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5話 魔物と人間の村3

なんか展開があっさりしすぎな気がしています。

「ライさーん、起きてください」


ん、朝か。

ラフが呼びかける声が聞こえる。

「ライさーん? もう朝ごはんができていますよ」


「ああ、ちょっと待って。すぐ行く」


「早く来てくださいねー」


ラフにそういわれ行く。


今日の朝ごはんは

魚の塩焼き、味噌汁、ご飯だった。

完全に日本食だな、これ。昨日の夕飯といいこれが普通なんだろうか。


「えーと、この世界ではこのような食事が普通なんですか?」


「いえ、この村の料理は私のお父さんの世界のものが主なんですよ。お父さんが頑張ってこの世界で実現できないかとがんばったそうです」

そうエマさんが説明してくれた。


ありがとう、エマさんのお父さん。あなたのおかげでおいしいご飯を食べることができています。


「ライさんの世界にもこういった料理があったんですか?」

「あった。というか全く同じだ」

「お爺様もライさんと同じ世界から来たのかもしれませんね」


まあ、ここまで同じだとその可能性は高いだろう。

そうして朝ごはんを美味しく頂いた。



朝ごはんを食べた後、魔法のトレーニングをすることにした。

そのトレーニングというのが……


「んっ、あんまり動かさないでくださいよぉ」

「ごっ、ごめん」


俺は上半身裸のラフの背中に手を置いている。

そしてラフはラフは俺と反対を向いて魔法を使っている。


エマさん曰く、魔素を操る、否魔力を強くするためには使っている人に

触れているのが一番いいらしい。魔力は心臓に近い部分にあるらしいのでそこに近い部分、つまり背中を触っている。


「前のほうを触ってもらえばよかったのに」

「まっ、前って、それってつまりっ」

「そりゃもちろんお…」

「それ以上言ったらだめだから! 何言っているのお母さん!」

ラフが慌てて言う。いま顔を真っ赤にしていることだろう。


「じゃあ私はちょっと出かけてくるわね。後は任せたわよ」


「え、いつまでこうしていればいいんですか?」

「んー、とりあえず私が帰ってくるまでね」

「えぇっ! それまでずっとこの状態!?」


そういってエマさんは行ってしまった。


そうしてまた俺とラフだけが残される。

「うぅ……とりあえず続けますね」


またラフが魔法を使い始める。

俺の目の前にはラフの綺麗な背中がある。

そしてそのすべすべの肌を俺は今触っているのだ。

ちょっと手を動かすと

「ひゃっ! だから動かさないでください!」


おお、いい反応。

もう一度動かす。


「ふぁっ、いい加減にしないと怒りますよ?」

そういってこっちを睨む。

これ以上やったら殺されそうだ。

我慢しとこう……。


それから暫くラフのすべすべの背中を堪能していた。

結局エマさんが帰ってきたのは昼過ぎだった。

「感覚はつかめました?」


「いや、まだなんとも……」


「じゃあ続けるしかないですね!」



それから二日間練習を続けてやっと魔法が使えるようになった。

使えるようになったといっても小さな火の玉と、氷の塊を作れるぐらいだ。

一回感覚を掴むと後は使っていけばいくほど使えるようになっていくものらしい。

つまり、ラフの背中をもう堪能することはできないのか……残念だ。


それから暇な時間は農作業を手伝ったり、広場で話をしていた。

この村はとても居心地がいい。誰もが快く迎え入れてくれる。


そうしてこの村に来てから一週間が経とうとしていた。


「長居し過ぎたな」

いい加減、この村から出よう。

このままでは何時までもここに居てしまいそうだ。


そう決めた俺は、この村を出ることをエマさんに伝えた。


「そうですか……いままでありがとうございました」

「いや、お礼を言われるような事はしていませんよ。

こちらこそありがとうございました」


「それで頼みがあるんですが……」


頼み? エマさんが俺に頼むような事って

何だろうか。


「ラフも連れて行ってくれませんか?」


「ラフも?」


「はい。どうかあの子も連れて行って欲しいのです。あの子は結界の外の

 世界も見に行きたいみたいなんですが私のことを気遣ってか、でようとしないんです。だめでしょうか」


ラフを連れて行くか……

俺としては、ラフがいてくれると助かることばかりだ。

食事といい、この世界のことといい、俺より詳しいだろう。

それに一人旅は寂しいしな。

それ考えると男女で二人で旅か。

最高だな。


しかし……

「俺はかまいませんが……

 ラフはそれでいいんですか? その…俺についてくるなんて」


「あの子もきっとそれを望んでますよ。ラフには伝えておきます。

 とりあえずこの村の人に挨拶に行って来たらどうですか」


「そうですね、とりあえず挨拶に行ってきます」

一週間もこの村でお世話になったし、挨拶をしに行く人はたくさんいた。


「そうか、もう行くのか。いつでも帰ってこいよ」

「そうですか……また来てくださいね」

「えー、いっちゃうのかー。残念だなぁー」


いろんな人に色々な事を言われた。

そうして村を周り終えるころには夕方になっていた。


「さて、そろそろ戻るか」


ラフの家に戻りご飯を食べる。

結局、ラフはどうするんだろうか。

夕食の時、聞いてみると

「すいません、ラフはまだ考えさせて欲しいそうです」


まだって、明日の朝には出るんだが。

「すいません、明日の朝までには決めますので」


まあラフもいきなり言われ思うところがあるのだろう。

そう焦らせても仕方がないか。


荷物もまとめ終え、(といっても小屋から持ってきたものしかないが)することもなくなったし寝ることにする。


……眠れない


なんでだろうか。明日出るんだし早く寝てしまわないと。

しかし全然眠気がこない。

「外にでも行くか」


外に行くとラフがいた。

「どうしたんだラフ?」


「いえ、ちょっと眠れなくて」

「そうか、俺もそんなところだ」


ラフの隣に座る。

さて何を話そうか。

この一週間でラフとは様々なことを話した。

だから会話に詰まるようなことは無いはず!

だから初日みたいに気まずいことになる事はない。

そんなことを考えているとラフが話しかけてきた。


「ライさんは明日出ていっちゃうんですよね」


「ああ、そうだが……ラフはどうするんだ?」

「私は……」

「ラフは行きたいのか?」


「行きたいですけど…母を一人にしたく無いです。

それにライさんについていったら足手まといになりますし」


母を一人にしたくないか……

しかしエマさんはライに行って欲しいと行っていたな。

あと足手まといとはなんだろうか?


「でもエマさんはラフに行って欲しいと言ってたぞ」

「母はそう言ってたんですか。ライさんは……

私に付いて来て欲しいですか?」


「俺はついてきて欲しい。ラフがいると楽しいし、

色々と頼りになるからな」


「そ、そうですか。でも足手まといになりますよ?」


「足手まといって?」

「いやライさんは強いじゃないですか。何かあったとき邪魔になりますよ」


「いやいやっ、俺はそんなに強くないから!」


いつの間にかラフの中で俺は凄い人物になっていたようだ。

ラフより弱いと思うんだけどなぁ。

いくらワープがあるとはいえ龍に勝てる気はしない。


「でも私を助けてくれたじゃないですか」

「いや、あれはたまたまだって」


正面から戦ったわけでもないしな。

本当にたまたまだ。


「じゃあ、ついていってもいいんですか?」


「もちろん。というかこっちからお願いするよ。

 付いて来てくれないか?」


「ありがとうございます!明日からもよろしくお願いしますね!」


「ああ、こっちこそよろしくな」



朝、俺とラフが出発するとき、村の人達が俺らを見送りにきてくれた。

「ラフ、ライさんと仲良くね」

「うん、分かっているよ」

「ライさん、ラフをよろしくお願いします」

「はい」


他の人達からもいろいろな言葉をおくられた。

一週間しかすごしていないとはいえ、この村には愛着がある。

必ず戻ってこよう。よく考えたらワープですぐに戻ってこれるが。


こうして俺はこの村から、ラフと一緒に旅に出た。


俺はこの時、旅に出ないほうが良かったのかもしれない。

そうしていたら幸せに暮らせていたのかもしれない。


しかしそんなことが今の俺に分かるはずもなかった……

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