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58話 一試合目

「はぁ……」

私達はユウナさんの食事を堪能した後、ロキさん達にお借りした部屋でのんびりとくつろいでいます。

ライさんは明日の事が心配なのか少し不安そうな顔をして明日の準備をしています。ライさんの強さなら問題はないと思うのですが……

「ライさんなら大丈夫ですよ」

「そうだといいけどなぁ」

そうライさんはずっと不安そうです。まあ、もし勝てなかったらアンリちゃんがいなくなるわけだし気持ちは分からないでもないですが。それにしてもいいなぁ、アンリちゃんは。ライさんが勝ったら結婚だもんなぁ。羨ましい……私はいつになったらライさんと結婚でしょうか。

「ん、どうしたんだ?」

私がライさんをずっと見つめているのを気付いたのかそう言ってくる。ライさんはそんなこと全く意識していないんだろうなぁ。むー……

「なんでもありません!」

そう言って私はそっぽを向く。ライさんは頭にはてなを浮かべてこっちを見ている。全く分かっていないんだろうな。


――――

ついに今日かぁ。アンリがかかっているんだしな。がんばらないと……

昨日はラフがなぜか怒っていたがなんでだろう? 何かあったか?

うーん……分からない。まあ多分大したことじゃないだろうし大丈夫だろう。それよりも今日の事だ。

今日負けてしまったらアンリがいなくなってしまう、それだけは避けなければならない。今日はなんとしてでも勝たないとな。

「じゃあ、そろそろ行くか」

「そうですね。頑張ってください!」

ラフと一緒に会場へと向かう。会場にはもうたくさんの人が集まっていた。当たり前のことだが皆コロポックルなので小さい。それに村の外から来たという事もあって周りから凄く注目を浴びている。

「ああ、あれが噂の……」

「あいつも参加するのか、なんでだ?」

「噂によるとアンリ狙いらしいよ」

「まじか。そのためにわざわざこんなところまで来るなんて……」

なんか色々言われてんなぁ。確かにアンリ狙いなのは間違ってはいないんだけどな。改めて言われるとなんかあれだな。

「あ、ロキさんですよ!」

「おっ、そろそろ始まるか」

ラフが指差した方向を見るとロキさんがやってきていた。壇上へとのぼり、話し出す。

「えーと、では今回の巫女も無事戻ってきた、というか連れてきたということでいつも通り村長を決める大会を始めたいと思います。えー、皆さん……」

「そんな長くて堅苦しい挨拶はいいじゃない。さっさと始めましょうよ」

横からユウナさんが割り込みロキさんの話を止める。ロキさんの立場とはなんだったのか……

「じゃあ始めようか……相手は貼り出しているから見ておいてください。じゃあ早速最初の試合を始めます」

俺の試合は三番目だったから割とすぐに始まる。見たところユウと当たるのは準決勝だった。まあ、そこまでユウが上がってくるかもわからないが。他に知っている人がいないから警戒のしようがないしな。

さっそく一試合目が始まったようだ。一人は片手剣、もう一人は両手に斧を持っている。


ロキさんの開始の合図と同時に相手に向かって動き出す二人の間を目にもとまらない速さの斬撃が行きかう。振って避けて、また振って避ける。それを何度も繰り返す。周りの観客たちはその試合を見て大いに盛り上がっていた。

「これ本当に勝てるか……?」

思わず呟く。まさかこんなにレベルが高いとは思っていなかった。皆こんなに強いのだろうか?

「流石にそんなことないわよ。あの二人とユウ君が特別なだけよ」

「うおっ!?」

いきなり後ろからユウナさんが現れる。びっくりするな。それにしてもあの二人とユウが特別というのはどういう事だろうか。

「大したことじゃないわよ。ただ単にあの二人とユウが他の人より強いだけよ」

そうなのか、それは少し安心した。それにあの二人がいま戦っているからあの二人の内の一人としかあたらないしな。

「まあライ君ならどっちと戦っても余裕だと思うわよ?」

そんなことは無いと思うんですが。というか何でさっきから考えていることを読まれているのだろうか。俺はユウナさんが出てきてから一回も話していないんだが。それにユウナさんはここにいていいのだろうか?ロキさんと一緒に用意された所にいないといけないのでは……

「深く考えたら駄目よ」

「そうですよ、ライさん」

きっと気にしたら負けなんだろうな。うん、気にしたら負けだ。ラフもそう言っているんだしな!


「えーと、じゃあ三戦目は……」

おっと、ラフとユウナさんと話してい内に二試合目まで終わっていたのか。もう俺の初戦か。

気合い入れないとな。

「頑張ってください、ライさん!」

「負けたら承知しないわよ」

二人からそう声がかかる。勿論負ける気などないし負ける訳にもいかない。絶対に勝たなければ。

再びそう決意して試合の場所へと行く。


正面にいる相手はパッと見何も持っていない。一体武器はなんなんだろうか。まさか素手じゃないよな?

「えー、三試合目はライ君対キリュウ君。それでは初めッ!」

取り敢えず俺は武器を構える。相手は何もせず突っ立ったままだ。一体なんだ……? 不用意に突っ込むのは危険な気がする。

「来ないか、じゃあこっちからいこう」

相手がそういった瞬間俺に向かって何かが飛んでくる! 俺はそれを咄嗟に盾で防ぐ。

「ちっ」

相手の舌打ちが聞こえた気がした。何が飛んできたんだ? 足元を見てみるとそこには相手が投げたであろうナイフが落ちていた。

これが相手の武器か。

「うおっ!?」

再びナイフが飛んでくる。俺はそれを防ぐが次から次へとナイフが俺に向かって飛んでくる。しかしそれを俺は盾や剣で防ぎ続ける。ああ、盾が便利すぎる。相手も相性が悪いな。このまま防ぎ続けていたらそのうちナイフが無くなるんじゃないか?

そんな事を思っていたらナイフを投げながら突っ込んできた。

ナイフを防ぎながら相手の頭に盾を叩きつける。ゴンッと鈍い音とともに相手は崩れ落ちる。……終わりか? なんか呆気なかったな。

とにかくこうして一試合目は無事終了した。

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