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61話 事後

「暇だなぁー」

僕は捕まってからずっとこの洞窟の中にいる。村長が決まるのを待つだけのを時間、変わることと言えば毎日三食の食事ぐらいだった。

そんな時、兄ちゃんが来てくれた。しかも僕を出すためとはいえ、結婚までしてくれる!

まさかこんなことがあるなんて……

姉ちゃんには少し申し訳ないけどこうなったからには仕方が無いよね! 姉ちゃんはうぶだから僕が積極的に行けば兄ちゃんの一番になれるかもしれないし……楽しみだなぁ。


ロキさんの家に戻る。

「あら、お帰り~。お疲れ様」

家に戻るとユウナさんが迎えてくれた。

「ラフはどうしたんですか?」

「ラフちゃんなら部屋にいるわよ。悪いわねぇ、ラフちゃんは応援しに行きたがってたんだけど話があったから私が引き留めてたのよ」

「そうなんですか」

ユウナさんが引き留めていたのか。それなら仕方ない。ユウナさんが話をするような事だし大切なことだったんだろうしな。部屋へと向かうとラフがベットの中でうずくまっていた。


「うぅ……恥ずかしい、どうしてこんなことに……」

うずくまりながらぼそぼそと何かを言っている。どうしたんだ?

「おーい、ラフ?」

「いやでもこれでアンリちゃんより先に……」

「おーい?」

「でも自分からあんなことを……うぅぅ」

「ラフ!」

「ひゃっ!?」

バタバタと動いているラフの尻尾を掴むと体を飛び上がらせ、可愛い悲鳴を上げる。

「ライさん!? いつの間に!?」

「今戻ってきたばっかりだけど。どうしたんだ?」

「どうしたんだって、そりゃあ……」

顔を赤くして俯く。この様子だと昨日のことか。うーん、まさか襲ってきたラフがここまで恥ずかしがっているとは……やはり酔っぱらっていたからこその行動だったんだろうか。


「昨日の事は……ま、まあ、いずれはしただろうしそんな気にすることないぞ?」

自分で言っておいてなんだが……これはフォローになってないような。他に言うべき事があったんじゃあ……

しかし、なんて声をかければいいんだ? そう悩んでいるとラフの方から、

「ライさん……私のこと嫌いになりました?」

涙ぐみながら俺に聞いてくる。どうしてそうなった?

「だってこんないやらしい人、嫌かなと……」

「いや、だから俺がラフを嫌うことはないから。それに昨日のラフも新たな一面が見れたというか……」

「本当ですか……?」

「本当だ」

昨日も全く同じようなやり取りをしたような気がする。このままだと……

「ライさん!」

そう勢いよく俺にと飛びかかってくる。俺はそれを両手で受け止める。


「流石に今日は無理だからな?」

「わ、私も昨日は酔っていたからこその行為で……そんな普段から飢えてませんっ!」

「その割には昨日、というか今日は朝までハッスルしていたけど。搾り取られたけど」

「そ、それはっ、今までずっと溜まってたといいますか……その、あの……」

必死に弁解しようとしているが言葉が見つからないのかずっと慌てている。何はともあれラフが安心してくれたみたいでよかった。


こういうのも何だけど……ラフって案外分かりやすいし簡単?



俺は確かそのままラフと寝たはず。それなのに目の前にはただ果てのなく広がる草原。またここか……ということは、

「やっほー!」

やはり。いつも通りの蛇が軽い口調で話しかけてくる。

「やっほーじゃない。何の用だよ」

「そりゃあもちろん暇……じゃなくて君が仕事を忘れてないかと思ってね」

「仕事?」

「前に頼んだじゃないか」

「んー、ええと」

なんだったっけ。アンリの事やらラフの事やら色々とあったからなぁ。完全に忘れている。


「忘れているね。封印されているやつを何とかして欲しいって言ったじゃないか」

そうだった。この間助けてもらったお礼に、この村に封印されているものを何とかしないといけないんだったな。

「結婚やら夜伽で忙しいのは分かるけどしっかりしてね」

まあ、忙しかったからな。って、ん?

「ちょっと待て。何でそれを知っている?」

「そりゃあこの世界のことで僕が知らないことはないさ。それにしてもあんな激しいのを一晩……若いっていいよね!」

「うわあああああ!?」

叫ばずにはいられなかった。嘘だろ!? と言う事は今までのことも全部……?

「何を今さら。言ってなかった?」

聞いてない! いくらなんでもこれは恥ずかしいぞ。どうにかすることはできないのか?

「残念ながら無理だよ。おっと、もうそろそろか。結局彼女は出てこなかったなー。じゃあまたね」

おい、待て! 本当にどうにかならないのか……



飛び起きる。隣にはラフが気持ちよさそうに眠っている。

「……」

相変わらずいきなり呼ばれて、いきなり戻されるな。それにしても……今までのことがずっと見られていたなんて……もう死にたい。




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