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リオシンフォニー

時系列はあるので、

順番に読んでいただくのを

お勧めしますが、

1話完結型の恋愛小説です。


理緒:

本来の主人公。

京都から関東へ帰ってきて、

就職もしただめ女。

元、だめ女と言い張りたい今日この頃。


奏:

かなで。

残念なイケメン。

理緒の彼氏で1個下。

残念?な理由は2つほど見えてきた。


リオシンフォニー


響く音。

交わって奏でられる、

それは美しくて壮大な…


<ホワイトデーだってのに何も考えてなかった>

奏からのLINEは、素っ気ない。

……おっと、誤解を招かないよう伝えよう。

先のセリフは、職場のおねぇさん達へのセリフだ。

私は夜、奏の時間をもらうことになっている。

<ちょっと買ってくる…視線が痛い>

ふふ、と笑ってしまう。

<奏のセンスはいいからね>

<ええ、ワタクシ、紳士ですので?>


…そして、しばらくした頃。

<某アロマショップの、ハンドクリームと、某有名菓子店のマカロン詰め合わせた>

奏からのLINE。

そこで少し考える。

ハンドクリームとはまぁ、ハードルが高いもの行ったなあ…。

化粧品系はデザイン、用途などなど、女性は個々にこだわりがある可能性がある。

しかも、香りがついているのであれば、好みは千差万別だ。

しっとり系、さらさら系、そこも問題だろう。

<理緒、このアロマショップ好き?>

<うん?…そだなぁ、前の会社じゃ競合他社だけど、好きよ>

<俺の姫にもあげるね>

<えっ、い、いいよいいよ!私は奏がいれば…っていうかっ、姫違うもん!>

<もう遅い>

<ほあ…>

<他の人と理緒が同じなのは俺が嫌だから、これはオマケ。俺がそうしたいだけだよ>

うわ、うわわ。

何てセリフをさらっと言うの。

どきどきしちゃうじゃない…。

<…至れり尽くせりで、そわそわするよぅ…奏、あの…ありがと>


そうしてやってきた奏は、開けて開けてと嬉しそうに包みをくれた。

見てみると…あ、なるほどね!

ハンドクリームは小さいサイズ、香りがまちまちの5本セット。

しっとり、さらさらも交えて、甘い香りからさわやかなもの、無香料と揃っている。

そしてマカロン。

可愛い色の5個セットはカラフルでポップな感じ。

クリームが落ち着いたデザインなので、ここで可愛さポイントもUP。

「すごーい!奏、このチョイスはねっ、すごいの、さすがなのよー!」

ベタ褒めである。

やっぱり奏ったら素敵!

奏は嬉しそうに、

「でしょ、センスあるでしょ?」

と笑った。

奏は褒められると満更でもない顔をする。

男の人は殆どそうかもしれないけど、奏は特別にプライドが高めだと思う。

そんな時、私は奏をよいしょして頑張る力をプラスしてあげる存在になりたいのだ。

何ていうか…奏のためならそうしてあげたいって思っちゃう。

それは今までのお母さんみたいな気持ちになるのとは違って、恋い焦がれて、胸の奥で強い気持ちが湧き上がるような…そんなもので。

ねえきっと、だめ女の私とは違う私なんだよ奏。

それは、奏だからなんだ。

「…本当に素敵です。よしよし」

たまには背伸びして奏の髪を撫でる。

すると、奏は倍返しで私を撫でた。

むしろ撫で回した。

「理緒、これはおまけだからね?わかってるよね?」

「ふあ、あははっ、もお、絡まるよお!」

笑うと、奏はぴたりと手を止めて、私の顔を覗き込む。

「お姫様、俺との時間はどうしたい?」

「えっ。ええ?い、いきなりそうきますかっ」

「リボン巻く?」

「あっは、もー奏ったらー!私、そんなのそわそわしちゃうー」

「楽しそうだね」

「楽しいもん」

「うむ。さすが俺のお姫様」

「……」

わ、私を照れさせてどうするの。

思わず目を逸らすと、奏は突然、前屈みになって、私の腰と膝の裏に腕を…って!

「だ、だめだめーー!重いよ!折れるよ!潰れるよ!?」

「じっとして」

「やっ…きゃあ!」

思わず首元にしがみつく。

だめ、私がここで掴まらないと、奏の腕じゃ絶対に全体重持てないってば!

もう、こればっかりは自分の力との勝負だ。

ふわりと身体がうく。

いわゆる、これは……

「お姫様だけにお姫様抱っこー。ちゅーして理緒」

「っ…」

きらきらです眩しすぎますーー!!

そ、そ、それにっ、き、きす!?

このまま!?

至近距離の奏に、ちらと視線を合わせる。

「俺のお姫様……ん」

「……」

もおだめだ。

そーっと唇を寄せる。

フレンチバニラの香りがして、温かくて…。

「…あむ」

「…っ!」

奏の唇は柔らかくて、下唇をはむと咥えられたら、腕の力が抜けそうになった。

気持ちよすぎ…上手すぎ…!!

「ふあ、もおだめ、だめだめ」

「何がだめなのお姫」

「おひめもだめー、おりるーおり…うひゃあぁ!?」

いきなり奏がぐるんぐるん回り出す。

「ふやあぁっ、まわらなっまわらないでっ」

「ふふふ、ふ、…ふはー!」

「ひゃあああっ!」

ばさーーーっ

いきなり。

ベッドに投げ出されるような…むしろ奏も一緒にベッドに転がった!

こ、こ、恐かった!!

私に覆いかぶさるようになった奏が、くっくっと喉の奥で笑って肩を震わせている。

「も、もおーー!こらー!」

「っはは、あははっ、はーー、しんどー!!」

「そっ、そりゃあ重いからねっ!?でもひどい!!」

「いや、理緒かわいいんだもん!ひゃあーって、ひゃ、はははっ」

「う、うううー」

奏の下敷きになりながら、恥ずかしさで縮こまる。

恥ずかしい…。

でも肩を震わせる奏に、だんだん自分もおかしくなってきて…。

「…ふふ、あははっ、もー!奏のばかあーー!あははっ」

「今日も俺の理緒かわいいーー!」

…こうやって笑っていられること。

こんなにも当たり前が愛おしくて。

私は奏の背中に腕を回した。

「……奏」

「理緒」

「……ん」

唇が重なる。

好きで好きでたまらない。

こんな人がそばにいて、私はなんて幸せなんだろう。

何があっても、今この瞬間のことを後悔しない。

この気持ちは生涯忘れないだろう。

「好きです…」

「ん…ありがと。俺のお姫様…どうしてほしい?」

「ぎゅーする…」

「今してるけど?」

「……いじわる」

「…ふふ」

この日、奏はずーっと私のそばで、私の髪を撫でてくれた。

呼ばれるその音が、心に響く。


響く音。

交わって奏でられる、

それは美しくて壮大な…


…私の奏歌。


少女漫画ばりのきゅん度を体感していただけたらと。

読んでくださってる皆様、

いつもありがとうございます。

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