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10話 再び出発

「はぁ、疲れたな……」


戦いが終わった後、再び村長さんの家にお世話になっていた。

村の修復を手伝うつもりだったが

「村の恩人にそこまでさせるにはいけません」

そういって押し切られてしまった。

ということでラフとゆっくりしている。


それにしても俺はなぜ戦いにこんなに自信があるのだろうか。

村に着く前にあった二人組に対してもそうだった。

全く負ける気がしなかった。ワープがあるから、というわけではない。

なんでだろう。やっぱり俺の昔に関係があるのだろうか。

殺すのにも躊躇いもない。本当、昔俺は何をしていたんだろうか、どうしたら

記憶が戻るんだろう。


「ライさん? どうしたんですか。そんなに難しい顔して」

「いや、昔なにがあったのかなって……」

「そうでしたね。ライさんは記憶を失っているんですよね……

 思い出す方法とかないんですか?」

「分からない。まあそんな気にするもんでもないだろ」

気にしていないわけはない。俺だって記憶を取り戻せるなら取り戻したい。


「……いつでも相談してくださいね」

ラフもそれも察してくれたのか深く聞くことはなかった。


結局そのあと俺達は疲れていたのか昼過ぎまで眠っていた。

あれだけ彼女を意識して眠れなかったというのが嘘みたいだ。

ラフもすぐに寝たようだった。


――――


「本当にこの度はありがとうございました。

 村を代表してお礼を申し上げます」


「いえ、お役に立ててよかったです」

まあ、助けられてよかった。

そうはいっても村も結構家も壊されているし、結構死人も出た。

助けられたといっても微妙なところだ。


午後は家の修復を手伝っていた。やっぱり何もしないでいるのは落ち着かない。

どこにいってもお礼の言葉をかけられた。

ここまで感謝してもらえると嬉しいな。やっぱり助けて良かった。

ちょっと現金すぎるかな?


そうやって作業をしているとあっというまに日が暮れていた。

村長さんの家で晩御飯をいただく。村長さんの晩御飯はおいしかった。

まあ、ラフの作るご飯の方がおいしいが。ラフに後でそういったら顔を真っ赤にして

「あ、ありがとうございますぅ……」

と俯いてしまった。やっぱりラフは可愛いなぁ。


「ライさん達はこれからどうするつもりですか? このままこの村に留まる訳では

 ないんでしょう?」

「はい、明日にはこの村をでるつもりです」

ずっとお世話になるのも悪い。それに村は様々な場所を修復中だ。

俺達がいて邪魔になることもあるだろう。このことはラフとも相談済みだ。

問題はどこに行くかだが……そう悩んでいたら村長さんがこう勧めてくれた。


「それならここから南にある町に行ったらどうですか。

 魔物の中で一番大きな町です。様々な物を見れますよ」


「魔物の中で一番大きな町ですか。ではそこに行ってみることにします。ラフもそれでいいかな」

「私はどこでもいいですよ。どこにでもついて行きますよ」

特に行く予定のある場所があったわけでもないしそこに行くことに決めた。

それだけ大きな町なら村長さんの言う通り、色々と見ることができるだろう。


そのまま今日も村長さんの家に泊まる。

今日も眠れない……ということはなかった。

ラフがいることがもう当たり前になっている。むしろいない方が眠れないかもしれない。

ということで俺は作業の疲れもあってぐっすり眠れた。


ラフがどうかは知らない。



――――


くそっなんだったんだあいつ等は。村に入ってきた時点では全く気にしていなかった。

まさかあんなに強いとは……


後ろから声をかけられる。僕の一番の協力者であり理解者だ。あいつも恨んでいて

滅ぼす気でいる。


「あなたが退くなんて珍しい。どんな人達だったの?」

「一人は龍だった。もう一人は普通の人間だと思う」

「へぇ、龍ね。そして龍と旅をしている人間か……」


そう、まさか龍だとは……遠目ではただの羽生えた人、ハーピーの類かと思っていた。

それに龍と人間が一緒にいるとは普通思わないだろう。

ただでさえほとんど存在しないというのに……


「次はお前も手伝ってくれないか。僕一人では厳しいだろう」

「分かったわ。まぁ、私もいれば負けないでしょう」

魔物を滅ぼす時にあいつ等は必ず邪魔になるだろう。

そのためにも排除しておかないといけない。魔物をこの世界から消す。


それが勇者の子孫である僕の使命なのだから。


――――


「では、いつでも立ち寄ってくださいね」

翌日俺達は村人皆に見送られながら村を出た。

村の人達全員がそう言ってくれた。


「これはお礼と餞別です」

そう村長さんから袋を渡された。

ずっしりとした重みを手に感じる。何が入っているんだろう。

覗いてみると中にはたくさんの銀貨が入っていた。


「村長さん、こんなに貰えませんよ!」

「いえ、村を助けて貰ったお礼ですよ。それに路銀はいくらあっても困ることはないでしょう」


遠慮なく頂いておこう。確かに路銀はまったくない。

というかお金を全く持ってなかった。

村の人達に見送られながら出発する。結局ほとんどこの村にはいなかったが

良さそうな村だった。ちょっと名残惜しいし、そのうち戻ってくるとしよう。


またラフと歩き始める。今度は一日ぐらいで着くらしい。

夜には着くだろうか? 着かないならまた野宿になるなぁ。


「そういえばラフ、お金はどうするつもりだったんだ?」

貰ったお金はかなりの量だった。恐らくしばらくはお金に困らないだろう。

だがあの村でお金が必要だったらどうしたんだろうか。


「いえ……実は忘れていました。重要なことなのに……」

忘れていたんかいっ! いや俺も忘れていたんだけど。

てっきり何か理由があるのかと思っていた。エマさんも忘れていたのかな。

エマさんでもそういうふうにうっかりすることがあるんだな。

まあ、手に入ったんだしよしとしよう。



こうしてお金も手に入れ、町を目指して歩き始めた。

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