序章
序章となります
目を開くと前には草原が広がっている。
どういうことだ、俺は確かにあの時死んだはずだった。
死んだ……? なぜ死んだんだ? そもそも俺はいったい誰だ?
周りを見渡すと果てが見えないほどの草原の中に一人の少女がいた。
「やっと起きましたか」
その少女はそう言った。
「早く次の世界に行きましょう」
次の世界とはなんだろう、こいつは何をいっているんだ?
「あなたの方こそ何を言っているんですか? 早く準備しましょう」
準備? なにをするというんだ、そもそもこいつは誰なんだ。
少女はそんな俺を不思議そうに見つめてしばらく悩んでからいった。
「ああ、そうかぁ。あなたは前の世界で記憶をなくしたんですね……仕方ないですね、一から説明しますか。あなたは最初にいた世界で悲惨な人生を送り生涯を終えました。そこであなたは人生をやり直したいと強く願いました。
それを見た世界の管理者、まあ、あなたたちの言葉でいうと神みたいなものですかね、彼らがあなたの願いを叶えようとしたんですよ。そしてあなたは様々な世界を巡っています。あなたが本当に幸せと思える世界が見つかるまで」
えーと……つまり俺が人生をやり直したいと思って
様々な世界で生きてきたということか。ん? 全く理解できん。どういうことだよ。
「補足しておきますとあなたは一回世界に行くごとになにか特殊な能力を与えられてます。まあ何もできずに死んだらかわいそうですからね。他には、いった世界のものを次の世界に持っていくこともできます。もし死んだとしてもこの場所に戻ってきてまた違う世界に行くことになるので安心していいですよ、まあその世界では死んだことになりますが」
この少女のいうことを信じるしかないんだろうか。とても信じられる話ではない。
「とりあえず、質問いいか?」
「どうぞ」
「なぜ俺には記憶がないんだ?」
そう仮に世界を巡っているといっても俺の記憶が無いのはおかしいはず。
少女は深くため息をつく。
「だからさっき言ったじゃないですか。あなたは前の世界で記憶をなくしたのだと。よっぽどひどい目にでもあったのではじゃないですか」
そうか……そんなこといっていたな……
しかし記憶をなくすほどのひどい目っていったい何があったのだろうか
「さてそろそろ時間ですね。次の世界に行くとしますか。次の世界で4回目となりますね。期間は一年間となります。一年たつとここにもどります」
「ちょっとまて! まだ質問が……」
「次のあなたの世界に幸がありますように―――」
少女がそういうと俺の意識がだんだんと薄れていく。
こうして俺の世界めぐりがまた始まった。