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57話 コロポックルの村4

「じゃあいくよ」

「はい」

そう言うのと同時にロキさんは切りかかってくる。一発目を避けると目の前のロキさんが消える。俺はとっさに後ろに飛ぶ。さっき俺がいた場所にはロキさんが刀を振り下ろしていた。相変わらずロキさんは一瞬で動くな。ロキさんに向け剣を振り下ろす。だが俺の剣は当たることなく空を切っただけだ。ここまでは予想済みだ。左手に持つ盾をとっさに構える。俺の予想通り構えたところにロキさんの刀が振り下ろされる。

よし、この後は……ロキさんは刀から手を離し、胸から短刀を取り出し、俺に突き刺そうとしてくる。俺はそれを避け、そのままそのロキさんの勢いを利用して地面へと押し倒す。


「降参だよ、ライ君。本当ライ君は強いなぁ」

ロキさんは両手を上げながらそう言う。

「またまたそんなこと言って。全然ですよ」

「そうは言っても、もう二回に一回は僕は負けてるよ。このまま続けていたら僕が勝てることはなくなりそうだなぁ」

しみじみとロキさんはそう言うが、俺は全然そうは思わない。確かに勝てるようにはなってはいるが未だにロキさんの動きは全く見えない。予想して動くしかないのだ。予想が少しでも外れると俺はあっという間に地面に転がらされている。本当この人が敵じゃなくてよかったなぁ。


あれから俺とロキさんは二人でずっと特訓していた。ラフはアンリのお母さんと何かしているようだ。一体何をしているのだろうか? 気になってロキさんに聞いてみると、

「多分ライ君にもそのうち分かるよ。大丈夫、ライ君にとっては悪いことではない……かな?」


ロキさんは内容を知っているようだ。教えてはくれなかったがまあその内分かる事なら構わないか。それにしてもロキさんに色々と教えてもらって大分動きがよくなった気がする。

「ありがとうございました。ロキさんのお陰で大分強くなった気がします」

「あはは、相変わらず大げさだなぁ。元々のライ君の強さであって僕は何もしてないよ。そんなことよりライ君は本当に人間かい? とても人間とは思えない強さだ」

「人間ですよ。それにそこまで強くないです」

そんなことを言われてしまったが俺はれっきとした人間だ。そしてロキさんが言うほども強くない。

「またまたそんな謙遜して。大会は大丈夫だと思うけど万が一がないように気を付けてね」

そういえばロキさんも俺が大会に参加し、優勝することを普通に考えているが俺がアンリと結婚することはいいのだろうか。アンリのお母さんは普通に認めてくれているみたいだが……

ロキさんはどうなんだろう。空いた時間にそれとなく聞いてみたところ、

「ライ君がアンリと結婚することかい? 僕は別に構わないよ。アンリがあれほど慕っている男性も珍しいからね」

いいのかそんなもので。いや、勿論反対されるよりはいいんだろうけどさ。なんというか……軽すぎないか?



結局武器は片手剣と盾を使う事にした。いろいろ試してみたがこれが一番しっくりきた。考えてみると今ままであの短剣と拳銃だけでよくやってこれたな。

「しかもライ君はその短剣だけでアンリに勝ったんだろう?」

あれは勝ったというか、どちらも体力が尽きただけのような……

「アンリはずっと一方的にやられて何もできなかったとか言ってたけど」

「いやいやいや、そんなことはなかったですよ?」

「またまた謙遜しちゃって」

アンリも大げさすぎないか? 実際旅の途中でもちょくちょくやっていたが俺の圧勝というようなことはなかった。


それから日も暮れてきたのでロキさんとの訓練を終わり、アンリの家へと戻る。どこに泊まろうか、という話をしていたら、ロキさん達に泊まっていけと言われたのでお言葉に甘えさせてもらっている。残念ながらアンリはあの洞窟の中で家には戻ってこれないそうだ。どうやらあそこに入れられているのはまた逃げ出す可能性があるかららしい。

「ライさん、明日の大会は大丈夫なんですか?」

「負ける気はないけど……不安はあるな」

「ライ君なら大丈夫だよ。想像以上に強かったしさ」

「そうよ、ライ君なら大丈夫よ」

「ロキさんにユウナさんが言うなら大丈夫ですね」

なんか信用されているけど大丈夫……なのか? 俺としても負ける気はないけどな。それにアンリのお母さんの名前はユウナというのか。初めて知った。 

「まあ、そんな明日の心配ばかりしないで今日はたくさん食べなさい!」

ユウナさんがそう、たくさんの料理を次々にテーブルへと運んでくる。そう、次々に……作りすぎじゃないか? 

「いやぁ、久々の客人だし張りきっちゃってね。たくさん食べて行ってね」

「は、はい……」

それから俺達はテーブルに並んだ料理を堪能した。



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