55話 コロポックルの村2
最近風邪気味です。
随分遅くなりました。次ははやく上げたい。
四人でアンリの所へと向かう。アンリは村はずれの洞窟にいるそうだ。
ロキさんもついて来ているが……用事とやらは良かったのだろうか。
「この人の事は気にしなくていいわよ」
「ああ、もう大丈夫だよ……」
ロキさんは諦めたような顔でそう言う。
なんかロキさん、完全に尻に敷かれてしまっているなぁ。
俺とラフも将来あんな感じになるのだろうか?
「ライさん? どうかしました?」
俺がラフの方を見ているのに気付いたのかそう声をかけてくる。
いや、ラフに限ってそんなことにはならないだろう。ならないよな?
そんな事を俺が考えているのを察したのか、
「ライ君、君もがんばりなよ……大変なのは結婚してからだぞ」
そうロキさんが言ってくる。ロキさん……何があったんだ。
そんな会話をしばらくしながら歩き、洞窟へと着いた。
こじんまりとした洞窟の入り口には二人の見張りが立っている。
「じゃあ、ちょっと話してくるわ」
アンリのお母さんがそういって見張りの所へと行く。なんか揉めているようだが……大丈夫なのか?
しばらく言い争ってから戻ってくる。
「許可は取ったわ。いきましょう!」
明らかに見張りが不服そうな顔をしているけれども本当に大丈夫なんだよな。
「チッ」
なんか舌打ちまでされて睨まれているし……
アンリのお母さんの後ろについて洞窟へと入っていく。一定間隔で明かりが置いてある薄暗い通路をしばらく進んでいくと通路の横にある檻の中にアンリがいた。普段の男っぽい恰好とは違った着物姿だ。
「ん……お母さん? って兄ちゃんに姉ちゃん!?」
お、こうしてみるといつも通りのアンリだな。
「なんでここにいるのさ!?」
「あなたを探しにここまで来てくれたそうよ。私達は少し外すわね。いろいろと話したいこともあるでしょうし。じゃあごゆっくり~」
そういってロキさんたちは入り口の方へと戻っていく。
「兄ちゃん無事だったの!?」
「おう、いろいろあったけどな。心配かけたな」
「もうっ、本当に心配したんだからね……」
「悪かった悪かった。でだ、アンリ。お前はこれからどうしたいんだ? この村のことについては話は聞いている」
「僕はここで生きていくよ。お母さん達ともそういう約束だったしね」
「約束?」
「うん。元々僕がこの村の人と結婚するのが嫌で出ていったんだけど、もし僕が外で結婚したい人が出来たらその人を連れてきて結婚していいと。でもその変わり、その途中で村の人に捕まったら大人しく結婚するっていう……」
それでアンリは村の外に出てきてたのか。俺としてはまだアンリと旅を続けたかったけれども……本人がそう言うなら仕方が無いのかもしれない。
「そうか、それなら……」
「アンリちゃんは本当にそれでいいの?」
「ラフ?」
突然、俺とアンリの間に入ってラフがそう言い出す。
「アンリちゃんだって本当はまだ村の外を旅していたいんじゃないの? 私だってまだアンリちゃんと一緒に旅をしていたいよ! それに結婚だって本当は……」
そう言ってから俺の方をちらりと見る。なんだ? なぜそこで俺を見る。
「そりゃあ僕だって本当はまだ兄ちゃん達と旅を続けていたいよ! でもこれ以上は兄ちゃんにも姉ちゃんにも悪いし……それにお母さん達にも」
「なぜ悪いんだ? むしろ一緒に来て欲しいんだ。お前のお母さんは村長のこととかは俺が結婚するならどうにかしてやると言っていたぞ」
まあ、本当にどうにかなるかは分からないけどな。あの人ならどうにかしてしまいそうな気がする。アンリがまだ一緒に旅をしたいと言うのなら結婚することぐらいかまわないさ。俺ってそう思えてしまうほどにはアンリのこと好きだったんだな……
「お母さんが……で、でも結婚はどうするのさ!? 兄ちゃんには姉ちゃんもいるじゃないか!」
「私は構いませんよ、アンリちゃんなら」
「むしろアンリはいいのか? 」
「ぼ、僕は兄ちゃんがそれでいいのなら……」
「話は終わったかしらね?」
通路からひょこっとアンリのお母さんとロキさんが出てくる。ひょっとして今までの会話全部聞かれていた? いやいやそんな訳ないよな。そう思いたい。
「そろそろ時間もまずいし戻りましょう。アンリ、ライ君が言ったとおり村のことは気にしなくていいからね」
「う、うん。えーと、兄ちゃん……」
「ん、なんだ?」
「よ、よろしくお願いします?」
「ああ、任せとけ」
それだけ言って俺らを連れてきて外へと出る。
出る途中、
「アンリちゃんと結婚するのは構いませんが、色々と私が一番ですからね!」
「一番?」
「そ、そりゃあ、い、いえっ。なんでもありません」
顔を赤くしながらラフが言うが一体なんのことなんだったんだろうか。




