごそとあさっている。

「おはよう、アンリ」

「あ、おはよう兄ちゃん。起きてたんだね」

「というか兄ちゃんというのはやめないか?」

「えー、なんで?」

「いや、関係的にその呼び方は問題があるような……」

「兄ちゃんは兄ちゃんだよっ!」

いや、意味わからん。そんな事を言いながら俺の胸の中へと飛び込んでくる。ぼふっと俺の胸に埋もれる。

「えへへ……」

腕を腰へとまわし、抱きついたまま嬉しそうに俺の胸の中で笑うアンリ。

目の前にある頭を撫でまわす。

「ひ、ひゃうっ!? だから耳はダメだって!!」

触る度にびくびくと体を震わせるのが可愛いので更に続ける。

「あっ、ひぅっ、ちょ、ちょっと兄ちゃ、ひゃっ!」

ああ、楽しいなぁ。楽しすぎる。


「ちょっと兄ちゃん? いい加減にしないと怒るよ?」

これ以上は危なさそうなのでやめておく。

やめた途端、もう一度抱き直して顔を埋める。

「はぁー落ちつくー」

そう長い息をはく。いまさら、本当にいまさらだが大変な事に気づいた。俺とアンリは今裸だ。そしてそのアンリは俺の膝の上に座り俺と密着している。

つまり……その……俺のモノが。

アンリも違和感に気づいたようで下に顔を向ける。

「うん? あっ、朝から元気だね」

気づいたのにアンリは一向に離れようとしない。

「アンリ? 一回離してもらえると助かるんだが」

「兄ちゃんが、別に我慢しなくてもしたいならしていいんだよ? それに僕のせいでこうなっているって思うと嬉しいんだ」

「アンリ……」

「だからさ、兄ちゃんしようよ」

これはそのまま手を出していいものなのか。

いや、いいや。もう我慢出来ないし。


そうアンリに手を出そうとした瞬間、

「ライさん、おはようございまー……す?」

勢いよく扉が開かれた。扉を開き、その場で固まる。

そりゃあそうだろう。


「あ、姉ちゃんおはよー」

いつもの調子でアンリが呑気にそう返す。

いやいや、それどころじゃないだろォッ!?


「あの、ライさぁーん? 朝から何をしているんですか?」

明らかに怒気を含んだラフの声。

「いや、ラフ、これは……」

やばい、これはどう言い訳をしたらいいんだ。救いを求めるようにアンリに顔を向ける。その視線に対してアンリは自信満々といった笑みで頷いた。

「そりゃあもちろん交尾だよ?」

ちょっとアンリさん? 何言ってるの?

「なかなか出てこないから起こしにいってくれとユウナさんに言われてきたら……ライさんっ!!」

それからしばらく俺とアンリはラフのお説教を聞くはめになってしまった。

ラフさん、だんだん怖くなってません?


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