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48話 侵入

とある場所の地下に二人の人間と牢屋の中で横たわる魔物の少女がいる。

その魔物の少女には足枷に手枷がつけられていた。

「本当にこの程度で大丈夫なんだろうな?」

「ええ、いくら龍でもこの場所なら何もできません。私の結界もありますしね」

「そうか、そうか。なら安心だな。しかし龍の子供とはいえこう簡単に捕まるとわな」

「私の力のおかげですよ。しかし……やはり食べるのですか?」

「そりゃあ決まっているだろう! なんせ不死になれるというのだからな!」

その男はそう言って豪快に笑う。隣にいた女性はやれやれと呆れたようにため息を吐いた。

「ここは……?」

男の笑い声のせいか魔物の少女が起きる。状況を把握していないのか周りをきょろきょろと見回す。

目の前の二人が自分が捕えられていることの原因だと気付いたのか二人を睨み付ける。

「これはなんですか」

「ふふふ……お前が龍だからな、捕えさせてもらった。こんなに簡単に捕まえられるとは思っていなかったがな」

「何が目的ですか」

「お前を食うことだ。龍を食えば不死になるといわれているからな。にしても意外とかわいいな……これは食ってしまう前に遊んでやるのもいいかもしれないな」

男はいやらしく笑いながら魔物の少女の体を上から下までみる。

「それもいいかもしれませんね……所詮は魔物ですしね」

「そうだな。死んだところで誰かが気にするわけでもないしな」

そう言い再び豪快に笑う。

その後しばらく地下室にその男の笑い声が響き渡っていた……


――――

「さて、これからどうする?」

宿に戻り四人集まった俺達は城に入る計画を立てていた。結局ラフは村にもいなく、城から出たという情報もない。やはり城にいる可能性が一番高いだろう。問題はなぜ城にいるかということだが……まあ、そんなことはどうでもいい。

「私達も昔から入ろうとしていたから入るルートはいくつかあるんだけどねぇ、本当にやるの? 結構厳しいと思うわよ」

「やるに決まっているだろ。そこにラフがいるかもいれないんだ……別にお前らは手伝わなくていいんだぞ。ここまで十分いろいろしてもらったしな」

「ここまで付き合っているんだし最後まで付き合うわよ。もともと私がついていきたくてついて行っているんだしね」

「俺も付き合うぞ、リンだけに危ないことをさせるわけにはいかないからな」

「わ、私だってライさんが行くというのならどこにだって……」

皆そういってくれる。助かるな……正直俺一人だと正面突破しか思いつかなかった。

しかし、一体どうやって中に入ろうか。

「そうねぇ……まあ、当たり前だけど四人で行くのはよした方がいいわね。目立ちすぎるしね」

そりゃあ四人で行動するわけにはいかないよな。

「まあ、私としては……私とカイル、ライ君とミチがいいと思うわ」

お? どうしてこの組み合わせなんだろうか?

「まあ、ライ君はワープでいつでも逃げられるじゃない。それなら隠れるのが苦手なミチと組ませた方がいいかと思ってね。私とカイルなら逃げることに関しては得意だしね」

そういうことか。まあ、どの組み合わせでも対して変わらないだろうしな。それでいいか。カイルと一緒じゃないしな。

「ミチ、ちょっと来て」

「はい……?」

リンがミチを呼んでこそこそと何かを言っている。何を言っているんだろうか? 

暫くするとミチが赤い顔して自分の場所へと戻る。……本当何を言っていたんだ?

「ふふ、色々あるのよ、色々とね」

なんだよ色々って……そう問い詰めたかったがリンに笑って誤魔化された。


忍び込むのは夜にした。俺は夜の方が警戒されるんじゃないかと思ったのだがリン曰く夜の方が見張りの数が少なくなっているらしい。そんなものなのか? 城壁をのぼり城の中へと忍び込む。こんなにあっさりはいれていいのだろうか……

「じゃあ、気を付けて」

「そっちこそな」

俺とミチ、リンとカイルに分かれ俺達はリンが言っていた裏口にへと向かう。あらかじめ計画を立てていた通り俺とミチは城の地下を調べる。リンが言うには城にはいくつかの地下室があるらしい。一番可能性が高いのはそこだろうとのことだ。リン達は俺達とは逆に上へと向かった。王様の所に向かうそうだ。さて、王様の所で一体に何をするかまでは聞いていないが……まあ、大丈夫だろう。きっと……

「ライさん? 入りましょうよ。鍵は開きましたよ」

ひそひそとミチが俺に言ってくる。おっと、いかんいかん、つい向こうの心配をしてボケーとしていた。

「よし、じゃあ行くか」

「はい」

裏口の扉を開けて入ると中には誰もいなかった。裏口とはいえ普通誰か一人ぐらい見張りがいるものだと思うんだけどな。楽ならそれに越したことはないんだが……

「ミチ、周りに人は?」

「そうですね……そこの扉を開けた先の通路に一人巡回しているぐらいですかね」

ミチもリンほどではないが人の気配を察知できる。便利な能力だよなぁ……これも魔法の一種なのかな?

「避けて通れそうか?」

「ちょっと厳しいですかね。通路も狭いですし……」

そうか、じゃあ倒していくしかないな。扉を静かに開ける。兵士は扉を開けたのにきづいたのかこちらを振り向こうとする。

「がっ……」

だが、振り向き終わる前にワープでそこまで移動し頭を強打し、気絶させておく。

「ふぅ……割と面倒くさそうだな」

「流石ライさん、あっという間ですね。一応眠っておくように魔法をかけときますね」

ん? というかミチが眠らせれるなら俺が気絶させる意味はなかったんじゃあ……

「この魔法は結構近くにいないとできないんですよ。その分体力はあんまり使わないんですけどね」

それならミチも連れて敵の近くまでワープして魔法をかけてもらおう。そっちの方が楽だろうしな、大体俺が殴ると毎回ごつんという鈍い音がでるしな。

「わ、分かりました……」

なんでそこで頬を赤くするんだ? よく分からんな……




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