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27話 来訪

ラフ達が村に行って俺一人だけで暇している時、一人の女性が

目の前にいきなり現れた。そう、いきなりだ。

「なっ!?」

こいつはあの勇者の子孫とやらと一緒にいた女性だ。

すぐに拳銃に手をかける。


「そんな怖い顔して睨まないで、今日は争いに来たわけじゃないわ。貴方に話があってきたのよ」

話……だと? この間襲ってきておきながら何を言っているのだろうか。

俺は即座に彼女の後ろに回り込みその首に短剣を振り下ろす。だが、その剣は宙を切った。

俺が剣を振ったところに確かに彼女はいたはずなのだ。しかし彼女は俺が剣を振った場所とは全く違う場所にいた。

「やあねぇ、今日は争う気はないって言ってるでしょ? 話だけでも聞いてよ」

そう、何事もなかったかのように気軽に言う。もう一度、後ろに回り、剣を振り下ろす。

しかし結果は同じだった。


「物騒ねぇ……」

平然とした顔でそう言う。

「話とは何だ?」

「やっと聞いてくれる気になったのね! 嬉しいわ。簡単に言うとねぇ……貴方、私達の仲間にならない?」

仲間……? どういうことだ。


「私達はとある目的で人間側でも魔物側でも動いてるのよ。それでね、仲間を集めているの。今も結構集まっているんだけどまだたりなくてねぇ……どう? 貴方なら強いし歓迎するわ」

「その目的とやらが分からないと返事のしようがないな」

まあ、いろんな村を襲っているような奴らの仲間になる気は到底ないが。


「そうよね。それが分からないとどうしようもないわよね。いいわ、少しだけ話してあげる。私達はね、

この世界を統一しようとしているの。魔物も人間も関係のない世界にね」

それがどうして村を襲うことに繋がるのだろうか?


「それは言えないわねぇ……もちろん仲間になってくれたら言うわよ?」

話にならない。分からないことだらけだ。


「そう、残念ね。この世界の人間じゃない貴方なら賛同してくれるかと思ったんだけど」

ちょっと待て。なんでこいつはそれを知っているんだ? 今俺がそれを話したことあるのはエマさんとラフとアンリだけだ。こいつが知っている訳がない。


「こっちにもいるのよ、貴方みたいな人がね。どうしようかしら……ここは脅してみるべきかしらね? 仲間にならないと貴方の仲間がどうなるか知らないわよ……とかみたいに?」

「は……?」

「やあねぇ、冗談よ。だからそんなに睨まないで」

いや、恐らく今のは冗談ではないだろう。こいつは本気だ。

俺が断れば遠慮なくアンリとラフを殺しに来るだろう。


「まあ今日はちょっと尋ねにきただけだしね。また来るわ」

「待て、まだ聞きたいことが……」

俺がそう言い終える前に彼女は消えてしまっていた。あいつの仲間にも違う世界からきた奴らがいるのか……そいつらに聞けば俺の事も少しは分かるだろうか? とにかくこのことはラフやアンリ達には話さないほうがいいかな? 心配させてしまいそうだし。

そんなことを考えながら一人寂しく野宿の準備を始める……


――――

ああ、もう……

私はライさんとアンリに言われて無理やり村にきている。休めといわれても私が一番安心できて心休まる場所はライさんの所だというのに……二人ともひどい。

この村もこの間のクレアさんの所と対して変わらない。いたって普通の魔物の村だ。宿を借り、アンリと二人ですごす。しかし……やっぱりライさんがいないと落ち着かない。

「ラフ姉ちゃん少しは落ち着きなよ。兄ちゃんと離れてからずっとだよ」

そうアンリちゃんにたしなめられた。そんなに分かりやすかったかな?


「誰が見ても分かるって。村の人皆気にしていたよ」

意識していなかった……え、どんな感じだったんだろう。考えたくないなぁ。

ああ、早くライさんの所に行きたいなぁ。

「まあまあ、兄ちゃんの言う通り僕らはゆっくりさせてもらおうよ。そして今度は兄ちゃんを

 ゆっくりさせてあげようよ」

アンリちゃんの言う通り、いつゆっくりできるかもわからない。今日はゆっくり泊らせてもらって明日朝、ライさんにすぐに会いに行こう。さっさと準備を整え、明日に備えて寝る。

「姉ちゃんもう寝ちゃうの? いくらなんでも早すぎない?」

確かにまだ、日が沈みかけたばっかだ。まあ、でもゆっくり休まないといけないしね!というかここで何かしててもライさんと会えるのが早くなるわけでもないし……

そう思い私は寝始める。

「いくらなんでも早すぎない!?」

アンリちゃんが何か私に言っていたが、もう既に私の意識は落ちていった。


翌日、朝起きすぐに村の人に挨拶をし村を出る。

「ラフ姉ちゃん急ぎすぎだよ! 別に兄ちゃんが逃げるわけでもないんだから」

それはそうだろうが私は早くライさんに会いに行きたい。村を出て、ライさんのいるところに向かう。

昨日と同じ場所でライさんは魔法の練習をしていた。


「ライさーん! おはようございます!」

「お、ラフ! おはよう!」

そのままライさんに飛びかかろうとする。だが私は途中でそれを止めた。

ライさんの雰囲気がいつもと違った。いつもと違い、険しいというか……


「ライさん、私達がいない間になにがあったんですか?」


――――

朝、起きてから昨日の事を考える。俺があいつらに協力すれば解決、というものでもない気がする

どうしたらラフ達に被害が出ないようにするためにはどうしたらいいだろうか……

取りあえず魔法の練習を始める。始めてすぐにラフがやってきた。

早いな、もっと村でゆっくりしてきてよかったのに。アンリもそんなラフの後ろを追いかけてきているようだ。走ってついてくる姿が見える。


「ライさーん! おはようございます!」

そう、ラフが俺に向かって飛び込んで来ようとする。俺はそんなラフを受け止めようとした、がラフは途中で止まる。どうしたんだろう? そうしていきなりさきほどの他のと比べようがないほどの笑顔から

いきなり真剣な顔になり、

「ライさん、私達がいない間になにがあったんですか?」

そう聞かれた。なぜわかったんだろう? 取りあえず誤魔化すか。


「別に何もなかったぞ。どうしたんだいきなり」

「嘘……ですよね? ライさん、私ではライさんの悩みを解決するのには役立ちませんか?」

いや、決してそんなことはない。ただ……心配をかけたくないだけだ。


「私はそうやってライさんが一人で悩んでいる方が心配です。何でも相談してください」

悲しそうな顔でこちらを見つめてくる。そうか……こっちの方が心配をかけてしまっているのか。

そうだよな、俺だけの問題でもないんだ……ラフ達に昨日あったことについて話した。


「ライさんを勧誘ですか……行くんですか?」

「まさか、あんな奴らの所に行く気はないさ」

「それにしても兄ちゃんと同じで違う世界から来た人かぁ……やっぱり強そうだね」

そこも問題だが、それよりも……


「大丈夫ですよ! そんな簡単に私達もやられませんよ!」

ラフとアンリはそのように言ってくれる。しかし……やはり心配だ。かといって何か対策があるわけでもない。あいつはまたくる、といっていた。その時に備えておくしかないのだろうか。


三人で対策を立てあいながら次の村にむかう。


しかし、相談してよかったかな? 確かにラフ達は不安そうではないが、内心どう思っているかは分からない。ラフにはいつでも笑顔でいてほしいからな。そのためには俺はなんでも……


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