31話 夢再び
結局ほとんど進んでない!?
そろそろ進めていきたい……
目をあけるとそこには九つの頭を持つ大きな蛇と少女がいた。蛇はこの間夢に出てきたやつみたいだ。
「だからどうしてあなたは勝手なことばっかりするんですか」
「いやぁ、ここは一応僕の世界なんだし僕の勝手でしょう?」
「彼に関してはそういうわけにもいかないでしょう!?」
何かを言い争っている。何を言い争っているんだろう? それにしても奇妙な光景だ。大きな蛇と少女が二人で言い争う、そんな光景みたことない……? いや、なんか見たことあるような気もするが。
「そんなこと言ってこの間彼をここに呼んだのは君じゃん」
「そ、それは仕方ないじゃないですか。ついうっかり……」
「じゃあ僕もうっかりということで許してくれよ」
「それとこれは話が別です!」
「あのー……」
「ふぇっ!?」
「えっ?」
俺が二人に声をかけると二人そろって奇妙な声を出す。どうやら俺には気づいていなかったようだ。
二人して驚いた顔をして(蛇の表情はわからないからなんとなくだが)こっちを見る。
「ちょっとなんで彼がいるんですか!?」
「いや、僕にも分らないよ。また君が呼んだんじゃないのかい?」
「と、とにかく不用意に彼を呼ぶのはやめてください! では、私はこれで」
そういうと少女は消えてしまった。それを蛇は困ったような顔をしていた。
今更気づいたがあの少女は俺がこの世界に来る前にあった少女じゃないか? なぜこんなところにいるんだろう。
「そんなこと言っても今回呼んだのは君じゃないか……まあいいや、じゃあお話ししようか!
とりあえず君の質問に答えてあげるよ。まあ、答えられるものだけだけどね」
質問か……とりあえずお前は誰なんだ? そして彼女はなぜここにいたんだ?
「僕が誰かねぇ、それは秘密で! 彼女がいた理由はねぇ、僕の所に遊びに……というより叱りに来たって感じかな。ああ、内容は君をここに連れてきたことだね」
よく分らないな……そもそもお前達がだれなのか分らないと、どうしようもないな。
「まぁ、僕らにも話せないことはあるから許してくれよ。他に何かないのかい?」
他にか……何でもいいのだろうか?
「この世界のことに関してなら大抵答えられるよ!」
この世界の事についてか……じゃああの女性の事でもいいのだろうか?
「もちろんだよ! あの女性はねぇ、そりゃもう優秀な魔法使いだね! それはもう人間の中で一、二を競うぐらいのね」
俺らはあいつに手を焼いているんだがなにかいい方法はないか?
「手を焼いている? 君が?」
ああ、いきなり現れたり消えたりで俺と同じような能力だと思っていたが……違うのか?
「あはははははははは、そんなわけないじゃないか」
蛇はそんな俺が滑稽だというように大きく笑う。そんなに笑わなくてもいいじゃないか。
しかし違うとなると一体何なんなんだ。
「うーん、これだけ言っておくよ。あの世界に君みたいな一瞬で移動するような力を持つものはいないよ。少なくとも今はね。まあ、魔王様と呼ばれていた人が作った転移石というものはあるけどね。少なくとも彼女は使ってないよ」
それならあいつはどうやっていきなり現れたりしているんだ? 何か別の方法があるのか?
「そこら辺は自分で頑張って考えてね~。じゃあまたー」
ちょっと待て。またいきなりだな……
――――
「君もいい加減出てきなよ」
蛇が不機嫌そうにそう言うと先ほどの少女が現れる。
「うぅ、まさか呼んでしまっているとは……」
「全く……会いたいなら会えばいいのにさ」
「そうは言っても……やっぱり恥ずかしいじゃないですか!」
そういってその少女は頬赤く染める。
「本当君は……そんなんじゃ彼も振り向いてくれなくなるよ?」
「うぅ、がんばります」
蛇にたしなめられ顔を伏せて落ち込んでいた……
――――
「はっ!?」
目が覚めるといつもと同じ光景。隣ではラフが気持ちよさそうに寝ている。やっぱり夢なのか……?
でも今回はいいことを聞いたな。しかし、俺のような能力ではないというのはどういう事なんだろう。
三人で話し合ってみるか……
「んぅ……」
お、ラフも起きたか。丁度良かった。
「おはようラフ!」
「おはようございます……」
な、なんだ……? ラフがふてくされたような顔をしている。何だ? 何かあったけ……?
あ! そういえば昨日はラフが何か言っているのを無視してそのまま寝てしまったんだった。
そのことだろうか?
「ら、ラフ? ど、どうした?」
恐る恐るそんなラフに尋ねてみる。
「いえ、別に何でもありませんよ。昨日ライさんがかまってくれなくて寂しかったとかそんなことは決して……」
やっぱりその通りだった! というかわかりやすいな、ラフ。
どうしたら許してくれるだろうか……うーん……俺がそう悩んでいるとラフの方から、
「あ、朝だけでもずっと抱き付かせてくれるとその、嬉しいな、なんて……」
それでいいのか。俺は腕を広げラフを受け入れる。
「えへへへ……」
そんな俺のお腹に抱き付き満足そうな笑みを浮かべる。まあ、これだけでこんな喜んでもらえるとなんかこっちまで嬉しくなってくるな……それにしても、尻尾が凄くばたばた動いている。そしてラフは基本的にスカート類の物しか着ない。尻尾が邪魔になるというのもあるのだろう。だからいまラフの下着はスカートがめくれてしまって丸見えだ。ふむ、今日は無地の白か……
「あのー、ラフさん?」
「むふぅー」
あれからどれだけこうしていただろうか……ラフは俺のお腹に顔をうずめたまま時々奇妙な声を出しながら動かない。そろそろアンリもやってくるころのはずなんだけどな……
「兄ちゃん達、まだ寝ているのかい? 入るよー?」
そんなことを考えていると丁度アンリがやってくる。ちょっと待て今はいられると非常に不味いような。
「アンリ、ちょっとま……」
そんな俺の制止を無視してあんりが入ってくる。入ってくるなり俺らを見て、
「……お邪魔しました」
そう扉を閉める。絶対いま誤解されたよな。いや、誤解ではないのかもしれないけど。
「ちょっと待てぇぇ。アンリが考えているようなことはしていないからな!?」
「僕は少し町をまわってくるからごゆっくり~」
「アンリ!? というかラフもいい加減離れなさい!」
「むふふーライさんー」
それからラフに解放されるまでしばらく時間をようしたのだった……
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