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37話 村へ

「ふぅ……」

「お疲れー!」

あれから俺達は二人で着々と見張りを倒しながら砦を進んでいた。にしても意外とこの砦は広い。

しかも隠れながら動いているから時間もかかっている。いつになったらここから出られるんだろうか。やっぱり一人で行動した方がよかったかもしれない。それならこんなに時間もかかっていなかっただろう。大騒ぎにはなっていたかもしれないが。

「まあまあ、そう言わないでちょうだい。もうすぐでここを出れるんだし」

やっとか。にしてもリンは意外と役にたった。扉ならすぐにほいほい開けてくれるし、気配を察知するのもアンリ並に早い。それに気配を消したり、姿を消したりすることもでき万能だ。本当戦闘さえできたら完璧なのになぁ……おしい。


「どうしたの、私の顔に何かついてる?」

おっとじろじろ見つめすぎていたようだ。適当なことでもいっておこう。

「いや、綺麗だなと思って」

「な、なによ、褒めても何も出ないわよ?」

「いや、冗談だ」

「冗談ってライ君……それはひどくないかな」

しょんぼりと落ち込んでいるリンを無視して進む。また部屋でのんびりとしている奴らを倒し、

次へと進む。

「お、この扉開けたら外に出られるわよ! ん……でも結界がはってあるわね、少し時間がかかりそうだわ」

そうか、まあ待っておこう。どうせ人が来る気配もないしな。これでやっと出れる。ラフ達に会いに行ける。まだ一周間も立っていないな。なんか凄く長いなぁ。


「そんなに早く戻りたがるなんて向こうに何があるの?」

「ちょっと会いたい人がな」

「そう……恋人かなにか?」

「まあ、そんなところだ。リンは?」

「恋人かぁ……いいなぁ。私はねぇ……まだいろんな物を盗んでまわりたいだけよ」

それだけかよ……何かこう、特別な理由でもあるのかと思っていた。

「別にそんなの無いわよ。私は気の向くにままに生きていきたいだけ。ほら、あいたわよ」

まあ、そんなことは俺には関係ないか。とにかくこれでここから出れるんだ。出る際もちろん人間側にも見張りがいたが気絶させていた。


「じゃあこれからライ君どうするの?」

これからか……ラフ達と合流するにはどうしたらいいだろか。やはり、とりあえずはエマさんの所に行くべきか。ラフ達もそこ立ち寄っているかもしれないしな。ここは人間と魔物の間らしいしここからもそんなに遠くないだろう。

「俺は取りあえずある村に行こうと思う」

「そう……ねぇ! 私もついていっていいかしら?」

はぁ? 何を言い出しているんだこいつは。いや……しかし連れつれていったら役に立つか……? リンならあの女性を感知することができるかもしれない。だが、うーん……

「戻って何かしたいことがあったんじゃないのか?」

「さっきも言った通りないわよ。気のままに生きていきたいだけ。ライ君についていくと楽しそうだしね」

「じゃあ、俺がそいつらと合流するまでな」

「うーん、本当はずっとついて行き所だけど仕方ないわね。それでいいわ。じゃあ、改めてよろしくねライ君!」

「ああ、こちらこそよろしくなリン」

さて、決まった以上ゆっくりしている訳にもいかないし、さっさと行くとしよう。そう思い、エマさんの村にむかい始める。

「ちょ、ちょっと? そっちに村は一つしかないけど……もしかしてそこなの? 案外近いわね」

一つしかない? 何を言っているんだ。ああ、ひょっとしてラフやアンリのことを人間と思っていたのだろうか。そういえば一度も説明していなかったな。

「ああ、俺の恋人は人間じゃないぞ」

「え!? それってつまり……」

「魔物だ」

リンが口をぽかんと開け驚愕している。そんなに驚く事なんだろうか? 顔の前で手を振ってみたりするが反応がない。

「おーい、大丈夫か?」

「……はっ!? いや、驚いたわ。まさか人間じゃなかったなんてね」

「そんなに驚く事か? じゃあどうする、ついてくるのを止めるか?」

「いや、私はついて行くわよ! たとえ魔物側だとしてもね」

結局ついてくるのか。やっぱり魔物と付き合うって事はそんなに驚く事なのか。俺としては何も変わらないんだけどな。それから村に向けて歩き始める。途中、魔物側に一番近いであろう人間の村があったのでそこに泊まらせてもらった。


「お疲れでしょう。今日はゆっくりしていってください」

「すいません、お世話になります」

魔物側に近い割にはほのぼのとした村だった。しかし、ただ、なんというか……騒々しかった。何故だろうか。まあ、そんなことはどうでもいい。それよりも飯だ。魔物側と違い料理が美味しい。様々な工夫がされ食材を調理されている。でもやっぱりラフの料理の方が美味しいな。ああ……ラフの手料理が食べたいなぁ、最後に食べたのはいつだろうか……

「何悲しそうな顔してんのよ、食事中よ? 楽しくいきましょうよ」

「ああ、すまん……」

そうだよな、落ち込んでいても仕方がないな。それにまた、もうすぐ会えるんだ。


その後、村で騒々しかった理由を聞いたがどうやら龍が目撃されたらしい。それで皆騒いでいるみたいだ。世界の終わりだとか災厄の前触れだとか言っているが……そんな騒ぐことなのか?

「いや騒ぐことでしょう!? だって龍よ龍! 人間でかなう人なんて何人いることやら……」

これがきっと普通の反応なんだろうな。



「もうここは魔物側なのよね……」

リンが周りを見渡しながらしみじみと言う。

「こっちに来るのは初めてなのか?」

「そうねぇ、わざわざこっちにくる理由もないし、行きたくもないしね」

まあ、そりゃあわざわざ敵対していたこっちにきたいという人はいないだろう。魔物もまたしかりだ。


また今日もエマさんの村を目指して歩き続ける。

これなら今日中にはつくかもしれないな……


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