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28話 いちゃつき

話し合いながらラフ達と話し合いながら次の村へと向かう。

向かっているのだが……

「ラフ、そんなにくっつかれると歩きずらいんだが……」

そう、ラフはまるで昨日離れた分と言わんばかり、横から腕にしっかりと抱き付いている。

「いいじゃないですか! 昨日は一緒にいられなかったんですし。それともライさんは私がいなくて寂しくなかったんですか?」

いや、確かに寂しかったけれども!


「じゃあいいですよね!」

そう言って更に腕の力を強める。

いや、だからそんなにくっつかれると歩きずらいんだが……

まあ、こんなにラフが幸せそうならいいか。


「二人ともいちゃつきでしょ」

アンリにそう咎められる。いや、うん、きっとこれは仕方がない事なんだよ。昨日は一緒にいられなかったんだし。

三人仲良くのんびり話あいながら目的の場所へと向かう。いいなぁ、こんな平和な日常。これであの女性や俺の記憶の問題とかなければいいのに……

兎に角、俺の記憶はともかくあの女性は何とかしないといけない。前は村を襲ってくる時にたまたま俺らがいただけだった。しかし今は直接俺らを狙うと言っている。

そもそもその対策を立てるためにもエマさんの所に行ったんだけどなぁ。結局は何も策が立てられなかった。今も話し合っているがこれといった案はでない。


「なんかアンリにそういうツテとかないのか?」

「うーん、そんな瞬間移動できるものを知っている人はいない……かな」

どうしたものか……そういえば夢で出てきたあの蛇が困ったことがあったら何でも聞けといっていたな。

どうやったら会えるかさえ分かればいいんだが、それが分からないことにはどうしようもない。


結局何も案が出ないまま歩き続ける。そうしている内に日が暮れていた。


「じゃあ、町に戻るか」

「戻る……とは?」

いつもならこのままここで野宿する。だが、今はいつあいつが襲ってくるか分からない。それなら少しでも安全と思われる町で夜を過ごすべきだ。なぜいままでそうしなかったかというとワープで町に戻ったあと再びこの場所に戻ってこれる確証がないからだ。今までワープは目立った目印がある場所にしか言ったことがない。周りに特に何もないここに戻ってこれるかは分からない。だが、ここですごすよりは町で過ごす方がいい、という結論になった。



「あら? 帰ってきたの?」

「はい、まあ色々ありまして」

ワープで宿に戻ってくるとセミラさんが出迎えてくれた。

「戻ってくるのが早すぎない……? いえ、まあラフ様……じゃなくてラフちゃんがいるんだしね。

 何があってもおかしくないわよね」

セミラさんはまだラフが龍ということになれていないようだ。それにしてもラフ様てどうなんだよ。


「じゃあ、兄ちゃん、ラフ姉ちゃん! また明日!」

「ああ、また明日な」

「いちゃつきすぎて朝起きれないとかないようにね」

そう言い残してアンリは自分の部屋へと戻っていく。俺はラフと一緒に自分の部屋に行く。

あれっきり、こうしてラフと同じ部屋ですごすのが普通となっている。でもまだ一線を越えたことは無い。キスなら何度もしているが……そっちはなんというか、タイミングがつかめないというか……

まあ、焦ることはないよな! まだ時間はたくさんあるわけだし。


「なんかライさんやらしいことでも考えています?」

「い、いやっ決してそんな事はないぞ!?」

「その様子は絶対考えていましたね……」

ラフに見透かされてしまっている。どうにかして話題を変えないと……そうだ、

「そういえばラフは俺の呼び名はライさんのままなのか?」

「えっ?」

「いや、せっかくこういう関係になったのにライさんのままってなんか寂しいなと」

「そうですね……じゃあ、ライ? というのはなんか落ち着きませんね。ライ君? だ、だめです!?

 恥ずかしくて呼べません!」

顔を真っ赤にして体をよじらせる。いまさら恥ずかしがることがあるのだろうか?


「とりあえずそれで呼んでみてくれよ」

「えぇ……えと、ら、ライ……くん?」

おおぅ、なんか、こうやって上目づかいに呼ばれるとこう、何かがこみ上げてくるというか……

「ラフ、もう一度!」

「え、ら、ライ君! やっぱり恥ずかしいですっ!」

うん! いいな! しかしラフは余程恥ずかしかったのか布団に潜り込んでしまった。

是非ともこれからもこの呼び方で呼んでほしいな。ラフのこの様子だと無理そうだが。



――――

兄ちゃんとラフ姉ちゃんと別れてから僕は自分の部屋へと向かう。


「はぁ……」

つい、ため息が漏れてしまう。なんのことか? 

そんなことは分かっている。兄ちゃん達のことだ。

「どうせまたいちゃいちゃしているんだろうなぁ」

兄ちゃん達の事だしまた二人でいちゃいちゃしていることだろう。それを考えているともやもやとしたものを感じる。僕はやっぱり……兄ちゃんの事を好きなのだろうか?

そもそもだ、一番最初に戦って負けた時から惚れていた。いままで負けたことがなかった。

それがまさか人間なんかに負けるとは思っていなかった。僕もラフ姉ちゃんのように兄ちゃんといちゃいちゃとしたい……けれども姉ちゃんの邪魔をしたくないしなぁ。


「はぁ……」

また深いため息をつく。兄ちゃんも鈍いからなぁ。僕の思いに気付くことはないだろう。

まあ気付かれても困るのだけれども。僕はどうしたらいいんだろう……?


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