24話 村でまったり
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「兄ちゃんにラフお姉ちゃんおはよう!」
「ああ、おはよう……」
「おはようアンリちゃん……」
俺もラフも疲れた様子で返事を返す。
流石に寝てないとキツい……
「どうして二人ともそんな……あっ! そういうことか!?」
アンリが何かを閃いたように手を叩く。
何を閃いたんだろう? うーん、達を見て閃く事って……
もしかしてそういう事か!?
「昨夜はお楽しみでしたね!」
アンリが笑顔で言う。想像通りだった。
「いや、アンリ……決して俺らはそういう事をしていたわけではないぞ」
「またまた、別に隠さないでもいいよ! もう兄ちゃん達の仲の良さは知っているんだし」
いや、本当にそういう事をしていた訳ではないんだが。
ラフはまだ理解していないのか頭にはてなを浮かべている。
「えっと……どういうことですか?」
「またまたー、ラフ姉ちゃんはとぼけちゃって。そんな男女が同じ部屋に
いて朝眠そうにしているなんて答えは一つでしょ?」
そのアンリの説明で理解したのかあっという間に顔を真っ赤にする。
「ふぇっ!? けっ、決してそういう事をしていた訳ではありませんよ!?」
「その様子だと本当に違うのかぁ……でも何していたの?」
アンリが残念そうに言う。何でそんなに残念そうなんだよ、手出すべきだったかな……。
ってそうじゃない、アンリの勘違いがとけてよかった。
「何をしていったて、話していただけです」
そう、ラフの言う通り話していただけだ。
「話していただけ? なんで一晩一緒にいてなにもないのさ。しかも朝まで話しているって……」
アンリが呆れたような顔をする。まあ、俺も一晩じゅう話しているだけというのは
どうかと思う。それにしても朝になるまで気付かないなんてどれだけ夢中だったんだ。
「ご飯できてるわよ? 早くいらっしゃい」
三人で話していると声が聞こえたのかエマさんがやってきた。
「あ、おはようございますー」
「おはよう母さん……」
「エマさんおはよー!」
みんな挨拶をする。ラフはまだ眠いのか元気がない。
「あら、おはよう。それにしてもラフとライさんは眠そうね。これはひょっとして……?」
エマさんにも誤解されているようだ。取りあえず説明しておく。
「あら、別にラフを貰ってくれても構わないのよ」
そうエマさんが言う。あれ!? すでにエマさん公認!
じゃあ……ってそういう問題じゃないな、うん。
皆で朝ご飯を食べる。残念ながら、というのは失礼だがラフの料理が食べたいなぁ。
まあ、これからいつでも食べられるからな!
「それでライさんたちはこれからどうするつもりですか?」
これからか……取りあえずあの勇者の子孫の対策をする気でこの村に来たが……
結局対策は立っていない。どうしようかな。
悩んでいるとエマさんが勧めてきた。
「では、人間の方に行ってみるのはどうでしょう?」
人間の方か……それもありかもしれない。しかし……それは襲われる魔物の村を
見捨てるということだろうか?
「いえ、そういうことではありませんが……ただ、魔物の中にはまだ人間を恨んでいる者はたくさんいます。入れてもらえない場所も多いでしょう。それを考えると人間の方をまわったほうがいいのでは?」
確かにエマさんの言う通り人間の方をまわった方が俺にはいいかもしれない。しかし俺にとってはそうかもしれないがラフ達にとっては人間達の所の方が居心地が悪いだろう。それに、魔物の村が襲われると聞いてそれを見捨てることはできない。
「そうですか……」
なぜ、自分でもこう思うのか不思議だ。だが見捨ててはいけない気がする。
この間は逃げようとか考えていたのにな……
でも魔物側をまわる中で人間として忌避されない方法はないだろうか。
「簡単な方法がありますよ」
エマさんがそう言う。
なんだって? そんな方法があるというのか。
「ライさんが魔王様になればいいのです」
「俺が魔王様に? 」
「はい、魔王様なら大抵の魔物が認めています」
いや、そうじゃなくて……俺が魔王様と名乗っても大丈夫なのだろうか。
というか問題しかない気がする。それにエマさんのお父さんだしな。
「大丈夫だと思いますよ。ライさんは魔王様によく雰囲気が似ています。同じ、といってもいいほどで す。それに魔王様は不思議な人でしたしまだ生きていたと分かっても疑われないでしょう」
前クレアさんにも言われたな。実際クレアさんの所ではそうしていたんだし。
だけれど、だからこそ分かる。その魔王様とやらがどれだけ慕われていたかを。
さすがにその人を名乗るのは悪い。
「すいません、せっかく考えてもらったのに」
「いえいえ、気にしないでください」
そのあと話し合ったが結局これからもいままでと変わらず魔物の村を見てまわることにした。
ある程度魔物の村を見てまわったら人間側を見てまわる、まあ今までと変わらないな。
勇者の子孫とやらについては、次からは捕まえることは諦めることにした。
遠慮なくやらせてもらおう。
「この村にはどのくらいいるの?」
それも決めていなかったが今日一日ぐらいはゆっくりしていってもいいだろう。
特にこれといってしなければならないことがあるわけでもないしな。
そうして今日一日はこの村をまわった。
ラフも久しぶりに村に帰ってきていろんな人と話せて楽しそうだった。
アンリといえば終始あたふたとしていたが。いい加減慣れようよ……
俺も久しぶりにこの村の人と話せて楽しかった。
「またいつでも来いよ」
「気をつけてね~」
村を出る際、沢山の人が見送ってくれた。やはり去るのは名残惜しい。
一通りこの世界をまわったらここで暮らすのもいいかもしれない。
だけれど期限は一年間だ……
それをどうにかしないといけないな。
そんなことを考えながら町に帰る。