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32話 オークの村

ラフがやっと離れてくれた後、俺はアンリの誤解を解いていた。

「アンリ、決してそういったことをしていたわけじゃないからな!?」


「え、てっきり兄ちゃんの朝から元気なそれをラフ姉ちゃんが治めていたのかと……」

いや、確かにラフが隣で寝ているわけだしそりゃ元気にも……いや、そうじゃなくて! だからってどうしてそうなった!?


「だってラフ姉ちゃんが兄ちゃんに顔をうずめて……」

はたから見たらそう見えたのか……? いやラフが顔をうずめていたのはお腹だからな。 ラフがなぜそうなったのかを説明する。

「ふぅん、それでね……まあ、そう言う事にしておくよ」

一応納得してくれた……のか? まあ気にしていてもしょうがないかな。とりあえず忘れることにしよう。というか忘れたい。


準備を整え、再びワープで戻り歩き始める。そしてあの女性についての対策について話し合うために、

夢のことをラフ達に話した。


「おもしろい夢だね! なんなんだろうね、その蛇は」

あの蛇に関しては結局何も分からなかったからなぁ。一体何者なんだろうな。おっと、そんなことよりもあの女性の事だ。とにかくこの世界には俺と同じ能力は存在しないらしい。他にあのようにいきなり出てくる魔法とかあるのだろうか。


「一応周りから見えなくなるような魔法や気配を消す魔法はあるけど 、使える人なんてほとんどいないはずだよ」

「私の村にはいましたよ。いたと言っても数名だけですが……」

ということはあの女性は魔法で姿や気配を消している、という事だろうか。ラフ達の話を聞く限り使うのは結構難しいみたいだが……あの蛇が言うにはあの女性は一、二位を競うほどの実力とか言っていたしなぁ。できても不思議ではないかもしれない。


しかし、それはそれでどう対策すればいいのだろうか。

「私も気配を感じ取れませんでしたし……」

「僕もだめだったしねぇ……」

どんな方法を使っているか分かっただけで結局対策はたたなさそうだな……


そうやって歩いているうちに村についた。さて、この村は人間を受け入れてくれるだろうか。

村に入口にはオークが立っていた。うん、よくRPGゲームに出てくるオークそのままだ。


「ん? 人間と……魔物二人か。何の用だ?」

見た目と反した凛々しい声でオークが話しかけてくる。

「いえ、少しこの村に泊まらせて欲しいんだが……」

「そっちの二人はいいが……人間か……ちょっと待っててくれ」

そう言って村の中に入っていってしまった。待つこと数分、オークが戻ってきた。


「村長が会いたいそうだ。来てくれるか?」

まあ、別にいいだろう。むしろ会ってくれるだけありがたい話だ。オークに案内され村長の所まで行く。

この村もいままでと変わらず、普通の人間の村と同じような感じだった。にしても……さっきから俺達の事を気にしている人達がたくさんいるが、大抵はオークのようだ。この村にはオークが多いのかな?

この感じだとやはり村長もオークなのだろうか? そんな事を考えながら村長さん所まで行く。


「ここだ。入ってくれ」

そう言って、周りの家より一回り大きな家の扉を開ける。中には村の中で見たオークよりも大きなオークがいた。これは……二メートルはあるだろう。オークというよりもはや巨人といった方がいいかもしれない。


「お前らか、この村に泊まりたいというのは。そもそもなぜここにきたんだ?」

「俺らは……」

ここに来た理由を言う。まあ、理由といってもただ単にギルドの依頼で薬草を摘みに来ただけなんだが。後は村を見に来ただけだな。そう言うと村長オークは表情を柔らかくして、

「そうか! それなら遠慮なく泊まっていけ! まあ、少し狭いだろうが……」

あれ? なんか思ったよりもあっさりだな。入口で悩んでいたからてっきり断わられると思っていたのだが。


「いや、俺も昔あのギルドで働いていてな。後輩には世話をやきたくなるじゃないか!」

そう言って豪快に笑う。思ったよりも良さそうな人だな。

いくら後輩とはいえ、俺まで泊めてくれるのか。


「薬草を詰みに来たということは……ああ、そうか、森にはあいつらがいるもんなぁ」

そう、聞いてもいないのに森ででる魔獣についても詳しく話してくれた。そいつらはトレントと呼ばれている。木に化けており、普通の木と見分けがつかないそうだ。それに一体一体の強さはたいしたことないそうだがその森にはとにかくたくさんいるらしい。一応、違う森には魔獣ではなく、魔物としてのトレントもいるそうだ。

と、このような事を説明してくれた。いやまあ、ほとんどが町で聞いていたことではあるが……

それからもしばらく俺らの旅の話、村長さんのギルドで働いていてた頃の話などをしていた。見た目に似合わず話好きのようだ。


「おっと、話すぎてしまったな」

話が終わる頃には夜も遅くなっていた。あれ? 村に着いたのは昼前だったはずなんだがな……


「じゃあ、この部屋を使ってくれ」

案内された部屋は一言でいうとそう、狭かった。俺ら三人でこの部屋か……いや文句は言うまい、せっかく泊めてくれるんだ。


「はぁぁ、疲れたぁ」

「そうですね、お話長かったです……」

二人とも布団に倒れ込む。村長さんの話で疲れたのだろう。この調子だとそのまま寝てしまいそうだな。というか俺も眠い。

……それにしても、布団も一つしかない。まあそれに関してはある方が驚きだが。しかし……俺はどこで寝ようか。



「ライさんも一緒に寝ましょうよ。詰めれば入りますよ!」

「え、ちょ、ちょっとまっ」

手を引っ張られそのまま布団に倒れ込む。そして逃がさない、というかのようにしっかりと抱きすくめられてしまった。


「むふふー逃がしませんからね」

「いや、アンリもいるんだからな!? 流石に狭いだろう!?」

「じゃあ僕もこうすれば問題ないね!」

そういって後ろからアンリまでもが抱きついてくる。いやちょっと!?

「俺は別にそこの椅子で寝るから!」

「うにゅー逃がしません!」

更に強く抱きしめてくる。ラフの柔らかい体がしっかりと俺にあたって……

「むぅー」

アンリも後ろから更に強く抱きしめてくる。

まあ、アンリの体からは何も感じないが……それにしてもこれは……まあ、こんなハーレムも悪くないな!

そんなことを思いながらその日は眠りについた。

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