3話 魔物と人間の村
3話目となります。
次話は28までにあげる予定です。
感想等いただけると嬉しいです。
ラフの背中に乗ること数分、ラフ住んでいる村についた。
『降りますよ。気をつけてくださいね』
村の前に降りる。
ラフが帰って来てることに気づいていたのか
村の入口に女性が立っていた。
「どうしたの、ラフ。貴方が龍になるなんて」
ラフはその女性の方を向き、何か話しているようだ。
女性は頷きながらラフの話を聞いていた。
その女性はこっちに駆け寄ってきて頭を下げた。
「私はエマといいます。娘を助けてくれてありがとうございます」
ラフの母親だろう。羽と尻尾は生えてないようだ。
ラフがあったことについて話していたのだろうか。
「いえいえ、助けられてよかったです」
「とりあえず村の中へどうぞ」
「ラフは?」
「ラフは姿を戻してからまたきます」
ラフの母親に村の中を案内される。
村には様々な魔物や人がいる。
どの魔物も人間も楽しそうに暮らしている。
「もう人間と魔物が一緒に暮らしているんだな」
争いが終わった後とはいえ、まだ色々と恨みもあるだろう。
だというのにこういう場所もあるのか。
「ここ以外にはそういった場所はありませんよ。
この村は争いがあった頃からあるんです」
「昔から?」
「はい、昔争いが嫌になった人達が集まってできたそうです」
そういうことだったのか。
だからこんなに仲良く過ごしているのか。
「お、着きました。ここです」
ラフの母親について家に入っていく。
「さて、色々と聞きたいことはあるでしょうが
先に聞いていいでしょうか」
なんだろう。何を聞きたいのだろうか。
「貴方はどうやってこの世界に来たのですか」
その事か。
俺はこの世界にどうやってきたかを話した。
記憶を失っていること。
いきなりこの世界に飛ばされたこと。
「そんなことがあったんですか。大変でしたね。
それであなたはこれからどうするつもりですか」
とりあえず人のいるところに行こうかな、としか
考えていなかった。どうしようか。
「いや、とりあえず人のいる場所に行こうとしか
考えていなかったです」
「じゃあ是非この村でゆっくりしていってください。
娘の恩人ですし、歓迎しますよ」
この村に留まるのも悪くないかもしれない。
だ友人とが折角この世界に来たんだしこの世界を見て回りたい。
「まあ、そんなにすぐに答えを出さなくていいですよ。
とりあえず今日は泊まっていってくださいな」
まあ、そうだな。今日は泊まらせてもらおう。
どうせ行くあてもないしな。
「さて、何か聞きたいことはありますか?」
聞きたい事か……
「魔力とはなんですか?」
これについては聞いておきたい。
魔法が使えるようになるなら使いたいしな。
「魔力ですか……魔力とは」
エマさんが説明しようとした瞬間、
「すいません! 遅くなりました!」
ラフが家の中に飛び込むように帰ってきた。
「遅かったわね、どうしたの?」
「いえ、ちょっといろいろ支度を……い、いえっなんでもありません!」
支度? そういえばさっきと服は変わっているし、心なしか
綺麗になっている気がする。
「あらあら、どうしたのラフ。そんなにおめかしして」
「な、なにいってるの。いつもどおりだよ」
ラフが顔を真っ赤にして焦っている。
というか今、ラフはミニスカートだ。
慌てているせいかスカートから出ている尻尾が上下に動いている。
つまり…見えそうなのだ。
というか白いのがちらちらしている。
あともう少しで完全に……
「さて、続きの話をしますか」
「あっ、はい、お願いします」
エマさんがそういって正気に戻る。
危ない危ない……ばれるところだった。
ラフもエマさんの隣に座る。
「魔力について、でしたね。この私達の周りの空気にはたくさんの
魔素というものが溢れています。それに干渉し、操る力のことを
魔力というんですよ。ラフ、ちょっとやってみて」
「ええと、火でいいかな」
「うおっ」
そうラフが言った瞬間、目の前に小さな火の玉が出来た。
「あっ、驚かせてすいません。これが魔法です」
これが魔法か……
「どうやったら使えるようになるんだ?」
やっぱり魔法と聞いたら使ってみたいと思うだろう。
「魔素を操ることは生まれた時からできる人もいますし、
魔法に触れてできる様になる人もいます。逆に全く
できない人もいます。ライさんが使えるかは分かりませんが
使えるようになるためには魔法に触れる事が一番でしょう」
「じゃあ、教えてもらえないか?」
「もちろん、それはいいですが……
その前に村を紹介しますよ」
そういえばこの村に来たばっかだった。
そんなに焦る必要もないだろう。
「じゃあ案内してもらおうかな」
「私はラフを襲った人間について報告してきます。
じゃあラフ、後は任せたわよ〜」
「え、ちょっとお母さん!?」
そういってエマさんは行ってしまった。
ラフと俺だけが残される。
「じゃあ村を案内しますね……」
「ああ、よろしく」
−−−−
「ええと、ここは広場です。いつでも
いろんな方が集まっています。今は三人ほど
しかいませんね」
「お、ラフちゃん! 大丈夫だったのー?」
一人がこっちに気づく。
というかもう話が伝わっているのか。早いな。
「はい! この方のおかげです」
「お、その人が噂の!」
前の三人がこっちに注目する。いや三人というのは違うか。
一人は人間なんだが……一人は耳と尻尾が生えている。
犬耳? 魔物のなのか?
もう一人は壺だ。もう一度言おう。壺だ。
壺ってなんだ、壺って。こいつも魔物なのか?
蓋の中から声が聞こえるが中に本体がいるのだろうか。
「ロークだ。まあ、人間だ。よろしくな」
「ラウラといいます。獣人と人間のハーフです。
よろしくお願いします」
「僕はルーだよ! 見ての通り壺だよ! よろしくね。」
「ライです。よろしく」
まあ二人はいいとしよう。だから壺ってなんだよ。
「いまからどうするつもりなんだ?」
「とりあえず村を案内しています」
「ああ、来たばっかですしね。
じゃああんまり引き止めても悪いかな」
「そうだね。お二人さんとも仲良くね! ラフちゃんも
頑張って!」
「が、頑張るって何ですか!」
「いや、そりゃあもちろんライ君との…」
「いっ、いきましょう。ライさん!」
顔を赤くしたラフに引っ張られていく。
どうしたのだろうか。
そうやってこの村を回り終わる頃には日も暮れていた。