コトワリノサキ
時系列はあるので
順番に読んでいただくのを
お勧めしておりますが、
基本的には1話で区切りのある
恋愛小説です。
理緒:
主人公。
京都在住のだめ女。
元、だめ女と信じたい今日この頃。
奏:
関東在住の残念なイケメンことかなで。
理緒の彼。
残念とされる所以の1つは確認済み。
2つ目はこれから語られる。
理緒の1個下。
コトワリノサキ
理由はある。
でもその先には、
まだ未知なことばかり。
「疲れた、眠い」
引越しを手伝いに来た奏は、ベッドに突っ伏した。
どちらかというと荷物が少ない私。
奏に手伝ってもらったのはカーテン掛けなど主に届かない場所だった。
だから重いものを運ばせたとか、そんなことは無い。
「疲れた…」
私は苦笑して、休んでいいよと告げた。
「おひめ手伝わなきゃー、お願いされたもんー」
軽口を叩きながらも突っ伏したままの奏に、おひめじゃありませんー、と返す。
奏は細い。
スタイルが良く、しなやかで品がある動作をする。
だがしかし。
体力不足な気はした。
そんなわけだから、ことあるごとに疲れた…と口に出すところがある。
奏が自分で言ってた通り、眠い、も日常だ。
なるほどね…。
食器を出しながら考える。
確かに自分といて疲れた、眠いと連呼されたら、女の子は面白くないかもしれない。
元カノも、さぞやそう感じたんだろうな。
しかもここに、仕事で会えない時間が増えるわけである。
…たしか元カノは自由な猫のような子で、だから自分が会いたい時に会えない、会えても疲れたと連呼されたら…?
ふーむ…これも残念なイケメンの一端なのだろうか。
私は奏が好きで、奏が疲れたら癒せるような存在でいたい。
癒してあげれるよう頑張るから、だからね、甘えてくれたらいいよ。
そう思うのだ。
「……」
食器を流しに移して、さらさらと洗っていく。
無意識の内にそこまで進めていたので、ふと我に返っておお、と思う。
まだ昼間だけど、殆ど片付いてしまった。
ふわ。
「ひゃ!?」
気がついたら、後ろから奏に抱きしめられていた。
い、いつの間に!?
「ごめんちゃい…理緒を構うのです!」
ええーっ!
だ、大丈夫だよおーー!
「ちょ、ちょっ…ふにゃっ」
すりすりっと首元に擦り寄られ、変な声で鳴いてしまう。
すると奏は耳元で、
「かわいい」
と囁いた。
「あ、あのっ、あっ洗い物がですね…」
「うん、手元気を付けてー」
「うう」
奏の柔らかくてふわふわした髪が頬をくすぐる。
いい匂いですきゅんきゅんですーー!
もー、何これ少女漫画ですかー!
混乱していると、奏が後ろから手を伸ばしてお皿を洗い始めた。
「あーうー、私やるよおー?」
「いいのーこのままするのー」
……自由だなぁ。
奏、猫みたいだ。
黒くってしなやかな、つやつや毛並みの…。
ぼんやりと寄せられた頬を眺めて思う。
「……そんなに見たら減る」
「えっ?」
「見たら減る、かっこよさが減る!前向いて」
「ええーーっ、減らないよおー」
「減りますー」
むぐう。
私は仕方なく前を向いて、かわりに奏の頬に擦り寄った。
精一杯の甘えである。
「やめなさい、危ないです」
「は、はう…!?」
ええっ、私の時は大丈夫って言ったのにー!
甘えたかったのに…。
しゅんとしていたら、奏が笑った。
「お姫が落ち込んでおられる」
「おっ…おひめ、ちがう…っ」
ちゅ。
頬にキスを落として、奏は洗い物を終えた。
どきどきしちゃうんですけど…。
そう思った瞬間。
「…疲れた、眠い」
「ええー!」
びっくりする!
何かいい雰囲気だったと思うんだけど!?
「おひめ構った、満足」
ま、まぁ確かに構ってもらったんだけど…。
奏はふわふわとベッドに戻り、倒れこんで動かなくなった。
…もうー本当に自由なんだから。
それがなんだか可笑しくて、私は笑ってしまった。
ほっとかれるのは嫌い、寂しいから。
けど奏は、私のそんな状態を、上手く埋めてくれている。
だから、寂しくない。
それは本心だった。
たぶん、としか言いようはないけど、この先も、奏は私のそういうところを押さえてくれる気がする。
それが無くなった時は、それなりの覚悟がいるのだろう。
「ねえ奏」
「んー」
「…好きだよ」
「ん」
私は眠そうな奏に寄り添って、ころんと横になった。
好きだよ。
この気持ちはそうそう変わらないんだから、覚悟してよね。
心の中、好きな理由を羅列する。
理由はある。
でもその先には、
まだ未知なことばかり。
それでも私は、きっと貴方が好きなんだろう。
理緒が関東に帰ってきて、
奏との時間が増えていきます。
ユニークが500超えました!
皆様ありがとうございます。




