冒険者ギルド
sideレイア
俺とエッジは寮に戻り、装備を持った後、冒険者ギルドで依頼を探していた
「あぁ~、ねぇなぁ、討伐依頼」
「ああ、1つ上のランクを見てみるか?」
採取依頼を受けないのはエッジは薬草等の見分けがつかなく、俺は将来に備えて戦いたいからだ。
それに俺は知識がなくても何を持ってくれば良いかがわかれば取り合えずどうにか出来るだけのスキルがあるからな。
「しょうがねぇ、Dランク依頼探すか。少しは良いのもありそうだし」
冒険者には実力に伴ったランクが存在していて、下から順にF、E、D、C、B、A、S、SSがあり、Fは採取依頼や掃除等の雑用が主だ。
Eになって漸く討伐が出る。といってもEだとウサギの肉を取ってこい、とかしか無い。Dにならないと魔物とは戦えない
「お、ゴブリン討伐だってよ。報酬は・・・・5体で1000Gだってよ」
「ウサギよりは良いな。アレは5羽で500Gだったし」
結局ゴブリン討伐の依頼を受けた。なんでも20体近くゴブリンが出てるらしい。
町を出て暫く行ったところに森がある。そこにゴブリンがいる。
ゴブリンとは、身長1m〜1m40cm程度の緑の肌と汚い顔をした人型の魔物だ。
女を攫っては犯し、繁殖していく。
何時も腰巻しか着けていなくて、臭いも強烈らしい。
「エッジ、ゴブリンは魔物だ、ウサギとは違う。気を付けていくぞ」
「おう、俺の華麗な弓捌きでちょちょいのちょいだぜ!!」
弓は弓捌きと言うのか?
エッジの装備は茶色の皮で出来た安物の鎧と弓、矢が10本程度ある。
俺はコートに少し大きめの両手剣を背中に背負っている。
前衛後衛が別れた相性の良いパーティーだ。
森を歩くこと数分、ゴブリンの群れはすぐ見つかった
「まずはステータス確認だな」
「ああ、任せておけ。【分析】!」
【分析】を使うとすぐにゴブリンのステータスが出てきた
名前:
種族:ゴブリン
年齢:9
性別:男
称号:
レベル:6
HP:300/300
魔力:5/5
攻撃:230
魔攻:0
防御:115
魔防:20
俊敏:65
スキル:【棍棒LV3】
固有スキル:
加護:
弱っ!?下手したらウサギより弱いぞ!?ウサギの俊敏は75だから寧ろウサギのが厄介だ
「スキルも大したこと無いし、このまま突っ込んでも大丈夫そうだな」
「まぁ、お前の場合アレ《・・》があるからな」
まあ、アレ《・・》の使い勝手は良いけどその後がなぁ。
兎に角ゴブリンの群れは俺が正面から攻め、群れの後ろではエッジが木の上から弓で足止めと言う段取りになった。
「よし、行くぞ!」
「おうよ!足止めは任せとけ!」
俺は木から木へ飛び移り、ゴブリンの群れの前まで移動する。
「喰らえ‼︎」
俺は背中から両手剣を抜き、ゴブリン2体を抜いた勢いを利用して斬り殺す。
「「ギギャッ!?」」
「ギーッ‼︎ギキャア‼︎」
「ギッギギァ‼︎!」
悲鳴で他のゴブリンに気づかれた様だが、1匹2匹死んだ程度では怯まない様で、棍棒片手に襲い掛かってくる。
「無駄だ‼︎」
俺はさっきの剣の勢いに任せて体を1回転させ、そのまま1体斬り、もう1体の攻撃は遠心力を利用して距離を取る。
「そろそろお披露目だ。【スラッシュLV3】‼︎」
【剣術】やその派生形から得られる基本スキル【スラッシュ】。
俺はそのスキルを横に一閃するイメージを浮かべると、体がイメージ通りに動き、
目にも止まらない速度で剣を振るい、また1体ゴブリンを斬り殺す。
コレがスキルだ。体がスキルの効果と自分のイメージを元に勝手に動き、技を使ってくれる。
「ギキャァ!!?」
「ギーッギギッ‼︎!」
流石のゴブリンも無傷で仲間を4体も殺されて怖気づいた様で、後ろへ逃げていくが・・・
「ギキッ!?」
エッジの弓による援護射撃で頭に矢が当たり、死んでいく。
戦闘開始30分でゴブリンの群れは全滅した。
「やったなレイア‼︎初Dランク依頼成功だ‼︎」
「あぁ、お互い10体位殺したんだし、レベルも上がってるんじゃないのか?」
お互いに自分のステータスを開こうとした時、奴が現れた
「グルアァァァ‼︎‼︎」
「ーっ‼︎⁉︎ゴ、ゴブリンキングだ‼︎」
「いや、キングの後ろにゴブリンナイトが2体居る。不味いな」
キングはBランク、ナイトはCランクの魔物だ。普通のゴブリンの3倍は強い。
ゴブリンナイトは剣を持ち、簡単な防具を身につけたゴブリンだ。
ゴブリンキングは他のゴブリンを従えて群れを作る習性がある。今回の群れがこのゴブリンキングの群れだった様だ。
「エッジ‼︎もう援護射撃でキングを足止めしてくれ‼︎俺はナイトを片付ける‼︎」
「わ、わかった‼︎無理すんなよ‼︎」
エッジは再び木の上へ行くと、弓を引いた。
「グルアァァァ‼︎⁉︎」
エッジの矢がキングの目に命中した。
それを合図に俺はナイト2体目掛けて走り始めた。
「喰らえ‼︎」
「グルゥ‼︎」
「グガァ‼︎」
2体のゴブリンは協力して俺の剣を受け止めた。
「クッ、やっぱり知能があるのか‼︎」
魔物は下位のものだと知能が低いが、このゴブリンナイトの様に知能があると連携をしてくる。
俺の剣を受け止めたナイトは1体が俺と鍔迫り合いをし、もう1体が横から襲い掛かってきた
「くそっ‼︎」
俺は一旦ナイトの剣を弾き、襲い掛かってきたナイトの攻撃を避ける。
「まだ俺じゃ1対2ですら勝てないか」
いや、勝てなくはないが、ゴブリンキングが動き始めてしまう。早めに片付けないと。
「仕方ない。Cランク相手に使うのは初めてだな」
俺はあるスキルを発動する。
「【水晶眼】‼︎」
スキルを発動した瞬間、ゴブリンナイトの内1体の体が水晶に覆われ、2度と動かなくなった。
「よし、成功した‼︎」
コレが俺の切り札の1つ、【水晶眼】だ。
【水晶眼】は俺の持つ【魔眼王】と言う固有スキルにあるスキルで、敵を水晶で覆い、殺すスキルだ。
1回使ったら次使うのに1時間かかるのと余り自分より強すぎる相手には通じないと言うデメリットがある。
いきなり隣にいた仲間が水晶に覆われたのに驚いたゴブリンナイトが俺から目を離す。
いくら知能があると言っても所詮はゴブリン、簡単に俺から目をそらしてくれた
「止めだ‼︎【連続突きLV2】‼︎」
【連続突き】はLVに応じた回数敵に突きを入れるスキルだ。
俺の両手剣が一瞬ブレ、ゴブリンナイトの頭と心臓を潰す
「よっしゃ‼︎エッジ‼︎大丈夫か!?」
「ああ‼︎両目とも潰してやったら逃げ帰りやがったぜ‼︎」
どうやら上手く追い払った様だ。
大物ではあるが無理して追いかけても意味は無いので俺とエッジはギルドへ戻った。
俺とエッジは町の冒険者ギルドでゴブリンキングの報告をしに来た。
「ゴブリン討伐の依頼、終わりましたよ」
「はい、ではギルドカードを確認します」
エッジはウィンドウを操作し、アイテム欄からギルドカードを取り出す。
ウィンドウは操作している人にしか見えないから情報が漏れることも無く、
アイテム欄には100個の枠があり、一ヶ所につき同じアイテムを99個置いておける。
これはスキルが無くても使える。
ちなみに出し方は右手を縦に振ってウィンドウを出したいと思えば出てくる。
そしてギルドカードには魔物の討伐履歴が載るからこう言った討伐依頼ではギルドカードを提出するのが基本だ。
俺は登録してないからギルドカードを貰ってないが、登録する前に倒した魔物も履歴に載るから損はしない。
エッジからギルドカードを受け取り、依頼完了を確認した受付嬢さんはエッジにギルドカードを返す。
「確かに確認しました。報酬の1000Gです。確認して下さい」
お金もウィンドウに表示されるのでウィンドウに入れれば金額は確認できる。
「あんがとさん。じゃ、帰ろーぜレイア‼︎」
「何言ってんだこの馬鹿。受付嬢さん、俺たちはゴブリン討伐の際、ゴブリンキングとゴブリンナイト2体を見かけました。
幸いナイト2体を倒し、キングを追い払うのに成功しました。
なので森の辺りにゴブリンキングが居るはずです」
「ーっ‼︎し、失礼ですがギルドカードの確認をさせて頂いても?」
「いえ、俺は登録してませんので、ギルドカードはありません」
「なら今から登録してくれませんか?手数料はこちらが負担しますので」
「俺は学院の生徒なので登録は違反行為なのですが・・・・」
こればっかりはどうにも出来ない。学院に掛け合ってもらうしかない
「そう、ですか。ならゴブリンナイトの体の一部を持ってませんか?」
それなら記念に魔石を【採取】したから持っているため、俺はアイテム欄から魔石を2つ取り出し、提出する。
魔石とは、Cランク以上の魔物が体内に持っている魔力が込められた石の事だ。
これがあれば魔力が無くてもスキルを使える。魔石の魔力量は魔物の強さに依存する。
「それでは鑑定して参りますので少々お待ち下さい」
暫く暇になりそうだ。
俺とエッジは待合室の椅子に座って待つ。
「なあレイア、なんであの人あんなにギルドカードの方を提示させたがったんだ?」
「ああ、簡単だ。
もし本当にゴブリンナイト2体を討伐してたら即戦力になる。だから確認を兼ねて登録してない奴を登録させたかったんだよ。
それに魔石だと時間が掛かるからな」
ミレリア先生程ではないが、魔石の鑑定は面倒だ。それに受付嬢は忙しい職だからギルドカードを提示させたがるのは当然だ。
待つ事およそ10分、受付嬢さんが戻って来た。
「ゴブリンナイトの魔石を確認しました。
ゴブリンキングの情報料として4000Gお渡し致します。魔石の方は売却なさいますか?」
「いえ、折角なので持っておきます」
俺はゴブリンナイトの魔石を2つ受け取り、エッジと一緒に寮へ戻っていく。
「さて、レイアさあ、今回の戦いでかなりレベル上がったんじゃねぇの?」
「いや、まだ確認してないな」
「確認してみろよ。魔眼まで使ったんだろ?」
「まあ、そうだけど・・・・じゃあ見てみるか」
俺はウィンドウを操作し、ステータス画面を開く
名前:レイア・ドライア・ナイトヴァンス
種族:人間
年齢:14
性別:男
称号:封印の番人
レベル:17(7UP)
HP:830/830
魔力:234/240
攻撃:360
魔攻:180
防御:270
魔防:110
俊敏:240
スキル:【両手剣LV4】【分析】【火魔法LV3】【光魔法LV2】【念話】
固有スキル:【魔眼王】
カーススキル:【色欲】
加護:【剣神の加護】【聖神の加護】【戦女神の加護】【魔法神の呪縛】
レベルが7上がっていて、ステータスもかなり上がっている。魔力はまだ回復しきってないようだ。
そして相変わらず訳の分からないステータスだ。剣の加護の代わりに魔法の才能を持って行かれたとしか思えない。
それにカーススキルってなんだよ、明らかに呪われてる。しかも【色欲】って・・・・・orz
Cランク冒険者のHP、魔力を除くステータスの平均は500、今の俺の平均が100強だからDランクの位の実力だ。
まだまだ子供レベルだなぁ。
ゴブリンキングの平均が650だから・・・・うわぁ、良く逃げれたな俺ら
「レベルが7上がってるな」
「おお‼︎【魔眼王】はどうなんだ?」
固有スキルで出来ることは感覚的にだが、ある程度分かる。
【魔眼王】について調べてみると、1つ魔眼が増えていた
「魔眼が1つ増えてるな・・・【鑑定眼】、【分析】と同じ様な効果だな」
「な〜んだ、あんまり良くなさそうだな」
「いや、人のステータスが見れるみたいだぞ」
「げ・・・・お前、それ黙っておけよ?」
【分析】では人のステータスを見ることは出来ない。これが基本だ。
だから【鑑定眼】はバレれば国に束縛される苦しい生活を送る事になるだろう。
アリシア繋がりで王様とも知り合いだけど貴族はそうはいかないからな。
ちなみに今俺が使える魔眼は【鑑定眼】【水晶眼】【先見眼】だ。
【先見眼】は相手の動きを捉えるスキルだ。動体視力が良い俺は余り使ってない。
「エッジ、俺は自分の事だから黙ってるけど、お前も言うなよ?アリシアにもソフィにもクラリスにもだぞ?
特にクラリスとアリシアには言うな」
なんせお調子者と王族だからな
「わかってるって。安心しとけ」
今日は思わぬ所で良い体験が出来て良かった。一瞬ヒヤッとしたけどな。
この時俺は気が付かなかった。あのゴブリンキングが、これから起こる騒ぎの原因になることに
side???
「グゥゥ・・・グギャァ‼︎」
「そうか、漸く見つかったか」
森の中、両眼から血を流しているゴブリンキングが、黒い靄のかかったなにかに跪き、呻いていた。
「ゴブリンキング、眼は治してやる。お前は時期続き群れを作って計画を実行出来るようにしておけ」
「グガァアァァ‼︎!」
ゴブリンキングがまた鳴いた後、黒い靄は何処かへ消え去っていった